『パンズ・ラビリンス』のプロデューサーが放つ、感涙のダーク・ファンタジー『怪物はささやく』の魅力

ダーク・ファンタジー映画として、公開から10年以上たった今でも根強い人気を誇る作品『パンズ・ラビリンス』(2006年)。同作のプロデューサーであるベレン・アティエンサと、『インポッシブル』『永遠のこどもたち』のJ.A.バヨナ監督がタッグを組んだ映画が公開されると聞いたら、待ち遠しくないわけがない。

2017年6月、重厚なダークファンタジーがふたたび日本にやってくる! タイトルは『怪物はささやく』(原題:A Monster Calls)だ。

原作はイギリスでカーネギー賞とグリーナウェイ賞を受賞し、世界中でベストセラーとなった同名小説。本作はスペインのアカデミー賞と言われるゴヤ賞を9部門受賞しており、すでに海外では大きな話題となっている。今回はそんな気になる作品『怪物はささやく』の魅力をいち早くご紹介していこう。

『怪物はささやく』ストーリー

13歳の少年コナーは、病気を患う母親と、教会が見える田舎の家でふたりで暮らしている。彼は毎晩悪夢にうなされ、学校ではいじめを受け、孤独な日々を送っていた。

ある夜、コナーのもとに木の怪物がやってくる。「私はお前に3つの真実の物語を語る。3つを全て語り終えたら、4つ目の真実の物語をお前が話すのだ」。そこで語られる“3つの真実の物語”とは? そして怪物が求める、コナーが胸にしまっている真実とは何なのか?

大人向けのファンタジー

ファンタジー映画、というとどうしても子供向けなイメージがあるが、本作は完全に大人向けの“ダーク・ファンタジー”である。

『パンズ・ラビリンス』には、奇怪で恐ろしい生物がたくさん登場した。『怪物はささやく』には、手に目玉がついた“ペイルマン”ほどインパクトのあるキャラクターは登場しないが、それでも古木の“怪物”は迫力たっぷりだ。

映画は全体的に暗い雰囲気で、雲が立ち込めているような陰鬱な雰囲気。対して怪物が語る物語のシーンは、鉛筆や絵の具で描かれたような繊細なタッチが印象的だ。現実世界と不思議な夢の世界が融合し、暗い寒色の映像は、様々な悩みを抱える思春期の主人公の心情によくマッチしている。

華やかな夢の国では決してないが、たしかに現実ではない“別の世界”への入り口に立っている。そんな気分を味わえるところが、『怪物はささやく』の魅力だろう。

ファンタジー、だけど現実の物語

『怪物はささやく』は、カテゴリー分けするならば“ダーク・ファンタジー”にあたる。しかしファンタジーとはいえ、これはあくまで“現実”の物語だ。ダークだが、それも確実に“現実”の出来事なのである。

人間は複雑なものだし、物事はすべて簡単には進まないし、都合の悪いこともなかったことにはできない……。そんな“現実”の厳しさを、『怪物はささやく』は、まるでおとぎ話のように語りかけてくる。きっと、誰もがこの話を涙なしには見られないはずだ。自分が無意識のうちにしまっていた感情や記憶に、怪物がそっと触れてくるからである。

愛する人、大切な人との別れは生きていく上で避けられない。もし避けようと思ったとしても、それはそもそも不可能なことだ。悪夢だと思いたいことも現実、どんなにつらいことも現実である。この映画は、どうしても回避できない辛い経験や、そのとき感じる深い悲しみを繊細に描き出し、そこに寄り添っている。

きっと映画を観終えたあとには、涙とともに、憑き物が落ちたかのごとくスッキリするはずだ。主人公コナーと一緒に、私たち観客も“怪物に導かれる”ことだろう。

豪華キャストの共演

主人公コナーの、病床の母親役は『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』のジン役が記憶に新しいフェリシティ・ジョーンズ。病気を患いながらもコナーを見守る、優しくチャーミングな母親役を熱演する。凛々しいジン役とはまた違った、フェリシティの魅力を見ることができるだろう。

怪物の声を担当しているのは『スター・ウォーズ』プリクエル3部作のクワイ=ガン・ジン役でおなじみリーアム・ニーソン。見つめていると、木の怪物もだんだんリーアム・ニーソンに見えてくるかも……。また、コナーの祖母役を務めるのはシガニー・ウィーバーだ。

そして主人公コナー役を演じるのは『PAN~ネバーランド、旅のはじまり~』にも出演していた、弱冠14歳のルイス・マクドゥーガルくん。葛藤と悲しみを抱えたコナーを見事に表現しきった、その演技力と表情に圧倒される!

『怪物はささやく』は、絶望や破壊からの再生、そして家族の絆の強さを、美しくもあやしい世界観とともに堪能できる作品だ。今年2017年に公開される映画の中でも、きっとトップ3に入るほどの号泣間違いなし。映画館に行くときには、ぜひハンカチをお忘れなく!

『怪物はささやく』(原題:A Monster Calls)は、2017年6月9日(金)TOHOシネマズ みゆき座 他全国ロードショー。

 © 2016 APACHES ENTERTAINMENT, SL; TELECINCO CINEMA, SLU; A MONSTER CALLS, AIE; PELICULAS LA TRINI, SLU.All rights reserved.

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フリーライター(1995生まれ/マグル)

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