ファンが描き変える、もうひとつのスターウォーズ 『新たなる希望 編集版』
その世界観が拡張され続けるスターウォーズにおいて、ひとつの楽しみはファンフィルムにもあると思う。
クリエィティブ精神溢れる熱心なファンらは、愛するスターウォーズの世界観を尊重しつつ、独自でストーリーを描き短編フィルムとしてYou Tubeなどで公開している。CGやアニメを駆使したその短編フィルムのクオリティーは高く、ルーカスご自慢の特撮会社ILM(インダストリアル・ライト&マジック)も驚くほどだ。
今は当たり前のように見ることの出来るファンフィルムではあるが、10数年前までルーカスフィルムの幹部は良きものとせず、取締りを行った事もあった。
ファンフィルムの情報はルーカスの耳にも入り、映像を見たルーカスは「素晴らしい。大いに結構ではないか」とファンフィルムを絶賛し、今やファンフィルムの祭典『スター・ウォーズ・ファン・フィルムアワード』が開催されるほどである。
筆者もファンフィルムを見るのが好きである。パロディもあるので、笑えるものもある。
ファンが再編集した『エピソード4 新たなる希望』
ファンが大幅に編集してしまったスターウォーズの存在をご存じだろうか?
スターウォーズファンである ADYWAN(エディワン:本名は伏せます)と名乗る人物が、第一作目スターウォーズの特別編を再編集してしまった作品がある。
2010年公開(日本公開2012年)されたドキュメンタリー映画『ピープルvsジョージ・ルーカス 』にも登場している彼…。
ファンの中には、ご存知の方も多いかもしれない。
無い無い尽くしのクラシックオリジナル
クラシックトリロジー(旧三部作)の劇場公開当時の完全オリジナルを目に出来る機会は、ほぼ無いと言ってもいいだろう。
1997年に公開された特別編が、「これがクラシックである」になってしまっているからである。
「オリジナル製作当時の技術では成し得る事の出来なかった表現が、ILMの技術革新で可能になり特別編を製作した」という事は有名だし、技術を見せたかったのも分かる。
プラスして、ルーカスフィルムは「オリジナルのネガは行方不明」とまで言ってしまった時期がある。現在どうなっているかは不明だが、例えば「EPISODE IV A NEW HOPE」のサブタイトルの無いスターウォーズは見る事が出来ない。
特別編は特別編であり、やはりオリジナルは見たいものである
唯一、数年前にセット販売されたDVDにボーナスディスクとしてオリジナル版を収めた特別DVDが付属されていたが、現在は入手困難。
筆者も購入したが、STAR WARS の文字が去って行き、サブタイトル無しでオープニングロールが立ち上がっていく場面を約20数年ぶりに見た時は感動したし、このディスク1枚だけで販売しても5,000円は出してもいいと思った。
特別編だけではなく、『エピソード1 / ファントム・メナス』のオリジナルのヨーダはフランク・オズによるマペットであったが、現在のDVD&ブルーレイはCGに変更されている。(LDはマペットのままだった)
クラシックだけではなく、プリクエル(新三部作)もオリジナルを見る事が出来ない状態である。
特別編は、見る人によっては要らぬ追加があったり、「どうせなら、ここ変えるべきだったんじゃない?」と思う場面があると思う。
「見る者や見方によって違う」・・・十人十色であることは尊重しよう。
こっちが本物に見えてしまうかも?
前置きが長くなったが、ADYWANによるスターウォーズの編集版。
タイトルは、”STARWARS : EPISODE IV A NEW HOPE REVISITED”
現在、公になっている完全版は2006年に公開したエピソード4のみ。とにかく出来が良い、良すぎるの一言である。
スターウォーズという題名に相応しいデス・スター攻撃でのXウィングとタイ・ファイターの戦闘シーンが拡大され、広い宇宙空間の一部を描いている場面では、奥行きと目の前の惑星が上手く描かれている。
また、オビ=ワンの家でのシーンの会話が本来の流れとは異なっている。
本来:クローン戦争→ライトセイバーを渡す→アナキンとフォースの話→レイアのメッセージ→オルデラーン行きに誘う
REVISITED:レイアのメッセージ→クローン戦争→ライトセイバーを渡す→アナキンとフォースの話→オルデラーン行きに誘う
たった数分のシーンであるが、ファンの誰もが見慣れ、脳裏に焼き付いているシーン。
なぜR2はオーウェンの家を抜け出したのかを考えると、レイアのメッセージを最初に置くことは正解なのかもしれない。
パワフルな老オビ=ワン
「最後の運命の師弟対決」であるオビ=ワンVSダース・ヴェイダーは、「フォースのぶつかり合いでライトセイバーの闘いではない」とまで言われ、老いたオビ=ワンの動きが鈍くジェダイっぽさが無いと言われたシーンも、パワフルなオビ=ワンの動きになっている。
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