ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督、『デューン』後は小~中規模作品に回帰 ─ 『ボーダーライン』と同規模めざす

『メッセージ』(2016)『ブレードランナー 2049』(2017)の鬼才ドゥニ・ヴィルヌーヴは、ただいまキャリア史上最大規模のSF映画『デューン(原題:Dune)』の撮影後作業(ポストプロダクション)のまっただなか。大作SFを連続して手がけるヴィルヌーヴは、今後、ふたたび小規模作品に回帰する意向を示している。
撮影監督ロジャー・ディーキンスのポッドキャストに登場したヴィルヌーヴは、『ブレードランナー 2049』『デューン』を連続して製作するハードワークゆえ、いわば“燃え尽き症候群”のような状態だと語った。『デューン』は2部作構想であり、ヒットすれば続編が製作されるが、現在の監督は小規模作品を作ることを「心から望んでいる」という。
「自分にとっては、小さい映画を作るのが健全だろうと思っています。『ボーダーライン』(2015)のような規模に戻れれば良いですね。車や財布、銃のデザインについての夢を数ヶ月も前から見なくてすむ、そういうスケールなら受け入れられる。そういうものをやれたらいいと思っています。」
あらためてヴィルヌーヴのフィルモグラフィを見直せば、たしかに『メッセージ』以降の流れこそ異色だろう。実在の銃乱射事件を題材とした『静かなる叫び』(2009)が評価されたのちに手がけたのは、ギリシャ悲劇『オイディプス王』を下敷きにした戯曲の映画化『灼熱の魂』(2010)。その後、誘拐事件をめぐるスリラー『プリズナーズ』(2013)や同名小説の映画版『複製された男』(2013)、メキシコ国境における麻薬戦争を描いた『ボーダーライン』と小~中規模の(すこぶる硬派な)ドラマ作品を連続して撮ってきたのである。『メッセージ』『ブレードランナー 2049』も絶賛を受けているが、こちらの路線を待っていた映画ファンも少なくはないはずだ。
ちなみに『デューン』については、すでに続編の脚本作業が始動しているとみられるほか、スピンオフドラマ「デューン/ザ・シスターフッド(原題:Dune: The Sisterhood)」が企画進行中。ヴィルヌーヴはドラマの製作総指揮・第1話監督も務めている。さて、ヴィルヌーヴが切望する小規模作品はいつ実現することか?
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Source: Team Deakins, IndieWire