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ウィル・スミス、米アカデミーを退会 ─ コメント全訳、授賞式のビンタ騒動で

映画『ジェミニマン』ジャパンプレミア
© THE RIVER

俳優のウィル・スミスが、アカデミー賞を主催する映画芸術科学アカデミーを退会した。2022年4月1日、ウィル自身が声明文を発表した。

ウィルの退会は、2022年3月27日(米国時間)に開催された第94回アカデミー賞授賞式で、ウィルがプレゼンターのクリス・ロックをビンタした騒動に端を発するもの。ウィルの妻であるジェイダ・ピンケット・スミスに対し、クリスが頭髪に関するジョークを口にした(ジェイダは脱毛症を公言している)ところ、ウィルはこれを妻への侮辱と捉えて激昂し、ステージに上がるとクリスを平手打ちした。

アカデミー側はウィルの行動を「不適切な身体的接触、罵倒または脅迫、アカデミー賞の品位を損なう」ものとして懲戒手続を開始。調査を経て、4月18日の理事会で、追放や停職を含む懲戒処分が決議される予定となっていた。正式な処分が下されるよりも早く、ウィルが自主的に退会を選んだ形だ。

このたび、ウィルが公開した声明文は以下の通り。

「アカデミーによる懲戒処分の通知に直接お応えします。私は、自らの行為が生んだ結果をすべて、いかなるものも受け入れます。第94回アカデミー賞の授賞式における私の行動は、恐ろしく、見るに堪えず、そして許されないものでした。私が傷つけてしまった人数は計り知れないもので、そこにはクリスや彼の家族、私の親友と愛する人たち、授賞式に出席した皆様、世界中の自宅から参加していた観客の皆様も含まれます。アカデミーの信頼を裏切り、他の候補者や受賞者、また彼らの素晴らしい仕事が祝福される機会を奪ってしまいました。悲しみに暮れる思いです。注目されるべき方々に再び目が向けられること、映画の創造性と芸術性を支援するという素晴らしい仕事をアカデミーが再開できることを願います。そのために私は、映画芸術科学アカデミーから退会し、理事会が適切とみなす今後の結論をすべて受け入れます。

変化には時間を要しますが、私は今後、理性を超える暴力を決して許すことのないよう、精一杯尽力してまいります。」

すでにアカデミー側は、ウィルによる即時退会の申し入れを受理したこと、4月18日の理事会に向けて懲戒手続きを進めていくことを認めている。米Deadlineによると、アカデミーのルールに照らせば、ウィルの追放処分は選択肢に入るものの、『ドリームプラン』での主演男優賞が剥奪されることはないとのこと。授賞式では前年の受賞者がプレゼンターを務めることが慣例だが、第95回の授賞式にウィルが登壇することはないとみられる。

もっとも、一連の騒動の舞台裏で何が起きていたのかはいまだ判然としない。ビンタの後、主催者がウィルに退場を求めたところ本人が拒否したとも、逆に主催者側がウィルを退席させなかったとも言われているほか、ウィルの逮捕をクリスが止めたとも、そのエピソードは事実と異なるとも伝えられているのだ。クリスは自身のショーで騒動に言及しているが、正式なステートメントは発表していない。さらにアカデミーの処分よりも早くウィルが退会を決定したことで、不明瞭な事柄を多数残したまま、この騒動は終わりに向かっている。

Source: Variety(1, 2), Deadline

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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