【大満足】『X-MEN:アポカリプス』は軽めの後味すっきり!ファンなら無条件で楽しめる夏休み映画。

「X-MENファーストジェネレーション」「X-MENフューチャーアンドパスト」という秀作に連なるリブートX-MENシリーズ3作目の今作。メガホンをとるのは、X-MEN映画と言えばこの人ブライアン・シンガー。

先行上映された本国アメリカでの評判はいまひとつで、満を持しての日本公開も「シン・ゴジラ」「ファインディングドリー」「ジャングル・ブック」などの大作に囲まれ、いまひとつ盛り上がっているとは言い難い状況です。が、鑑賞を終えての感想としては、まず大前提として充分楽しめました。

その上で、ちょっとわかりにくい例えかもしれませんが、ワンピースとか、NARUTOとか、ジャンプ系の人気アニメがよく夏休みや正月に劇場映画化しますよね?筆者もよくは知りませんが、ああいう映画の話の作りとして、まず今までメインストーリーに一切からんでこなかった強敵が降って湧いたように登場して、シリーズおなじみのキャラクターたちがてんてこまいになり、時には敵味方に分かれて友情や信頼が試されたりして、最終的にはみんなで力を合わせて強敵をやっつけて、話の終わりには何事もなかったかのように(メインストーリーが支障なく続けれるように)原状回復、みたいなのが多いと思うのですが、今作「X-MENアポカリプス」はまさにこういうバランスで出来ている夏休みファンムービー的な作品です。

よって一劇場映画として見ると、キャラクターの掘り下げ方や、ストーリー展開に粗さが目立ち、評価も辛めとなるのは判るのですが、そもそもこの映画は前述したとおりX-MENのことを多少なりとも知っている、もっというならX-MENのファンに向けて作っている作品であり、少なくとも観客のリテラシーとしては、リブートされた前二作を鑑賞していることは必須。

さらに、今回リブートシリーズではほぼ初出となる、サイクロプス(スコット・サマーズ)、ジーン・グレイ、ナイトクローラー、ストーム、サイロックあたりの(シリーズファンなら説明不要な)キャラクターや能力なども知っておいた方が良いでしょう。劇中、特にミュータント能力についての説明は一切ありません。
ナイトクローラーが瞬間移動するのは、「ナイトクローラーだから」であり、このへんで引っかかってしまうと、この映画は難しいです。ワンピースの映画で、ロロノア・ゾロが刀を口に咥え、サンジが足しか使わず、ルフィの体が伸び縮みすることを今さら説明しませんよね?それと同じです。

xmen-apocalypse

今作の見どころは、まずリブート前のシリーズから、ファンが何をX-MENの映画に求めているかって、そりゃあ磁界王ことマグニート―様の大暴れだと思うのですが、今作では、小さな殺戮から地球規模な破壊まで、まさにマグニート―オンステージ、シリーズを追うごとに橋だとかミサイルだとか、スタジアムだとか段々大規模に暴れまわるマグニート―ですが、今作はもうまどろっこしいとばかりに地球を壊そうとしますので大注目です。

さらに傑作「X-MENファーストジェネレーション」で肝となった、プロフェッサーことチャールズ・エグゼビアと、マグニートーことエリック・レーンシャーの、ブロマンスな関係性。今作でもこの二人は、他人が入り込む余地のない複雑な友情世界をたっぷり見せつけてくれます。

そして、前二作おなじみのビーストやミスティーク、さらに新参戦のサイクロプスやジーン、ナイトクローラー、サイロック、エンジェル、ストームなど、メジャーどころのミュータントがこれでもかと登場し、それぞれ能力の見せ場がちゃんとあるのがいちいち嬉しいです。
特に前作「フューチャーアンドパスト」でファンの人気を一手に浚った、クイックシルバーの能力発揮シーン。前作でも贔屓されていましたが、今回はどこかのアルティメットエディションかい、とばかりにボリュームたっぷり長尺で楽しめます。

そして、ポー・ダメロンじゃなかったアポカリプスですが、原作ファンにとっては少し物足りないかもしれませんが、いかに圧倒的なパワーを持っていても、何しろ二時間強の映画の中でさっぱり片付かないといけません。黙示録なんかを持ち出して大仰に構えていたとしても、そのへんちゃんと引き際がわかってる感じが良かったと思います。
ストーリーも、駆け足ではありますが、大きな破綻はありませんし、伏線回収の手際もなかなか鮮やかでした。なんとなく突っ込みどころは多めにありつつ、でも決して不快な点はなく、X-MENのファンが過不足なく楽しめる娯楽作に本作はちゃんと仕上がっています。

本作が本国アメリカでの評価が辛めとなってしまった理由に、昨今のアメコミ映画へのハードルが異様に高くなってしまっている現状があると考えます。それは、「ダークナイト」や「アイアンマン」、「キャプテンアメリカ/ウィンターソルジャー」「ガーディアンズオブギャラクシー」のような、アメコミ映画の枠を超え、単体の映画作品としての完成度も高い作品が次々と世に出たことが原因であり、その蓄積でアメコミ映画は、アメコミのリテラシーがない観客にとっても興味の対象となり、もちろんそれ自体業界にとって喜ばしいことではあるのですが、今作の様なファンにとっては美味しい作品であっても、前知識を持たない一般の人向けではない作品に、実態よりも辛めのレビューがついてしまうという事態が起こりやすくなってしまっています。
15年ほど前であればこの手の佳作は、興収こそ振るわなくても、ファンの口コミで段々評価を上げていくタイプの映画だと思うので、時代の趨勢とはいえそれが少し残念です。

【レビュー・解説】『X-MEN:アポカリプス』は「ヨハネの黙示録」の擬人化と既に再建された新世界の衝突が見どころ

About the author

1977年生まれ。週刊少年ジャンプ脳のクリーチャー愛好家。玩具コレクター。エンドレスダイエッター。「意識低い系」の文章を信条としています。

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