【インタビュー】『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」レア・セドゥ、マドレーヌは「欠点もある1人の女性」 ─ 変化与えたダニエル・クレイグへの感謝

ダニエル・クレイグ最後の『007』シリーズ、『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』が待望の公開を迎えた。本作は、新たに出現した悪に立ち向かう“正義”を描くだけでなく、一度は大切な人を失い、心に傷を負った1人の男が、良くも悪くも運命に導かれて出会った女性と真剣に向き合い、真実の愛を見つけていく物語でもある。
その女性こそ、このたびTHE RIVERの単独取材に応じてくれたレア・セドゥが演じるマドレーヌ・スワンだ。『007 スペクター』(2015)で初登場を果たしたマドレーヌは、それまでボンドが死闘を繰り広げてきた敵の1人、ミスター・ホワイトの娘であることが判明した。しかし同作で、ボンドはマドレーヌを敵の娘ではなく、1人の女性として愛するようになるのだ。思えば、『007 カジノ・ロワイヤル』(2006)でボンドが愛したヴェスパー・リンドも敵であった。
マドレーヌをミステリアスに妖艶に演じたレアは、歴代ボンドウーマン(ボンドガール)で初めて、同じ役での連続出演を果たした。劇中でのクールな印象とは裏腹、インタビュー中の姿は、フランクで明るくて、何より屈託のない笑顔が印象的であった。筆者の問いかけ一つひとつに対し、ゆっくりと丁寧に答えを返してくれたレア。ダニエル最後の『007』でもあった本作について、その思いを語ってくれた。

キャリアの歩み、「シネマ」を通して学んだ世界
── レアさん、こんにちは。待ちに待った『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』が遂に公開されますね。おめでとうございます。
こんにちは。ありがとうございます!
── 『ノー・タイム・トゥ・ダイ』の質問をお聞きする前に、レアさんとインタビューすることになったらぜひ伝えたかったことがありまして。グザヴィエ・ドラン監督による『たかが世界の終わり』(2016)でのあなたの演技が本当に大好きなんです。
ええっ、そうなんですか。ありがとうございます!実は私、『たかが世界の終わり』の撮影をやりながら『007 スペクター』の撮影にも参加していたんですよ(笑)。
── えっ!?そうだったんですか!
はい。同時並行で参加していたんです。『007』とは全く違う作品でしょ?それも楽しかった思い出の1つなんですけどね。
── 素敵です。まずはご自身のキャリアについて、これまでの歩みはあなたにとってどのようなものでしたか?
そうですね……私が観客として観に行っていたような映画を作ろうとここまで努力してきました。母国語や自分のヴィジョンを使って映画を作る監督の方々とご一緒することが大好きなんです。シネマから私は多くのことを学んできました。映画を通して、自分たちが生きている世界のことを理解することができたんです。

「プールに飛び込むようだった」2度目の『007』
── それでは『ノー・タイム・トゥ・ダイ』についてもお聞きしていきたいと思います。本作では、ラシャーナ・リンチとアナ・デ・アルマスが、ボンドウーマンとして映画に華を添えてくれています。おふたりとの共演はいかがでしたか?
アナ・デ・アルマスとは共演シーンが無くて、現場で一緒になる機会がなかったんです。ラシャーナとは、複数のシーンでご一緒することができました。素敵な方々でした。ふたりは映画のなかでも見せ場を作ってくれましたし、大きなインパクトも残していると思います。それぞれがユニークで。『スペクター』では、また別の女性たちが登場しましたが、この映画でも(前作からの)一貫性は感じられるかなと。

── ジェームズ・ボンドやM、Qを除いて、1人のキャラクターが連続で登場するのはとてもめずらしいことです。『スペクター』に続いてマドレーヌを続投すると知った時はどのようなお気持ちでしたか?