【考察】『ヴェノム:ザ・ラストダンス』予告編の謎ポイントについて

なぜリザード役のリス・エヴァンスがいるの?
『ヴェノム:ザ・ラストダンス』の映像ではその後、タキシードを着たエディや(トム・ハーディが次期ジェームズ・ボンド役俳優の候補の一人とされることを踏まえると、なかなか興味深いショット)、米ラスベガスのカジノ(外観に話題の球体型アリーナ『Sphere』がある)でコンビニ店員のチェンさんと再会する様子、前作『レット・ゼア・ビー・カーネイジ』のラストで能力が覚醒してしまったパトリック・マリガン刑事(スティーヴン・グレアム)の再登場といった見どころが続いた後、またまた不可解なショットが挿入される。
『アメイジング・スパイダーマン』(2012)でリザードことカート・コナーズ博士を演じたリス・エヴァンスが登場しているのだ。これは逃走中と見られるエディが、ヒッチハイクか何かでヒッピー集団のバンに乗り合わせた場面と考えられる。エヴァンスが演じる男は後部座席で、お気楽そうな顔で弦楽器を弾いている。
かつてエヴァンスが演じたカート・コナーズ博士は右腕がない科学者で、トカゲの再生能力を夢見てオズコープ社で研究に勤しんでいた。『アメイジング・スパイダーマン』では実験で右腕の再生に成功するも、トカゲのような怪人リザードに変異。さらに危険な進化思想に取り憑かれ、ニューヨーク中に薬剤を散布するテロ行為に走る。スパイダーマンとの戦いに敗れて薬の効果を失うと、ラストでは右腕も消えていた。

『アメイジング・スパイダーマン』の世界は『ヴェノム』のユニバースとは別とはいえ、どうしてわざわざ今作にエヴァンスが出演しているのか、である。彼は別世界のカート・コナーズであり、科学者にはならず、また別の人生を歩んでいたということだろうか。何らかの出来事で右手が再生し、その奇跡によって哲学に目覚めてヒッピー文化に傾倒し、両腕が使える喜びから弦楽器を弾くようになっていたのだろうか。
あるいは、やはり特に深い意味はないのかもしれない。エヴァンスは最も優れた俳優の一人であるので、ソニー・ピクチャーズは役の被りを気にすることなく、彼を起用したかったというだけなのだろうか。
幼いピーター・パーカーが出ている?
『ヴェノム:ザ・ラストダンス』の予告編では、さらに気になるショットが挟まれている。映像の2:25に登場する人々は、もしかすると『ヴェノム』ユニバースのピーター・パーカーとメイおばさんではないかという説が早くも囁かれているのだ。その直後には、『スパイダーマン』作品に度々登場する“落下する人物をヒーローが助けようとする”というカットが続いているのも意味深である。
これは『ヴェノム』ユニバースに重大な影響を及ぼすことになるかもしれないし、全く何も効用しないかもしれない。『マダム・ウェブ』(2024)劇中でもピーター・パーカーの存在は示唆されていたが、今の所は何にも繋がっていない。
また、このカットでは少年と中年女性の他、少年の姉と思しき若い女性もいるので、よく知られるパーカー家の家族構成とも異なっている。ピーター・パーカーとは全く無縁のモブキャラクターの可能性もあるということに注意が必要である。
『ヴェノム:ザ・ラストダンス』でユニバースはどうなる?
本作は『ヴェノム』『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』と続いたシリーズ3部作の最後であり、完結作であるとされる。物語はエディとヴェノムの関係性の発展や、シンビオート世界の知られざる謎の解明に焦点が当てられるはずだが、そのサイドクエストとしてユニバースを拡張させる伏線が仕掛けられてもおかしくない。スパイダーマンとの対決や『モービウス』ラストシーンのその後、待望視されているシニスター・シックス実写化など、シリーズではまだ未完の仕事が多く残されている。
『ヴェノム:ザ・ラストダンス』では、この予告編で多くのファンが思った疑問が解消されるかもしれないし、特に説明もないまま、独自の物語を推し進めるかもしれない。もしかすると予告編にあった謎のシーンが本編ではばっさりカットされるということもあるかもしれない。とにかく、公開まで目が離せない。
『ヴェノム:ザ・ラストダンス』は2024年10月25日(金)26日(土)27日(日)先行上映。11月1日(金)全国公開。