「お願い、父のAI動画を送るのはやめて」故ロビン・ウィリアムズの娘が訴え ─ 「良識あるなら、父にも私にも、誰に対してもこんなことはやめて」

『ジュマンジ』(1995)や『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』(1997)などの名優ロビン・ウィリアムズが、生成AIの映像作成に利用されている──。娘で映画監督・俳優のゼルダ・ウィリアムズが批判の声明を発表した。
自身のInstagramストーリーにて、ウィリアムズは「お願いです。父のAI動画を送るのはやめてください」と綴った。「私が見たがっている、理解できるとは思わないでください。私はそうしたくないし、そうはしません。からかっているだけなら、制限をかけて先へ進むだけです」と。
そして、「みなさんに少しでも良識があるのなら」と付け加え、人々に対して率直なメッセージを送っている。
「少しでも良識があるのなら、父にも私にも、誰に対してもこんなことはやめてください。バカげているし、時間とエネルギーの無駄です。信じてください、これは父が望んでいたことではありません。
実在の人物が遺したものが、“なんとなく似てるし、声も似てるから良いだろう”と単純化され、他人によって操られる、量産されたTikTokのひどい動画には本当に腹が立っています。あなたたちは芸術を作っているのではなく、人間の人生や、芸術と音楽の歴史から、気持ち悪くて過剰に加工されたホットドッグを作り、他人の口に押し込んで、ちょっとした“いいね”を期待しているだけ。気持ち悪い。」
2023年、全米映画俳優組合(SAG-AFTRA)がストライキに突入した際、スタジオによるAIの利用が争点となった際も、ウィリアムズはAIに対する不安と批判的な姿勢を明らかにしていた。「私はAIに対するSAGの反対運動において公平な立場ではありません。長年にわたり、多くの人がモデルを訓練し、父のように同意できない俳優を創造・再現しようとしているのを目の当たりにしてきた」として。
「理論の話ではなく、これは極めて現実的なことです。人々の望み通りにAIが話せるよう、父の“声”が使われているという話をすでに聞いています。個人的には不安を感じますが、その影響は私の感情をはるかに超えています。生身の俳優には、自らの選択でキャラクターを創造し、アニメに声を吹き込み、人間としての努力と時間を演技に注ぐ機会が与えられるべきです。」
このときウィリアムズは、生成AIによる再現を「良く言っても偉大な人間の粗悪な模倣品にすぎない」といい、さらに「最悪の場合は、この業界の最もひどい部分をかき集めた、恐ろしいフランケンシュタインのようなモンスター」と呼んでいた。
そして今回も、ウィリアムズはAIについて、「これを“未来”と呼ぶのはやめてください。あらゆることへの愛のために」と記している。「AIは過去をひどい形でリサイクルし、吐き出して再び消費するだけ。皆さんは、コンテンツを“ムカデ人間”の最後尾で受け入れているのです。そのとき、最前列の人たちは笑い転げ、ただ消費しつづけています」。
▼ AIの記事
ディズニー、ワーナー、NBCユニバーサルが中国AI生成サービス企業を訴訟 ─ 「ポケットの中のハリウッド」知的財産を侵害と主張 注目の動きです 『ターミネーター』現実に?キャメロン監督が警鐘 ─ 「AIと兵器システム組み合わせれば終末世界が到来する」「核による報復攻撃にまで及ぶかもしれない」 「人間とは過ちを犯すもの」 ディズニー実写『モアナ』でAIドウェイン・ジョンソンを断念 ─ コンプライアンス代表「AIは変革をもたらすが、無法である必要はない」 『トロン:アレス』にもAI利用計画が 若い男性、映画予告編では「激しいアクション」よりも「深みあるキャラクター」に反応?新調査で判明 映画マーケが変わる? ダース・ベイダーとAI対話できる「フォートナイト」新機能めぐり全米俳優組合が不当申し立て その論点は?