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ノーラン『オデュッセイア』など米ユニバーサル、劇場独占公開を31日間に拡大 ─ 2027年からは45日間、「映画はすぐ配信で観られる」印象を払拭へ

ストリーミング時代から、ふたたび映画館の時代へ?

米ユニバーサル・ピクチャーズは、新作映画の劇場独占公開期間を5週末(31日間)に拡大する方針を導入することを発表した。2027年1月からは、この期間をさらに7週末(45日間)に拡大する。米The New York Timesなどが報じている。

ユニバーサルは今年、『ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー』やクリストファー・ノーラン監督『オデュッセイア』、スティーブン・スピルバーグ監督『ディスクロージャー・デイ』、『ミニオンズ&モンスターズ(原題)』などの話題作を準備中。これらに先がけ、3月13日に米国公開される恋愛映画『Reminders of Him(原題)』から新方針に切り替えられる。

かつて映画の劇場独占公開期間は70日間~90日間が多かったが、新型コロナウイルス禍に観客が映画館から離れたあと、ハリウッドの大手スタジオはこの扱いに苦慮してきた。コストをより効率的に回収するため、劇場興行が不振に終わった作品ほど、早い段階で配信リリースやサブスクリプションサービスでの配信が始まる傾向が強まっていったのだ。

コロナ禍の2020年、ユニバーサルは独占公開期間を最短で3週末(17日間)にする方針を発表したが、ゆるやかにその期間を延ばしてきた。今回の新方針は、コロナ禍の基準を撤廃するという意思表示とも言える。

ただし、ユニバーサルの関連会社であるFocus Features作品に関しては、今後も最短3週末(17日間)の方針を維持するという。『ブゴニア』や『ブルータリスト』などのアートハウス系作品を配給してきた同社にとって、有料の配信リリースは広報手段のひとつであり、また有力な収益源でもある。

ユニバーサルの映画・テレビ事業を統括するドナ・ラングレーは、自社の戦略を「常に市場の変化にあわせて設計している」としながら、「私たちは劇場独占の重要性を強く信じており、健全で持続可能な劇場エコシステムを支えるため、上映パートナーと緊密に協力いたします」とコメント。「ユニバーサルは“劇場第一”のスタジオです。ラインナップの幅広さ、フィルムメイカーへの献身、創造コミュニティへの継続的投資がその証明です」

コロナ禍以降、スタジオ各社の公開戦略はさまざまで、短ければユニバーサルやワーナー・ブラザースの最低3週末(17日間)、長ければディズニーの60日間以上と、その幅はあまりにも広かった。AppleやAmazonもオリジナル作品の劇場公開に踏み切ったが、独占公開期間は短め。結果的に、「映画はすぐに配信で観られるもの」という印象が広まったと指摘されている。

映画館の年間興行収入はコロナ禍以前の水準に戻っておらず、もはや戻ることなどないようにも思われる。しかしスタジオ各社は、ようやく独占公開期間を以前と同じレベルに戻す必要性をはっきりと自覚したようだ。ワーナー・ブラザース買収をめぐって争ったパラマウント・スカイダンスとNetflixは、ともに独占公開期間を7週末(45日間)にすると主張。今回のユニバーサルの新方針もこの流れに沿っている。

アメリカ最大の映画館チェーンであるAMC Theatresは、業績の低迷により40億ドル以上の負債を抱えている。アダム・アロンCEOは、ユニバーサルの新方針を「劇場エコシステム全体を支えるもの」だと賞賛し、「ユニバーサル・ピクチャーズが劇場公開の力と未来を信じていることを非常に尊重します」と綴った。

Source: The New York Times, Variety

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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