『スター・ウォーズ』脚本家とオールデン・エアエンライク、「先に撃ったのはハン・ソロ」

映画『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』(1977)を巡って、未だファンの間で議論や批難の対象となるシーンがある。劇中、惑星タトゥイーンのモス・アイズリー宇宙港の酒場にて、ハン・ソロが賞金稼ぎグリードとブラスターの銃撃を交差させる瞬間だ。
このシーンは、1977年の劇場公開時にはハン・ソロが問答無用でグリードを射殺していたものの、再編集を行った1997年発表の『特別編』では、一瞬僅かにグリードが先制射撃を行い、ハン・ソロは応撃する形に。あくまでもハンは「正当防衛」を行ったかのように改変されていた。これはジョージ・ルーカスが人道主義に配慮して再編集を行ったためであるが、「ハン・ソロのキャラクター性を破壊している」として、今なおファンの間で問題視され続けている。
年月を経て、いつしか「ハンが先に撃った(Han Shot First)」という主張は、後年になって大切な作品に手を加え直してしまうジョージ・ルーカスを咎める際や、劇場版こそ至高とする懐古主義的ファンを示す標語のようなフレーズになっていた。
「間違いなくハン」
しかし、「ハンが先に撃った」と主張する者は、口うるさいファンだけに留まらない。このハン・ソロを初めて単独映画化する作品『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』の公開を迎え、関係者らがこの尾を引く問題へ言及を迫られる状況にある。
「こんなに議論したものはない」と語るのは、『スター・ウォーズ』シリーズの脚本家として知られる父ローレンス・カスダンと共に『ハン・ソロ』脚本を担当したジョナサン・カスダンだ。父ローレンスも「これは非常に重要な問題。いの一番に考えるべきものです」と、ただ事ではない。ジョナサンは「僕たち2人の意見は堅い。脚本には、ハッキリと”間違いなくハンが先に撃った”と書かれているのですから」として、劇場公開版での描写を支持している。
この度の映画『ハン・ソロ』で、ハン・ソロその人を演じるオールデン・エアエンライクも同様だ。ラジオ番組SiriusXM Entertainment Weekly Radioに登場したオールデンは、「先に撃ったのは誰?」と尋ねられた瞬間に「ハン」と即答、ニンマリとした笑みを浮かべている。
では、オリジナルのハン・ソロを演じたハリソン・フォードはどう考えるか。フォードは2014年に米掲示板Redditに「ハリソン・フォードだけど質問ある?」として登場した際、同質問を尋ねられている。この際のフォードによる回答は「知らないし、どうでも良い」だった。
カスダン親子とオールデンはハン先制説を唱えるが、結局の所、フォードのような潔さとぶっきらぼうさこそ、ハン・ソロ・イズムと言えるかもしれない。
Source:CinemaBlend,SiriusXM,Harrison Ford