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【全文レポート】『アド・アストラ』ブラッド・ピット来日記者会見 ─ 宇宙飛行士からの絶賛に感激の反応見せる

『アド・アストラ』ブラッド・ピット 来日記者会見
© THE RIVER

ブラッド・ピットが初の宇宙飛行士役に挑み、カンヌ国際映画祭でも大絶賛の声が相次いだ映画『アド・アストラ』が、2019年9月20日より日米同時公開となる。このため、本作で主演と製作を兼任したブラッド・ピットが来日。日本科学未来館にて記者会見に挑んだ。

アジアで本作の記者会見が開催されたのは日本が唯一。そのためこの日は、アジア各国からも記者が集結する貴重な会見となった。


この記事ではおよそ50分にもおよんだブラッド・ピットへの質疑応答と、元宇宙飛行士の毛利衛氏と山崎直子氏を迎えてのトーク部分を、余すこと無く書き起こす。 (記事最後に写真ギャラリー68枚あり。)

『アド・アストラ』ブラッド・ピット 来日記者会見
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日本メディアからの質疑応答

──主演を務めただけでなく、製作も手掛け、初めての宇宙飛行士役ということで非常にチャレンジングな作品になったのでは。具体的に一番チャレンジングだったことを教えて下さい。

まずはじめに御礼を言わせて下さい。ようこそお集まりいただきました。東京は大好きで、来るたびに特別な気持ちになります。あたたかい歓迎をありがとうございます。

さて、映画の製作にはさらなる責任感が伴うものです。でも、物語を伝えるという製作を、僕はとても楽しみました。プロデューサーとして、現場には早くに行って、チームをまとめる。スポーツのようなものです。

常に挑戦の連続で、その過程では間違いも生じます。僕は昼は俳優、夜はプロデューサー、という風に分けていて、撮影が終わった後の音楽作業や編集にも携わっています。まるでルービックキューブのようですね。

あぁ、一番難しかったこと。聞いてくれてありがとうございます。宇宙服で動くことです。

『アド・アストラ』ブラッド・ピット 来日記者会見
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── 初めての宇宙飛行士役ということで、初めて体験したことや、初めての役作り方があれば教えて下さい。

僕が今までSF映画に出なかったのは、このジャンルには優れた作品が既にたくさんあったからです。だから、他と違っていて、やる価値がある作品を待っていた感じですね。ジェームズ・グレイ監督の企画にそれを見出したというわけです。

この映画では、重たい宇宙服を着てピーターパンのようにワイヤーで宙吊りになることが多かったので、それが辛かったかな。スピンして、上にあげて下にさげてまた回転させて。どこまで吐かずにいられるかというようなテストをしましたよ。

── 壮大なスケールの話でありながら、ひとりの男の心の変化を描く繊細な表情の演技が本当に素晴らしかったです。今後、俳優業をセーブされるというニュースに驚きましたが、その理由と、今後取り組んでいきたい仕事、思い描く夢について教えて下さい。

まず、最初のコメントの部分ですが、ジェームズ・グレイが描いたこの物語は、非常に大きなセットでありながら、あなたの言うように自分探しの冒険のようなところもありますね。表現するのは難しかったですが、僕は仕上がりにとても満足しています。

続きの部分ですが、僕は自分が出来る限り(俳優業を)続けたいと思っています。僕は複雑なストーリーに惹かれますね。プロデューサー業も俳優業も、同じように続けたいと思います。

ここ、最高の記者会見場ですね!いつもの会議室みたいなところより、よっぽど良い。(背後のジオ・コスモスを振り返って)あれもカッコいい。

『アド・アストラ』ブラッド・ピット 来日記者会見
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── 宇宙のシーンがすごい迫力で、観ている私達も宇宙空間にいるような錯覚を覚えました。宇宙のリアリティやスケールを表現するにあたって、製作者側としてのブラッド・ピットさんはどんな工夫をされましたか。

これもジェームズ・グレイと、撮影監督のホイテ・ヴァン・ホイテマによるものなんですが、彼らがこだわったのは……、今ではCGもありますが、彼らはオールドスクールな方法にこだわったんです。つまり、実際にレンズで撮るんだという。

自然のものを捉えるからこそ説得力が出るわけです。オプティカルやレンズフレア、特に月のシーンでは暗闇。こういうアナログでオールドスクールなものとCGをブレンドさせたんです。これが良かった。完全CG映像には無い、真実味のある体感的なものになっています。

(この説明の日本語訳をひと息で伝える通訳さんをずっと優しく見守ってから)すごい!ついつい手短に答えるのを忘れちゃっって、のんびり喋っちゃったんですけど。

── あの、10回以上日本に来られてると思うんですけど、ちょっと映画には関係ないんですが、今回ちょっと日本でやりたいことをお聞きしてもいいですか?

そういうのを聞かれるのは面白いですね。確かに今回は仕事ではない形でゆっくり日本をまわりたくて、少し早めに来る予定だったんですけど、台風の影響で飛行機がキャンセルになっちゃって。でもやりたいことリストはたくさんあって、田舎の方に行ってみたい。京都にも行きたいし、竹林や庭園にも行きたいし、自然を見たい。あと、鯉が見たいです。どこだっけ……(鯉の有名な地を通訳さんに確認する)。鯉を養殖してるところがあるらしいんですけど。すごく見たくって。これ、個人的なことなんですけどね。

(記者席より、「倉敷?」と声が挙がる。)

とにかく、日本の文化は大好きですよ。人も献身的だし、モノの品質が良い。僕たち(米国人)よりもベターですね。食べ物から、ジーンズまで。あと、鯉への情熱はすごくあります。

(司会者より、映画に関する質問だけでお願いしますと改めてアナウンス。)

今から鯉の話を1時間やっちゃうからね!

『アド・アストラ』ブラッド・ピット 来日記者会見
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── この映画は宇宙という広大な世界を描いている中で、観客が一度は悩んだり葛藤したことのある「自我の闘い」を描いた作品であると感じました。そんな身近なテーマを宇宙を舞台にして描きたかった理由はありますか?

的を得た質問が来ましたね。この映画は『オデュッセイア』のように、自分を探す旅を描いています。人間の謎や孤独というものを宇宙に象徴させているんです。

主人公ロイは、人生うまくいっていなくて、自分の存在価値を見出だせなくなっている。これまで、抱えてきた喪失感や後悔、自分への疑念を押し殺してきました。そして太陽系の最果てまで向かって、ついにこういった自分自身と対面することになるんです。

僕が思う映画の一番好きな魅力は、人間が持つ葛藤を照らすことができる力です。コメディだって、自分の存在を笑い飛ばすことができるじゃないですか。これこそが、映画が持っている本当の力です。

── プロデュースだけでなく、主演も務めようと思った決め手を教えて下さい。またプロデューサーとして、理想の監督像というものがあれば教えて下さい。

ジェームズ監督とは古い友人で、90年代中盤くらいから、何か一緒にやりたいよねって話をしていたんです。僕は今、映画は1年に1本って感じなので、企画が良いかどうかにかかっている。でも僕は今作の主題にすごく惹かれていました。映画っていうのは物凄いコミットメントが求められるから、僕は誰と一緒に仕事をするか、ストーリーに訴えてくるものがあるかどうかを重視しています。

監督については、自分の視点を持っている方が良いですね。最初に企画について話し合う時には、監督の視点を見極めるようにしています。その視点が力強いか、独自性があるか。それが確かめられたら、この冒険に繰り出しても良さそうだと判断します。

Writer

中谷 直登
中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER編集長。ライター、メディアの運営や映画などのプロモーション企画を行っています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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