タランティーノ、なぜ『ワンハリ』新作映画をデヴィッド・フィンチャーに任せたのか ─ 「いい脚本になった」それでも離脱した理由

クエンティン・タランティーノは、なぜ『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019)の新作映画『The Adventures of Cliff Booth(原題)』の監督をデヴィッド・フィンチャーに任せたのか?
タイトルの通り、本作はブラッド・ピットが演じたクリフ・ブースの新たな冒険を描く物語。プロットやキャラクターの詳細は不明だが、撮影は2025年7月下旬にスタートし、2026年初頭まで続くといわれている。
ポッドキャスト「The Church of Tarantino」に登場したタランティーノは、監督第10作、すなわち自身の映画監督引退作となる可能性があった本作をフィンチャーに託した理由を明かした。もともと脚本を書いたのは、『ワンス・アポン~』の世界をもう一度描くなら、主人公はクリフ・ブースがふさわしいと考えたためだという。
「クリフ・ブースのことは誰もが大好き。僕も大好きだし、ペーパーバック・シリーズの主人公のようにできる気がしました。彼と新しい冒険をするのは、きっと別の経験になるだろうと。誰もが望んでいると思いました。観客も、ブラッドも望んでいるし、僕も最高の役柄で彼とまた仕事がしたかった。だから脚本を書き、プリプロダクション(撮影前作業)に入ったんです。」
ところが、タランティーノは自身の読みが外れたことを認める。脚本の完成後、「いい脚本にはなったけれど、結局は同じことをしているだけだ」と感じたそうだ。「間違いなく成功すると思いました。この船は目的地に着くだろうし、沈みもしないだろう。僕の才能に限界はない……どんどんその思いが募っていき、とうとうやめることにしたんです」。
タランティーノは、映画監督としての引退作に求める条件をひとつ明かしている。それは、「自分が何をしているのかわからない」作品であること。「未知の領域に飛び込み、成功させる方法はわかっているけれど、実際にどうすればいいかはわからない」という状況を自分自身に要求することだ。
こうして、タランティーノが手放した脚本は、ピットの手によってフィンチャーとNetflixのもとに渡り、異色のプロジェクトとして結実した。タランティーノ自身はこのことをむしろ喜んでおり、「最高の世界があり、ブラッドがいて、大好きな監督のデヴィッド・フィンチャーが撮ってくれる」と興奮している。
「フィンチャーのアイデアも気に入っています。偉大な名監督が僕の作品を脚色してくれることが本当に嬉しい。僕自身がこれまでいろんな作品を脚色してきたので、どんな映画に仕上がるのかを本当に楽しみにしています。」
出演者はブラッド・ピットのほか、『TENET テネット』(2020)のエリザベス・デビッキ、『アクアマン』シリーズのヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世、「ザ・ホーンティング・オブ・ヒルハウス」(2018)のカーラ・グギーノ、「マインドハンター」(2017-2019)のホルト・マッキャラニー、そして『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』でジェームズ・ステイシー役を演じたティモシー・オリファントほか。
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Source: The Church of Tarantino