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『アド・アストラ』絶賛の感想ぞくぞく ─ 「ただのSF映画ではない」ブラピの繊細な瞳に宇宙を見る

アド・アストラ
(C)2019 Twentieth Century Fox Film Corporation

世界的ハリウッドスター、ブラッド・ピットが初めて宇宙に挑んだ『アド・アストラ』が、2019年9月20日より日米同時公開となる。深奥なる大宇宙を舞台に、宇宙探索中に消息を絶った父を探して壮大なミッションに挑むブラッド・ピットの熱演に、早くも「アカデミー賞最有力」との絶賛が相次いでいる。

2019年9月13日、ブラッド・ピットがジャパンプレミアに登場し、この年最大の注目作をいち早く日本のファンに届けてくれた。この記事では、ジャパンプレミアに参加したTHE RIVER読者の生の声と共に『アド・アストラ』の凄まじさをご紹介しよう。


アド・アストラ
(C)2019 Twentieth Century Fox Film Corporation

『アド・アストラ』に海外メディアがひれ伏した

ブラッド・ピットが演じる『アド・アストラ』主人公ロイ・マグブライドは、宇宙で活躍する“英雄”の父親を見て育ち、自らも宇宙飛行士の仕事を選んだ男。父は地球外生命体を探索する宇宙船に乗ってから16年後、43億キロ離れた太陽系の彼方で行方不明となったとされる。しかし、父は生きていた──。

第76回ベネチア国際映画祭で初披露された本作には、海外メディアからも大絶賛の声が殺到。米The Guardianが「スペース・オペラの最高傑作」、米The Wrapが「ブラッド・ピット史上最高の演技」と評すれば、米The Hollywood Reporterは「ストーリーも演技も非の打ちどころのない完璧な作品だ」と讃えているのだ。

「『地獄の黙示録』ミーツ『2001年宇宙の旅』」とのが見られるように、ジェームズ・グレイ監督は本作のアイデアに『2001年宇宙の旅』や、『地獄の黙示録』の原作となった小説「闇の奥」を挙げている。特に『2001年宇宙の旅』は、監督にとって「5本の指に入る」と言うほど敬愛する映画で、本作にあたっても「考えずにはいられなかった」という。

また、スピルバーグ監督の名作『E.T.』(1982)に対する監督の観念は、『アド・アストラ』に本質的に通じていると言えよう。「あの作品は、両親の離婚と子供の孤独、彼(主人公エリオット)にとって、いかに人との交流が必要だったかを描いているんですよ。だから感動するんです。」

人間ドラマ響く、かつてないSF映画

『アド・アストラ』は間違いなくSF映画であるが、監督はSF要素を仰々しく描くことを意図していない。あり得るかもしれない”近い未来”を舞台に、人類が月や火星に進出した世界を徹底的なリサーチに基づいてリアルに映像化しているが、そのセットや小道具は意外なほどに現実的だ。宇宙服のデザインひとつにもそのこだわりは表れていて、監督は「一番気に入っているのは、衣装に注目が集まらない点だ」と語っている。「これはSF映画では難しいことだ。私は登場人物が、着るべきものを着ているというだけにしたかった。」

アド・アストラ
(C)2019 Twentieth Century Fox Film Corporation

『アド・アストラ』は全編に渡って、非常にストイックで極限まで研ぎ澄まされた世界観を貫いている。全ては、誰もが心を動かされる、濃厚な物語のためだ。地球外生命体の存在を求めて太陽系の彼方に消えた父と、それを探すべく旅立つ息子。ブラッド・ピットは本作について、「人間の謎や孤独というものを宇宙に象徴させている」と語っている。

宇宙を舞台にしたSF映画かと思いきや、ヒューマンドラマでした」と”奥夏輝”さんは感想を語る。「確かに映像美や没入感で観客を宇宙に誘うシーンは目を見張ります。ただ、それはメインではなく、観客を孤独な海へいざなう波でしかないのです。その海で語られる物語は、壮大でありながらどこか身近にあって、誰もが感じたことのあるちっぽけさ。じゃあ、本当に大切なものは何か、ということを考えさせてくれるのです。」

アド・アストラ
(C)2019 Twentieth Century Fox Film Corporation

単なるSF映画にとどまらない、極めて人間的な作品であることが想像できるだろう。”まり”さんは、「親と子の対峙でもあり、自分自身との対峙でもあり、人生との対峙でもある作品なので、観る方それぞれの心に響くものがあると思います」と評し、鑑賞後は「人間の本質の発見」が「素直に、すとんと胸に落ちてきました」という。”近田侑子”さんは、「SF映画を観ているのに何か違う種類の映画を観ているような、気持ちが動く映画でした」と表した。

ただのSF映画で無く、自分がどうあるべきかを追い求めていく『宇宙』と『人間』の絡み合った新しいヒューマンドラマだと思います。」(”遠藤”さん)

大きなスクリーンで無限に広がる宇宙を感じながら、とてつもない孤独と1人の地球の生命体として考えさせられる内容だった。」(”もーりー”さん)

宇宙という壮大な世界を体験し続けていくことにより、狭かった視野がぐんぐんと広がっていき、最後の最後に改めて、地球の美しさと人間の本質を発見できたような気がします。」(”まり”さん)

アド・アストラ
(C)2019 Twentieth Century Fox Film Corporation

ところでブラッド・ピットとジェームズ監督は90年代から親交があり、以前より「何か一緒にやりたいね」と話していたという。監督の前作『ロスト・シティZ 失われた黄金都市』(2017)で主演を務める予定もあったが、スケジュールの都合で叶わなかった。『ロスト・シティZ』はジェームズ監督にとって初の冒険映画となった苦心作。アマゾンの奥地に伝説の古代都市があると信じて探検に取り憑かれ、そのまま消息不明になった実在する謎多き冒険家パーシー・フォーセットを描いている。

なぜ、人は理想を探求するのか?探求の果てに、いったい何が見つかるのか?そもそも、私たち人間が本当に探求したいものは何なのか?『アド・アストラ』は、『ロスト・シティZ』にも見られた哲学観をさらに深く掘り下げ、かつ誰にでも身近なところまで引き寄せることに成功している。それはピットによる「この映画は、自分自身を探求する物語」という説明に表れているとおりだ。

ブラピ史上最高の演技、アカデミー賞最有力との声も

この哲学的とも言える物語を繊細に演じあげるのが、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』でも眩しい姿を見せたブラッド・ピットだ。『アド・アストラ』では常に冷静で、宇宙飛行士としての使命を全うするうち自身の感情の対処方法を見失う孤独な男ロイの魂を、熟練の渋味を宿した表情のシワ一筋にまで染み渡らせている。

米Varietyにして「ピットの存在感こそが映画全体を支えている」、The Hollywood Reporterには「キャリア史上最高」と唸らせた彼の演技に、THE RIVER読者も感激しきりだ。”mic”さんは「動ではなく静の演技が極まっていました」と評し、”まり”さんもやはりその静かな演技の中に「激しい怒り、深い哀しみと孤独、動揺、愛情、子供の面と大人の面など、様々な感情を読み取ることができた」と感服。”ちば”さんも、「本当に、無表情の中に人間味を滲ませるのが上手い」と脱帽だ。

アド・アストラ
(C)2019 Twentieth Century Fox Film Corporation

「静」の演技を制するのは並大抵のことではないが、『アド・アストラ』のピットはいとも簡単にやってのけているかのように見える。ピットが宇宙服のヘルメット越しに、表情だけでキャラクターの心情を表す一人芝居のシーンが多いのだが、瞼やシワを極めて繊細に動かして、静かに圧倒させてくれる。

また、ピットの「目」や「瞳」を絶賛する声が複数寄せられた点も興味深い。”na”さんは、「ブラピの瞳が宇宙のように見える時があり、美しかった」、”mic”さんも「ブラッドの瞳がとにかく美しかった」と、”呑みスケ”さんも「言葉が無くても、あの澄んだ瞳の底に心の機微が映し出されているようでした」と指摘している。「美しい目の動きでロイの心情を繊細に表現している」(”まるまる”さん)、「繊細な気持ちを目と皺で語る」(”ティム”さん)との声も。その美しく繊細な演技は、劇場の大画面だからこそ真に堪能できるというものだ。

アド・アストラ
(C)2019 Twentieth Century Fox Film Corporation

吸い込まれるような宇宙空間への没入感

神秘と夢と恐怖、その全てである宇宙の静寂に吸い込まれそうになる感覚に陥ることができるのは、映画館の大画面ならでは。撮影監督を務めたのは、『ダンケルク』(2017)でアカデミー賞にノミネートされ、宇宙モノの第2作目として『インターステラー』(2014)での経験を全てつぎ込んだホイテ・ヴァン・ホイテマだ。ピットいわくオールドスクールな撮影手法にこだわった今作では、極力デジタル・フォーマットを使わずにフィルムでの撮影に挑んだ。本作を映画館で観れば、巨大なスクリーンを覆う宇宙空間の闇に「奥行き」が感じられることだろう。「大きいスクリーンで観ればより際立つ、地球の成層圏や宇宙空間の場面の壮大観。映画館で観ないと、あとで絶対後悔する作品です。」(”夘田真季”さん)「自分がその状況にいるような、不思議な感覚がしました。」(”近田侑子”さん)「自分が宇宙にいるように感じます。」(”まゆ”さん)

超然的な映像と共に静寂を音で奏でるのは、現代音楽の英才マックス・リヒター。「撮影と音だけで、こんなに”死/生”の雰囲気が出せるのか。キューブリック的、ヴィルヌーヴ的、ノーラン的と言えるほどの、作品を貫く美的センスに舌を巻きました。」(”ちば”さん)

アド・アストラ
(C)2019 Twentieth Century Fox Film Corporation

豪華共演者も大きな注目ポイントだ。主人公ロイの父で、謎多き消えた宇宙飛行士クリフォード役には、『メン・イン・ブラック』シリーズなどでお馴染みの名優トミー・リー・ジョーンズ。その古き友人で引退した宇宙飛行士プルイット大佐に、大ベテランのドナルド・サザーランド。火星で生まれ育ったヘレン・ラントスの役には、『ラビング 愛という名前のふたり』(2016、日本2017)でアカデミー賞主演女優賞ノミネートのルース・ネッガが起用された。主人公ロイとすれ違う妻イヴ役として、リヴ・タイラーが『アルマゲドン』(1998)ぶりの宇宙モノに出演している。「キャストが本当に豪華で、それぞれが作り出す人間関係もとても良かったです。」(”Rikiya”さん)

父が消えた宇宙の果てに、彼は何を見るのか。凄まじく研ぎ澄まされた2019年最大の衝撃作を、劇場の大スクリーンで堪能して欲しい。

映画『アド・アストラ』は2019年9月20日(金)全国ロードショー。

ブラピ来日記者会見レポ

配給:20世紀フォックス映画 (C)2019 Twentieth Century Fox Film Corporation

Writer

中谷 直登
中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER編集長。ライター、メディアの運営や映画などのプロモーション企画を行っています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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