「脚本はラストを先に書け」『キングスマン』監督の執筆術 ─ 「観客は結末を何よりも覚えている」

『キングスマン』『キック・アス』シリーズのマシュー・ヴォーン監督は、いつも独自のストーリーテリングで世界中の観客を魅了する稀有なフィルムメーカーのひとり。多くの作品で自ら脚本を兼任し、高い評価を得てきた。困難を伴うことも少なくない脚本作業において、果たしてヴォーンならではの執筆術とは?
最新作『ARGYLLE/アーガイル』では、大人気スパイ小説「アーガイル」の著者エリー・コンウェイ(ブライス・ダラス・ハワード)が、新作の内容と実在するスパイ組織の活動が一致してしまったことから命の危機にさらされる。物語の続きをめぐり、小説家とスパイが入り乱れるストーリーだといわれているが、現時点でこれ以上の詳細は不明だ。
ヴォーン監督は、この映画を「ひとりの作家が完璧な結末を追求する」話だと表現した。もっとも米ComicBook.comによれば、監督自身はこれまで物語の結末に悩んだことはほとんどないという。
「私はいつも第一幕を書き、それから先に第三幕を書くんです。それが(物語の)立ち上げと結末だから。第2幕を書くのは大変ですが、第三幕がきちんと書けていれば、第一幕がおのずと書かせてくれます。残念ながら、観客は映画の結末を何よりも覚えているもの。名前は忘れたけれど、ラスト10~15分が評判を左右するという法則もあるんです。」
早い段階で結末を書いておくという執筆術は、ヴォーンがまさに今も取り入れているものだ。2024年内の本格始動が予定されている『キングスマン』シリーズの第3作について、以前ヴォーンは「(脚本の)第一幕と第三幕は書かれていて、第二幕はもう少し作業が必要」と述べ、すでにラストが決まっていることを明かしていたのである。
ちなみにヴォーンのキャリアにおいて、結末を大幅に撮り直した映画は『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』(1998)だけだとか。ガイ・リッチーが監督・脚本を務めた同作は、ヴォーンがプロデュースを担当した、自ら「最初期の作品」と語る一本である。
映画『ARGYLLE/アーガイル』は2024年3月1日(金)全国公開。
▼『ARGYLLE/アーガイル』 の記事
Source: Comicbook.com