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『アベンジャーズ/エンドゲーム』タイトルに隠された深い意味 ─ ドクター・ストレンジ、アイアンマンの言葉でわかる「最終局面」

アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン
Disney/Supplied by LMK 写真:ゼータイメージ

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の集大成、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)の続編映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』が2019年4月26日(金)に日米同時公開される。

『アイアンマン』(2008)に始まったMCUのストーリーが大きな区切りを迎えるという本作のタイトルは、これまで伏せられつづけており、2018年12月7日の予告編公開をもって初めて明らかにされたもの。このタイトルは映画にとって、そしてMCUにとって一体どんな意味を持つのだろう?

この記事には、映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』のネタバレが含まれています。

ドクター・ストレンジの「エンドゲーム」

『アベンジャーズ/エンドゲーム』というタイトルは、以前からファンによる予想のなかでも特に有力とみられていたものだ。その理由は、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』の重要な場面でドクター・ストレンジが口にしていたためである。

物語の終盤、サノスを止めるべく、ヒーローたちが惑星タイタンに集結する。地球からはドクター・ストレンジやアイアンマン、スパイダーマン。そしてガーディアンズ・オブ・ギャラクシーのメンバーも、情報を掴んでタイタンにやってきていた。現れたサノスを相手に、ヒーローたちはタイム・ストーンをめぐって激闘を繰り広げる。しかしトニー・スタークに絶体絶命の危機が訪れると、ストレンジはサノスにストーンを差し出した。なぜ渡したのかと尋ねるトニーに、ストレンジは“We are in endgame now.”と答えるのである。

“endgame”は日本語で「最終段階」「終盤戦」「大詰め」などの意味を持つ。このセリフは、日本語字幕版では「あとがなくなったな」、日本語吹替版では「いよいよ正念場だな」と訳された。

アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー
© Marvel Studios 2018

アイアンマンの「エンドゲーム」

MCU作品には、過去に“endgame”と口にした人物がもう一人いる。『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』で、ストレンジからこの言葉を投げかけられたトニー・スタークだ。『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(2015)で、ウルトロンを生み出したことをアベンジャーズのメンバーに批判されたトニーは、『アベンジャーズ』(2012)でチタウリが地球に攻めてきたことに触れ、こう述べている。

“We’re the Avengers. We can bust arms dealers all the livelong day, but that up there, that’s…That’s the endgame.”

このセリフは、字幕版で「アベンジャーズの敵は武器商人じゃない、宇宙からの侵略者が我々の敵だ」、吹替版で「アベンジャーズは武器商人を相手に戦うのも結構だが、宇宙にいる敵がラスボスだ」と訳された。ここでは「敵」「ラスボス」が“endgame”にあたる言葉となっており、かなり意訳されていることがうかがえるだろう。

さて、“endgame”という言葉にはもう少し複雑なニュアンスがある。この言葉は元々チェス用語で、「持ち駒をほぼ失い、盤上の駒が少なくなった状態で挑むゲームの最終局面」を意味するのだ。『エイジ・オブ・ウルトロン』で、トニーは「もしも宇宙から敵が攻めてきた時には絶体絶命だ」というニュアンスをこめて“endgame”と口にしているわけである。

アベンジャーズの「エンドゲーム」

ここで改めて、『アベンジャーズ/エンドゲーム』というタイトルに戻ってくることにしよう。確かに「エンドゲーム」はドクター・ストレンジが『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』で口にした言葉だが、本作のタイトルにはそれ以上の意味が込められているようだ。

『アイアンマン』から10年という時間を経て、いまやMCUは物語の「最終段階、大詰め(endgame)」を迎えた。そしてヒーローたちは、ドクター・ストレンジがいうところの「正念場(endgame)」に立たされている。『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』のクライマックスで、彼らはサノスの“指パッチン”によって大勢の仲間や家族を失ったからだ。かつてトニーが予感したように、アベンジャーズは宇宙から現れた敵、サノスによって最大の窮地に置かれた。いまや、彼らの「エンドゲーム」は“駒をほとんど失った状態で挑む最終局面”にほかならないのである。

アベンジャーズ
© Walt Disney Studios Motion Pictures 写真:ゼータ イメージ

それでは、アベンジャーズのメンバーたちはかつてない「エンドゲーム」をどう乗り切るのだろうか。ここでは『エイジ・オブ・ウルトロン』でトニーが“endgame”と口にした直後、トニーとスティーブ・ロジャース/キャプテン・アメリカのやり取りに注目しておきたい。

トニー:How were you guys planning on beating that?(宇宙から来る敵をどうやって倒すつもりだ?)

スティーブ:Together.(団結して倒す。)

トニー:We’ll lose.(負けるぞ。)

スティーブ:Then we’ll do that together, too.(それでも、また団結して倒す。)

映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』は2019年4月26日(金)全国ロードショー

『アベンジャーズ/エンドゲーム』公式サイト:https://marvel.disney.co.jp/movie/avengers4.html

Source: Comicbook.com

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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