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【映画に登場するマニアックな格闘技5】帝国軍よ震えて眠れ!『ローグワン』ではイップマンの詠春拳が炸裂する!←願望

「シン・ゴジラ」や「君の名は。」にうひゃうひゃ言っている間にもう9月。遠いと思っていたローグワン公開まであと三か月余りとなりました。
個人的にはローグワンに関しては、楽しみ半分こわさ半分、これはSW信者が新作を前にしたときの通常反応と言えばそれまでですが、それは置いておくとして、昨年ローグワンのデススター設計図奪取チームの第一弾イメージショットが投下されてからずっと気になっていることがあります。
このチームというか決死隊(こちらもれっきとしたスーサイド・スクワッドですねえ)のメンバーに、チアルートとの名でドニー・イェンがキャスティングされており、何か盲目の武術の達人然とした佇まいで鎮座しているところです。

 


あれ?ドニー・イェンと言えば功夫の達人で、数々の武術を作品によって使い分けることで知られていますが、中でも一番有名なのが葉問派詠春拳の創始者を描いた功夫映画「葉問ーイップマン」三部作でのイップマン役です。

この葉問三部作の大ヒットを受け、ドニー・イェンは現代最高の功夫映画スターとして、「宇宙最強」というキャッチフレーズまで戴いています。宇宙最強ですよ?それが武術家の役で出るってことは?

ローグワンは文字通りその宇宙が舞台、帝国軍を相手に「宇宙最強」が大暴れするところが見れるはず(ちょっとエピソード7のカンジクラブ問題が頭を過ぎりますが)、ひょっとすると帝国軍が宇宙最強を前になすすべなく、反乱軍が勝っちゃって歴史改変もありうるかも。

そんなわけで今回ご紹介するのは、詠春拳の一派、前述の三部作に登場する「葉問派詠春拳」です。 そもそも詠春拳とは、少林武術を祖にする300年ほどの歴史がある拳法で、特徴としては短橋(腕を短く使う)、狭馬(歩幅を狭く使う)というポイントが挙げられます。ジャッキー・チェンなどが主演の香港カンフー映画で頻繁に登場する、対峙した相手と接近した状態でパンチともエルボーともつかない打撃を両腕でわちゃわちゃ交錯させるシーケンスで、この詠春拳の手技がよく用いられています。

そしてこの詠春拳から、陰陽、五行、八卦など、中国古来の哲学的概念を取り除き、より近代的実戦的に整理したものが詠春拳の数ある分派の中でも異彩を放つ「葉問派詠春拳」です。
中国武術というと、いわゆる「気」「内功」という概念が武術の習熟に欠かせない要素として扱われることが多く、もとの詠春拳でも「内功」は重要な要素ですが、「葉問派詠春拳」では徹底した合理・実戦主義の下、こういった「内功」という概念を用いず、練習者に科学的論理性と徹底した理解を求める教授スタイルを特徴とします。「内功」の概念を排しているので、「気」を練るのに必要とされる「呼吸法」も「葉問派詠春拳」にはなく、自然呼吸を使う点も、中国武術の中では非常に珍しい点です。

また、力むことを極端に嫌い、視覚情報に頼らず、接触感覚に重点を置くので視力の鍛錬もありませんし、硬いものを打ち据えて拳や脛を鍛えるような「外功」の鍛錬もありません。「無駄なことはしない」というのが「葉問派詠春拳」のアイデンティティーでもあります。

シンプルに実践的科学的に整理された戦闘理論が身上の拳法ですが、シンプル故に厳密な理解と実践が要求されるため、習得体現の難しい拳法だと言われています。 アクション映画のレジェンド、ブルース・リーがこの葉問に師事し、「葉問派詠春拳」を学びこれを独自に発展させ哲学体系化したものが「ジークンドー」であることは有名な話です。

またドイツ生まれの護身術EBMASや、イスラエルのクラヴ・マガの徒手格闘技術などにも、この「葉問派詠春拳」の技術が取り入れられています。こうしたことから、武術の歴史だけではなく、アクション映画の歴史にとってみても、実戦格闘シーンの発展と今日までの到達点に、この「葉問派詠春拳」の存在はなくてはならないものであったと言えます。

Writer

アクトンボーイ
アクトンボーイ

1977年生まれ。スターウォーズと同い歳。集めまくったアメトイを死んだ時に一緒に燃やすと嫁に宣告され、1日でもいいから奴より長く生きたいと願う今日この頃。

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