ジョニー・デップ主演、水俣病の実話映画『水俣』海外予告編 ─ 真田広之・國村隼・美波・浅野忠信・加瀬亮ほか出演、音楽は坂本龍一

ジョニー・デップ主演、1970年代の日本を舞台に「水俣病」を描く実話映画『水俣(原題:Minamata)』のインターナショナル版予告編が公開された。ジョニーが演じるのは、水俣病の実状を追ったアメリカ人の写真家ユージン・スミスだ。
熊本県水俣市・チッソ水俣工場の工業排水に含まれていたメチル水銀を原因とする水俣病は、魚介類を介して熊本県・鹿児島県の住民に中毒症状をもたらした。企業側の隠蔽や政府の対策の遅れなどにより、長期にわたって被害は拡大し、補償や救済をめぐる問題は現在までつながっている。
1971年、ニューヨーク。第二次世界大戦でフォトジャーナリストとしての実績を評価されたユージン・スミスは、その後、世間や自身のキャリアから距離を置いていた。しかし、LIFE誌の編集者であるロバート・ヘイズによる極秘の依頼を受け、ユージンは水俣市へ赴く。そこではチッソ社の過失と水俣病の被害が続いていた。すでに20年近く水俣病の被害に苦しんでいる住民たちの間にユージンは溶け込み、カメラだけを武器に、水俣病の現状や市民の運動を記録していく。
予告編は、日本人女性の「有毒の廃棄物を海に流している企業があります。人々は助けを、世界の注目を必要としているのです。あなたが必要です」という訴えから始まる。デップ演じるユージン・スミスは、編集者の指示を受けて現地に潜入。「君の写真が必要だ、物語を撮ってきてほしい」。映像では、ユージンが隠蔽に迫り、水俣市の住民と触れ合い、そして激しい暴力を受ける様子などが確認できる。実際のユージンは、1972年にチッソの工場を取材した際、暴行を受けてカメラを破壊され、脊椎を損傷、片目を失明する重傷を負っていた。
「ネイティブ・アメリカンたちは写真を信じる。写真は映るものの魂を捉えるからだ。しかし写真は、時として撮る者の魂をも奪う」「撮りたい写真に集中しろ。語りたいことに集中するんだ」。予告編はユージンの力強い言葉とまなざしで締めくくられる。
出演者はユージン・スミス役のジョニー・デップのほか、編集者ロバート・ヘイズ役で『名探偵ピカチュウ』(2019)のビル・ナイ。日本人キャストには、ハリウッドでの活躍めざましい真田広之、國村隼、浅野忠信、加瀬亮のほか、ヒロインとして『乱暴と待機』(2010)『Vision』(2018)の美波が出演。そのほか、『アースクエイクバード』(2019)の岩瀬晶子、シンガーソングライターのキャサリン・ジェンキンスも出演している。
監督は『Lullaby(原題)』(2013)のアンドリュー・レヴィタス。音楽は坂本龍一が担当した。脚本はデヴィッド・ケスラー、撮影監督は『博士と彼女のセオリー』(2014)のブノワ・ドゥローム、美術監督はトム・フォデン&ケヴァン・ヴァン・トンプソン。製作陣は日本にて水俣病患者や家族と面会し、支援を受けながら準備にあたってきたとされる。撮影は日本のほか、セルビアやモンテネグロで実施された。
映画『水俣(原題:Minamata)』は2021年2月12日に英国公開予定。日本国内の情報も待たれる。