『ゾンビランド:ダブルタップ』日本最速レビュー ─ 残すべくところは残した、理想的な続編映画

Oh my god, we’re back again!
予告編映像の冒頭で、バックストリート・ボーイズ(Backstreet Boys)懐かしのヒット曲“Everybody”のフレーズを持ってくるあたりも、クスリとさせてくれる。ゾンビ・コメディの傑作『ゾンビランド』から早10年。出演者も製作陣も、みんな大出世して帰ってきた続編『ゾンビランド:ダブルタップ』レビューを、日本最速でお届けしよう。
みんな、出世して帰ってきました
監督も脚本も出演者も、オリジナルのまま。これぞ、優れた続編映画の条件だと思う。『ターミネーター2』や『ゴッドファーザー PART Ⅱ』もそうだ。ヒットした映画を延命させようとして、作品の脳や顔を入れ替えては興ざめだし、時に物語の本質を欠いた続編が生み出されることもある。
『ゾンビランド:ダブルタップ』は、前作同様のメインキャストに、監督のルーベン・フライシャー、脚本のレット・リース&ポール・ワーニックがカムバック。リースとワーニックが言うには、「この10年の間に、おそらく10本は脚本があったけど、続編としてふさわしいと思えるものが一つもなかった」、「ようやく、『これは傑作だ。たとえ1作目と関係がなかったとしても、素晴らしい単独作品だ』と思える脚本ができあがった。」その脚本に、10年の間に大出世を遂げた監督と出演者の全員が納得して蘇ったのが、『ゾンビランド:ダブルタップ』だ。
ウディ・ハレルソンは『猿の惑星:聖戦記』(2017)や『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』(2018)といった大作にも出演し、『スリー・ビルボード』(2017)では繊細な演技でアカデミー助演男優賞にもノミネートされた。ジェシー・アイゼンバーグは前作翌年の『ソーシャル・ネットワーク』(2010)であらゆる映画賞を席巻、『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』(2016)ではレックス・ルーサーを怪演した。そしてウディとは『グランド・イリュージョン』シリーズ(2013,2016)でも再びチームを組み、ヒットを飛ばしている。
ゾンビ社会でたくましく生きる詐欺師姉妹のエマ・ストーンとアビゲイル・ブレスリンもハリウッドに欠かせない存在となった。アビゲイルは『ニューイヤーズ・イブ』(2011)や『エンダーのゲーム』(2013)ほか、シュワルツェネッガーと共演のホラー映画『マギー』(2015)などで精力的に活躍。エマ・ストーンは前作の後、『アメイジング・スパイダーマン』シリーズでスパイダーマンの恋人グウェン・ステイシーを演じてブレイク。それから『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』(2014)で高い評価を得て、『ラ・ラ・ランド』(2016)ではアカデミー主演女優賞を受賞、地位と名声を確固たるものにした。以降も『女王陛下のお気に入り』(2018)など良作への出演が続く、今やアカデミー賞の常連女優だ。

監督のルーベン・フライシャーも、マーベル映画『ヴェノム』(2018)を世界的ヒットに導いて大出世。脚本のレット・リース&ポール・ワーニックも『デッドプール』(2016)をきっかけにブレイクしている。大舞台での活躍を経て、今や一躍人気者となった彼らが、このゾンビ・コメディ映画のためにちゃーんと戻ってきてくれた。まるで、都会でそれぞれの仕事を成功させたかつての仲間たちが、また地元で集まってバカをやるみたいに。
すっかり成長した4人が見どころ
爆発的なウィルス感染により、人類がゾンビ化していた前作から10年。コロンバス(ジェシー・アイゼンバーグ)、タラハシー(ウディ・ハレルソン)、ウィチタ(エマ・ストーン)、リトルロック(アビゲイル・ブレスリン)は、無人化したホワイトハウスを拠点に明るく楽しく暮らしていた。10年もゾンビサバイバル生活を共にして、彼らは疑似家族のようになっていた。コロンバスなんて、「“ゾンビ以前”より楽しい」と実感するほどだ。
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