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ジム・キャリー、ウィル・スミスのビンタ騒動を批判「もし自分なら訴えた」 ─ 事件がはらむ諸問題、米国で批判の声強まる

ウィル・スミス ジム・キャリー
Ian Smith https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Jim_Carrey_2008.jpg | Gage Skidmore https://www.flickr.com/photos/gageskidmore/28316676010/ | Remixed by THE RIVER

第94回アカデミー賞授賞式において、俳優のウィル・スミスがプレゼンターのクリス・ロックに平手打ちをした騒動について、俳優のジム・キャリーが批判的な見解を述べた。米国のテレビ番組、CBS Morningにて自らの考えを語っている。

この騒動は、クリスがステージ上からジェイダ・ピンケット・スミスに対して「『G.I.ジェーン2』で見られることを楽しみにしている」とのジョークを口にしたことが発端。『G.I.ジェーン』は坊主頭の女性が戦うアクション映画だが、ジェイダは脱毛症を公言し、そのために頭髪を刈っていることで知られる。ウィルはクリスのジョークを妻への侮辱と捉えて激昂し、ステージに上がるとクリスを平手打ちした。客席に戻ってからも「妻の名前を口にするな」と放送禁止用語を交えて激怒しており、アメリカでのテレビ中継はここで中断されている。

ビンタ騒動の直後、ウィルは『ドリームプラン』の演技で主演男優賞を受賞。しかし、ジムはこれについて「スタンディング・オベーションが起きたことにはウンザリしました。ハリウッドは骨抜きです。我々はもはやクールな集団ではない、そのことが明らかになったと思います」と述べている。

CBS Morningの司会者は、この騒動について「(ビンタをしたのが)一般の観客だったらセキュリティに連行されていただろうし、逮捕されていたかもしれません」と言及。ジムはこれにも同意し、クリスが警察に被害届を提出しなかったことについて「彼は戦いたくなかった」のだろうと推測した。

「(もし自分だったら)ウィルを訴えて、2億ドルの損害賠償を請求したでしょう。あの瞬間の映像は永遠に残るし、あちこちで目にするものになる。その影響は今後もずっと続きます。もし客席から声を上げたくなったり、不満を言いたくなったり、あるいはTwitterに書き込みをしたくなったとしても、何かを言われたからといって、ステージに上がって顔を叩く権利は誰にもありません。」

渦中のクリスは大人気の俳優・コメディアンだが、ジムも同じくスタンダップ・コメディからキャリアをスタートさせた人物。ジムの見解には、“ステージでジョークを言うことが仕事”であるコメディアンとしての矜持が感じられるだろう。続く言葉には、アカデミー賞の授賞式という場への考え方や、ひとりのフィルムメーカーとしての思いも見て取れる。

「僕は彼(ウィル)の幸運を願っていますし、ウィル・スミスに文句があるわけでもありません。彼は素晴らしい仕事をしてきたと思います。しかし、あれは良くなかった。全員の晴れ舞台に暗い影を落とす行為ですから。あの場所に行くために、多くの人々が一生懸命に仕事をしています。それぞれが脚光を浴びるため、自分たちの仕事が賞を受けるために。オスカーにノミネートされるほどの仕事は本当に素晴らしいもので、それは全員の献身の結晶。(ウィルの)利己的な行動は、そういったすべてに水を差すものだったと思います。」

アメリカでは“ウィルの暴力は誤った行為である”という見方が強い。アカデミー側も騒動直後に「いかなる暴力も容認しない」と声明を発表し、翌日には「アカデミーはスミス氏の行動を強く非難します。我々は出来事に関する正式な調査を開始し、今後の措置を検討します」との方針を明らかにした。主演男優賞を受賞した『ドリームプラン』でウィルが演じたリチャード・ウィリアムズ氏本人も、「他人を殴るという行為を容認することはできない」と述べている

今回の騒動をめぐっては、“いかなる状況でも暴力を振るってはならない”という価値観や、ジムが視野に入れている「プロのパフォーマンスを同じくプロの俳優が暴力によって中断した」という問題やアカデミー賞授賞式への考え、あるいはCBS Morningの司会者が言及した「ウィル・スミスだから許されたのではないか」という問題があるほか、すでに人種やジェンダーをめぐる議論も噴出している。きっかけこそ、ウィルがクリスのジョークを家族への侮辱だと捉えたことだったが、皮肉にもウィルが暴力という手段を選んだことで、もはやこの問題はそこにとどまらない側面をはらむものとなっているのである。

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Source: Deadline, Variety

Writer

稲垣 貴俊
稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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