361人が選んだ「次のジェームズ・ボンド俳優に相応しいのは誰?」ランキング結果発表

3位 ヘンリー・カヴィル(62票)

第3位は、6代目ジェームズ・ボンドの候補のひとりとして名を連ねていたヘンリー・カヴィル。一度落選しただけあり、リベンジを願う声が多く寄せられている。
その一方で、DC映画『マン・オブ・スティール』(2013)『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』(2016)でのスーパーマン役や、『コードネーム U.N.C.L.E.』(2015)や『ミッション:インポッシブル』シリーズ第6作『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』(2018)での諜報員役など、カヴィルの豊富なフィルモグラフィーも、7代目ボンドとしての姿を想像させたようだ。
「『コードネームU.N.C.L.E.』や『M:Iフォールアウト』による生身でのリアルなアクションも見事でしたので、ダニエル・クレイグの後任として安心感があります」とカヴィルに信頼を置くのは、青酢Willisさん。一方、へなとりさんは「絶対無理だろうけど、007とスプス(スーパーマン)と(ナポレオン・)ソロが同じ顔の世界って楽しそうだなと思って」と、カヴィルが演じてきたアイコニックなキャラクターを踏まえた上での7代目ボンドに想像を膨らませる。
また、その端正なルックスと筋骨隆々な体格は、往年のボンドたちを彷彿とさせるといった声も集まった。なかでも、「ピアース・ブロスナンみたいな感じ!ユーモアがあって、アクションもラブシーンも映えるような」(ペロコさん)、「ブロスナンボンドのような完璧超人の中の弱さを表現してほしい」(魔物の露土馬)と、カヴィルを5代目ピアース・ブロスナンの姿と重ねる声が目立っている。
2位 トム・ハーディ(75票)

6代目ボンドの候補だったヘンリー・カヴィルを抑え、2位を獲得したのはトム・ハーディ。『ダークナイト ライジング』(2012)『マッドマックス 怒りのデスロード』(2015)『レヴェナント: 蘇えりし者』(2015)『ヴェノム』(2019)など、硬派な役どころを演じてきたハーディにこれだけの票が集められたのには、新たなボンド像を求めるファンの間で共通した1つのキーワードが鍵となった。“ハードボイルド”だ。
“ハードボイルド”の語源は「ゆで卵が固くゆでられた状態」だが、そこから転じて、「冷酷」「非情」といった感情に流されない人間の性格的な意味としても用いられるようになった。これをジェームズ・ボンドに置き換えると、ハーディが演じるボンドには無口で寡黙ゆえに醸し出されるアンチヒーロー的な側面が求められているようだ。それは以下のコメントからも明らかである。
「冷静さも情熱も兼ね備えた、少しダークなボンドを見てみたい」(ぷにさん)
「孤高のヒーローっぽさがボンド役に合うかなと」(shioriさん)
「野性味、色気があり、アクションもOK。アンチヒーロー的なキャラ造型にも期待」(ぷーちゃんさん)
「ただの正義のヒーローではなく、現代らしい善悪入り混じる、複雑な一人の人間としてのボンドが見られるのではないでしょうか。」(SUNさん)
このようなボンド像は、いささかダニエル版と重なる部分もある。『007 カジノ・ロワイヤル』(2006)にて、00(ダブルオー)の称号を手放しても良いと思えるほどの恋人ヴェスパーを目の前で失ったボンドは、その後のシリーズではどこか感情を抑えたような姿が印象的であった。とはいえ、“アンチヒーロー”というほどの反英雄的なイメージまでは創り上げていないだろう。
もしも次期ボンドに“アンチヒーロー”の要素を加えるとなれば、良いか悪いかはさておき、『007』シリーズにとっては斬新なリブートになることは間違いなさそうだ。そうなると、各作品に登場するヴィランがどのようなキャラクター像になるのかも気になるところ。
1位 トム・ヒドルストン(77票)
10人の中から見事1位に輝いたのは、悪戯の神様としてのイメージも持たれるトム・ヒドルストン。2位のハーディとはわずかに2票差であった。3位のカヴィル同様に目鼻立ちのハッキリとしたヒドルストンだが、寄せられた意見は全く異なる。ひときわ目立ったキーワードが「知的」と「上品」だ。「英国紳士」というワードも多く見られた。
ヘイジア・Pさんは「演技力と品格。引き込まれる笑顔と怜悧(れいり)な横顔を併せ持つ俳優」とヒドルストンの魅力を端的に表現。ほか、「セクシーさや武骨さ。それでいてジョークもこなす」(mypapaさん)といった、ショーン・コネリーを彷彿とさせるような意見も寄せられた。
ヒドルストンの長年のファンだという餅かえるさんは、「女性からの視線をバーで感じて、視線を送り返すのがボンド」「行きずりの女性を車で送る時、そのままですまないのがボンド」というように、従来のボンド像を語った上で、「トムヒは今年(2021年)で40歳。紳士を体現したような彼だからこそ、あえてこの役を演じて欲しい。今までの彼とは違うイメージを纏ってほしい」と持論を展開している。
なかでも、ヒドルストンへの熱烈な愛を綴ったのは千広みほなさん。「トムヒがボンドになるべき理由…」と前置き、その熱い思いをコメント欄いっぱいに打ち込んでくれた。以下が全文である。
「身長、スタイルの良さ、スーツの着こなし、心地の良い甘い声。哀しげだけど、優しく温かな眼差し、柔らかな雰囲気、そして英国紳士が持つ気品の高さ……彼自身は意識してないと思うんですが、彼の気品の高さはダダ漏れで、画面のこちら側にも伝わってきます(笑)。ダニエル・グレイグがボンド役で世に出る前、評価はあまり良くなかった。だけど、蓋を開けてみると金髪で青い瞳のボンドも世に受け入れられた。
トム・ヒドルストンが出演してる作品のほとんどが“涙を流すシーンが多い”ということ。なので、涙を流すボンドがいてもいいんじゃないか、と。トム・ヒドルストンの流す涙はとても綺麗です。涙を流すのは人間的なので、手の届かない存在に思えるボンドが涙を流す…となれば、近しい存在に思えて感情移入もしやすいかな、と。」
番外編
361のアンケート回答では、上述の10名ではない俳優を自ら7代目ジェームズ・ボンドに指名する投票者も多かった。中でも多かった5名とは……。
エイダン・ターナー

1983年、アイルランド出身。2007年に「THE TUDORS〜背徳の王冠〜」(2007-2010)で役者デビューを飾り、2012年に『ホビット』シリーズのキーリ役で一躍名を知られるようになった。『ホビット』3部作への出演後は、ドラマ「風の勇士 ポルダーク」(2015-2019)で主演を飾ったり、『ローズの秘密の頁』(2016)『ヒトラーを殺し、その後ビッグフットを殺した男』(2019)などの映画に出演したり、継続的な活躍を見せている。
ターナーには、「顔と身体、年齢もいい。それ程有名でないのもよいと思う。ブロスナンと同じアイルランド出身」(redturtleさん)、「次期ボンドを“ダニエル・クレイグ的マッチョ”、“ロジャー・ムーア的軽妙ゴージャス”、“ショーン・コネリー的スマートさ”のどのタイプに据えるか次第ですが、エイダン君はその全てに対応できると思います」(くろのすけさん)といった声が寄せられた。
コリン・ファレル

1976年、アイルランド出身。1990年代半ばより俳優活動を開始した。キャリア初期作には、『私が愛したギャングスター』(2000)や『タイガーランド』(2000)『マイノリティ・リポート』(2002)など。以降、『デアデビル』(2003)や『マイアミ・バイス』(2006)『フライトナイト/恐怖の夜』(2011)『トータル・リコール』(2012)といった幅広いジャンルで経験を重ねた。
『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』(2016)や『ダンボ』(2019)といった大手スタジオによる映画でも活躍しているファレルは、次回作としてDC映画『THE BATMAN-ザ・バットマン-』にペンギン役で出演予定だ。
ファレルは2003年の映画『リクルート』でCIAの訓練生役を演じている。偶然にも役名のファーストネームは“ジェームズ”。それはさておき、次期ボンド役としてのファレルに寄せられたコメントは以下の通り。
「セクシーな所。アイルランド出身の俳優の起用もいいんじゃないかと思う。今までの歴代ボンドの顔や雰囲気を全部持ち合わせてる気がする。キャリアからいって役を完璧にこなせそう」(ちび太さん)
「ヨーロッパ人の雰囲気がでてる、セクシーな所と味わい深い演技に期待ができる」(ロペスさん)
ジェイソン・ステイサム

1967年、イギリス出身。ハリウッドを代表する肉体派アクション俳優のステイサムは、54歳となった現在もバリバリの現役でアクション映画への出演を重ねている。主な代表作は、『スナッチ』(2000)をはじめ、『トランスポーター』『アドレナリン』『エクスペンダブルズ』『メカニック』『ワイルド・スピード』シリーズなど。
最新作は『リボルバー』以来のガイ・リッチー監督との再タッグ作『キャッシュトラック』。さらに次回作には、またまたリッチーと手を組んで、スパイ・アクション『Operation Fortune:Ruse de guerre(原題)』の主演を予定している。スパイ役も卒なくこなすステイサムには、「身体能力の高さからくる、アクションの凄さ。イギリス人であり、スーツがバッチリ似合う」(成龍さん)との声が寄せられた。
キリアン・マーフィー

1976年、アイルランド出身。1996年に地元の劇団に参加し、役者としてのキャリアをスタート。家族の影響で10代から音楽にも親しみ、弟とバンドも結成した。俳優としては、2002年の『28日後…』で主演を務め、名を知られるようになる。以降、『麦の穂をゆらす風』(2006)のケン・ローチ監督や『ダークナイト』3部作、『インセプション』(2010)『ダンケルク』(2018)などのクリストファー・ノーラン監督、名だたる巨匠たちとタッグを組んでいる。
最新作は、ノーラン監督最新作『Oppenheimer(原題)』。タイトルのとおり、原爆の父として知られた実在の物理学者ロバート・オッペンハイマーを演じる。各作品で印象的なキャラクター・イメージを残すマーフィーには、「どんな事にも動じず冷静沈着ながら内には熱い野望を抱いてるイメージがある。ダニエル・クレイグがそうだったように今までのボンドとは違うものを見せてくれそう」(俺氏)と期待の声が届いた。
ルーク・エヴァンス

1979年、ウェールズ出身。10代で演技を始め、演劇学校「London Studio Centre」に通う。卒業後は活動の場をウエストエンドに定め、『レント』『ミス・サイゴン』など、人気作品に出演する。長編映画デビューは30歳の時、2009年公開のミュージカル映画『セックス&ドラッグ&ロックンロール』にて。以降、本格的にハリウッドでの活動をスタートさせ、『タイタンの戦い』(2010)『ワイルド・スピード EURO MISSION』(2013)『ホビット』シリーズなどに出演する。
2017年に出演した実写版『美女と野獣』でガストン役を演じ、知名度はさらに上昇。直近では「エイリアニスト」(2018-)『ANNA/アナ』(2019)『ミッドウェイ』(2019)『マーダー・ミステリー』(2019)など、アクション/ミステリーの分野で活躍を見せている。
次回作には、実写映画版『ピノキオ(原題:Pinocchio)』や『美女と野獣』のスピンオフドラマ(タイトル未定)など、ディズニー作品が続くエヴァンスだが、アクション俳優としての注目度も高いようだ。次期ボンド役に関するコメントとして、「色気があり、声も良い。スーツが似合い、年やキャリア、アクションのキレも申し分ない。黒髪オールバックのセクシーなボンドなんてどうでしょう」(スジャータさん)と太鼓判を押されている。
『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』は公開中。
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