【インタビュー】『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」レア・セドゥ、マドレーヌは「欠点もある1人の女性」 ─ 変化与えたダニエル・クレイグへの感謝

戻ってこられて、すごく嬉しかったです。ボンドの恋人として再登場するキャラクターって初めてだと思いますし、それってとても重要なことですからね。嬉しい理由は他にもあるんです。正直、『スペクター』ではマドレーヌというキャラクターを掘り下げきれなかったと感じていました。『スペクター』での彼女がミステリアスだったことは皆さんも知っていると思いますけど。この映画では、また違ったアプローチで彼女を演じることができたので、嬉しかったんです。
── 役作りといえば、『スペクター』からさらに、ジェームズ・ボンドを演じるダニエル・クレイグとの演技が大切になってきたかと思います。撮影前から、ダニエルとは役作りのための期間は設けていましたか?
残念なことに、そうする時間はあまりなくて。『スペクター』でのほうが、時間はたっぷりあったと思います。あの作品は、撮影期間も長かったですから。でも『ノー・タイム・トゥ・ダイ』では、あまり時間を取れませんでした。今回も他の映画の撮影に参加していて、2作同時並行で進めていたんです。それも少しだけストレスに感じて。現場に行っても準備が出来ていない状態で、まるでプールに飛び込む時のようでした(笑)。それでも私たちはやりきりましたよ。前回の経験とはまた違って、今回は今回で楽しかったです。

フェミニストとしてのダニエル・クレイグを語る
── そうしたことを踏まえて、『スペクター』からマドレーヌに見られる感情的な変化や成長は、どのように表現されているでしょう?
『ノー・タイム・トゥ・ダイ』の最初のシーンで、皆さんはマドレーヌをよく知るようになります。マドレーヌは母親と一緒にいる幼い少女として登場するんですが、それが彼女をより深く理解するヒントになるでしょうし、感情的な側面から彼女をよく知るようになるんです。
マドレーヌについては、監督のキャリー・フクナガが、いわゆる従来の“ボンドガール”みたいなイメージを取り除いてくれたと思います。なので今回、マドレーヌは水着とかセクシーなドレスを着ないですし、彼女は欠点もある1人の女性なんです。そういったことが、私にとっても興味深かったです。
── 男女の平等という側面において、ダニエルの『007』シリーズは、この5作品でどう変わってきたと感じますか?
ダニエル自身が、ジェームズ・ボンドというキャラクターを変えてきたんだと思います。もっと人間らしく、信頼できるように。あとダニエルは、ボンドに自分らしさを加えたかったんでしょうね。彼自身もフェミニストなので、『007』に登場する女性キャラクターにもっと魅力を与えたいと思っていたはずです。彼のおかげで、これまでとの違いが生まれ、今では一貫性も生まれましたから。

── ダニエルがフェミニストだとおっしゃいましたが、撮影では彼と、平等だったりフェミニズムだったりについての会話もなさったんですか?
いえ、特に話したというわけではないんです。私には、ダニエルの女性への接し方を見れば、彼がフェミニストだと分かるんです。ボンドというキャラクターにも、彼はそれを取り入れています。それはジェームズ・ボンド以外のキャラクターについてもそうで、彼は自分の感情や考えを役に交えて、演じる時は自分らしさを反映させていると思うんです。ある意味、ジェームズ・ボンドの中にダニエル・クレイグがいるんですよ(笑)。
── ドキュメンタリー作品「ジェームズ・ボンドとして」でも描かれていることではありますが、撮影最終日にダニエルは気持ちを高ぶらせながら感謝を伝えていたそうですね。
そうなんです。ダニエルにとっても最後でしたから、現場にいた全員がエモーショナルになっていました。彼はジェームズ・ボンドというキャラクターに人生の15年を捧げましたし、私にとっても涙を誘うようなひとときでした。私たちも、彼の最後を特別にしようと一生懸命でした。
