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ヒュー・ジャックマン、ウルヴァリン卒業の決め手は友人の言葉 ― 『LOGAN/ローガン』の企画から完成までを振り返る

2017年、ハリウッドでは数多のスーパーヒーロー映画が製作・公開された。なかでも他とは異なる輝きを放ったのが、2000年『X-MEN』からウルヴァリンを演じてきたヒュー・ジャックマンの“卒業”作品『LOGAN/ローガン』だ。西部劇を思わせるストーリーに容赦のない残酷描写、ジェームズ・マンゴールド監督による細部まで行き届いた演出に、2017年の現在を撃ち抜く同時代性……。その完成度は、全世界から「もっとヒュー・ジャックマンのウルヴァリンを観たい」という声が発されるほどだった。

なぜヒューは『LOGAN/ローガン』でウルヴァリンを卒業しようと決意したのか? これで最後と決めたあと、彼はどんな心境だったのか? 米Variety誌の対談企画「アクターズ・オン・アクターズ」でウィレム・デフォーと語り合ったヒューは、そのきっかけからプレミア上映までをたっぷりと語っている。

友人ジェリー・サインフェルドの言葉

ヒューがウルヴァリンを卒業しようと決めたきっかけ、それは友人であるジェリー・サインフェルドの言葉だったという。彼と夕食を共にした際、ヒューは「シリーズを終わらせること」について尋ねたというのだ。そう、ジェリーはかつて日本でも人気を獲得した米国の国民的ドラマ『となりのサインフェルド』(1989-1998)を手がけた人物なのである。

「マンダロリアン シーズン3」「アソーカ」解説

「“どうやって(終了を)決めたの?”と聞いたら、彼はたくさん話をしてくれて、こんなことを言ったんです。“僕はいつも、クリエイティブなものは何ひとつ浪費すべきではないと考えているんだ。だって、もう一度なにかを始めるのは本当に大変だから。タンクの中には常に何か入れておくべき、遅くなりすぎる前にパーティーからは帰るべき、そういう話だよ。そうすれば、なんとか次へ進むことができるんだ”と。」

ジェリーとの食事の帰り道、ヒューは妻に対して、ウルヴァリンを演じるのは次で最後にすると話したという。これで最後だ、という確信が彼の中には芽生えていたそうだ。

「次の日の朝、とても明確なアイデアを思いついたんです。それがジェームズ・マンゴールドと僕が取り組んでいた、作品をコミック映画のように扱わない、ウルヴァリンをスーパーヒーローではなく暴力まみれの人生を送ってきた人間として捉える、暴力の及ぼす影響についての映画を作ろう、というものでした。『レスラー』(2008)や『許されざる者』(1992)のようなものを思い描いていたんです。」

©2017Twentieth Century Fox Film Corporation

こうしたアイデアと、自分が二度とウルヴァリンを演じないことを考え合わせて、ヒューは『LOGAN/ローガン』へのモチベーションを高めていったという。しかしその一方で、17年間演じてきた役柄を卒業することは、彼にある特別な思いを抱かせたのだった。

「すごく神経が高ぶりました。だって17年ですよ、僕みたいな舞台俳優にとってはロングラン公演の終わりみたいなものですから。最後のショーは最高のものにしたい、悪い形で終えたくなかったんです。ベルリンでプレミア上映を観て、やっと涙が出ましたね。成功させてくれたジェームズ・マンゴールドには感謝してます、彼には永遠の借りができました。それから17年間の経験と、実際にスクリーンで観られるもの、僕が抱いてきたキャラクターの可能性にも感謝しています。」

映画『LOGAN/ローガン』のブルーレイ&DVDは現在発売中。

Sources: http://variety.com/video/hugh-jackman-wolverine-jerry-seinfeld/
https://www.cbr.com/logan-jackman-retired-wolverine-jerry-seinfeld/
©2017Twentieth Century Fox Film Corporation

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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