【ネタバレ】「アソーカ」第6話解説 ─ 『スター・ウォーズ』が新時代に突入、重要人物2人について

この記事には、「スター・ウォーズ:アソーカ」第6話『はるかかなたで』のネタバレが含まれています。また、アニメ「反乱者たち」の内容にも触れています。

「スター・ウォーズ:アソーカ」第6話『はるかかなたで』ストーリー解説
舞台は未知の銀河へ
『スター・ウォーズ』ドラマ「アソーカ」第6話『はるかかなたで』は、“宇宙クジラ”パーギルに乗ってハイパースペースを移動中のアソーカ・タノとヒュイヤンの様子から始まった。アソーカは、パーギルによる銀河間移動がジェダイに伝わるおとぎ話に出てきたことを思い出す。その物語とは“銀河の歴史”(History of the Galaxy)と呼ばれる三部作であるという。
話題は敵の手に渡ったサビーヌ・レンに移る。前話の最後では、ヘラ・シンドゥーラに「連れ去られた」としか答えなかったアソーカだったが、ヒュイヤンに彼女が自分の意志で敵船に乗ったことを明かした。彼女の“失敗”を自分の責任だと悔やむが、ヒュイヤンはそれがサビーヌの取り得る唯一の選択肢であったのではないかと返す。
話題を戻したアソーカは、ヒュイヤンに“銀河の歴史”の物語を聞かせてくれと頼む。なんとその出だしは「遠い昔、はるかかなたの銀河系で……」であった。『スター・ウォーズ』の世界に『スター・ウォーズ』のような遠い昔を描く三部作の物語が存在したというのである。そして、それをアナキン・スカイウォーカーやアソーカ・タノといったジェダイたちはみんな知っていたというのだ。何とも頭を混乱させてくる二重構造である。

シオンの目はついに“新銀河”(仮に以降はこれまでの舞台となった銀河を“旧銀河”、スローンが待つ別の銀河を“新銀河”と呼びたい)に到着する。目の前に広がったのは惑星ペリディア。モーガン・エルズベスは「我が祖先ダスミリの故郷の星」だと説明する。一行は地表からの通信に従い、ペリディアにそびえる遺跡に降り立った。そこで待っていたのは、ダスミリの“グレート・マザー”であった。捕虜として連れてこられたサビーヌは、ジェダイであることを見抜かれ、独房に連行されてしまう。
ダソミアの魔女たちは“マザー”という長によって一族がまとめられる。旧銀河の魔女たちにはかつてマザー・タルジンという長がいた。今回登場した“グレート・マザー”は、“グレート”と付くことから、総本山のような立ち位置で重要な地位を占める人物であることが窺える。モーガン・エルズベスに時空を超えて呼びかけていたのは、このグレート・マザーであったようだ。
魔女一行が何かの用で一時的に去り、遺跡に2人きりとなったベイラン・スコールとシン・ハティ。ベイランは己の過去を語り始め、シンと同じ年代の時にオーダー66とジェダイ・オーダーの崩壊を経験したことを明かした。その後、光と闇の興亡が必然の歴史だと悟るも、その循環に終止符を打つことが彼の目的であると話す。ベイランはスローンや魔女とも違う、何か別の存在をこの新銀河で探し求めたいようだ。
突如、遺跡に地響きが鳴り響く。上空に現れたのは、巨大な怪物が描かれた船底、かつてパーギルの触手によって破壊されるも継ぎはぎで修理されている船体、スローン大提督の旗艦スター・デストロイヤーのキメラだ。格納庫にはストームトルーパーの一団が控える。そのヘルメットとアーマーは、ひび割れて薄汚れており、ところどころ鈍く光る金色の素材で埋められている。
彼らの間をゆったりと歩き、一行の目の前にスローン大提督が現れた。どうもダスミリの3人は脱出に力を貸す引き換えに、自らもキメラに同乗して旧銀河へと移動したいようだ。モーガンがベイランとシンを紹介すると、スローンは彼を“ベイラン・スコール将軍”と認識し、彼が「ジェダイとは決別した」と言うのに対し「なるほど、君もか」と返した。スローンの頭にあったのはアナキン・スカイウォーカー/ダース・ベイダーであろう。正史小説『Thrawn: Alliances』(未邦訳)ではスローンが、ジェダイ時代のアナキン、帝国時代のベイダーの両方と共に行動した時の話が描かれている。
サビーヌは捕虜としてスローンの前に突き出された。エズラ・ブリッジャーのために銀河の運命を懸けたことにスローンは感心し、何を思ったのかあっさりと再会に協力する姿勢を見せ、サビーヌは荒野に向かって旅立つ。だがもちろん、ただで行かせてくれた訳ではなく、ベイランとシンにその後を追わせるのであった。
サビーヌは早速、落ち武者のような姿の一団に襲われる。ライトセーバーも駆使してなんとか追い払った後は、背中に岩を背負ったヤドカリのような人々に出会った。彼らはサビーヌの肩甲に描かれた新共和国のシンボルに反応し、ペンダントを取り出す。そこには新共和国のシンボルの前身であり、サビーヌ自身がデザインした“スターバード”らしき模様が描かれていたのであった。
その頃、サビーヌを追跡中のシンはベイランにエズラのことを尋ねる。エズラはジェダイであるが、聖堂ではなく野で育った“木剣ジェダイ”(Bokken Jedi)だったとベイランは答えた。第3話のジェダイ訓練でも英語字幕で“(Wooden Bokken saber whooshing)”(木剣セーバーの風切り音)というように聴覚障がい者向け字幕に使われていたが、今回は『スター・ウォーズ』の世界内で実際に使われる言葉として“木剣”が登場した。第3話では目隠し訓練が、“座頭市”を想起させる“ザトーチ”という名称であったことが話題になっていた。
ヤドカリのような人々に連れられて、サビーヌは彼らの集落に到着する。そこで彼女を待ち受けていたのは、髭を貯えたエズラ・ブリッジャーであった。彼の第一声「やっぱり君は頼りになる」は、サビーヌに言い続けてきた「頼りにしている」(I’m counting on you.)を受けたもの。2人は再会を喜ぶ。アニメ「反乱者たち」(2014-2018)のファンであれば、2人のセリフ、話し方、間の取り方、佇まい、ちょっとした仕草まで、全てがエズラとサビーヌそのものであることが感じられたであろう。そこに畳みかけてくる2人のハグとエズラのテーマには鳥肌を禁じ得ない。
“帰還”した2人の重要人物を解説
スローン大提督

本名はミスローニュルオドといい、旧銀河の果てである“未知領域”に住むチス種族の出身。エイリアンでありながら人間至上主義の帝国軍で、12人しか存在しなかった大提督の地位まで登り詰めた実力者である。
元は1991年に発売されたティモシー・ザーン著の小説『帝国の後継者』を筆頭とする『スローン三部作』で初登場し、「反乱者たち」のシーズン3で設定を少し変えた形で正史入りを果たした。同作で声優を務めたラース・ミケルセンが実写版の俳優も演じている。
スローンは、敵の文化や芸術を観察して民族・集団特有の思考回路を分析することで、驚くほどに正確な戦術を立てた。「反乱者たち」では幾度となくエズラたち反乱軍を苦しめている。同作においてアソーカとの直接の接触はないため、彼女が追ってきていると聞いて、すぐに経歴や故郷、そしてジェダイにとって重要な師匠が誰であるかまでを確認したのは、まさにスローンの手法である。
ドラマ「マンダロリアン」シーズン3では、彼に仕えた帝国将校のギラッド・ペレオンがシャドー評議会の幹部として登場している。モフ・ギデオンにかつての上官の帰還を切り捨てられていたが、いよいよその“幻想”の実現が秒読みとなっているのだ。
エズラ・ブリッジャー

惑星ロザル出身で、ケイナン・ジャラスを師匠としたジェダイ。アニメ「反乱者たち」の主人公である。ケイナンやサビーヌ、ヘラたちと共に反乱分子“スペクターズ”として帝国軍と戦った。フォースを通じて動物と通じ合うのが得意で、ロザル解放戦ではパーギルの力を借りスローン大提督もろとも銀河のかなたに飛んでいくという奇策で反乱軍に勝利をもたらしている。

スペクターズ加入時には、サビーヌに対して好意を持っているような様子も見せたが、苦難を共にするうちに“きょうだい”のような絆を結んだ。本作「アソーカ」の第1話でも、パーギルに乗って消える前に、仲間みんな向けとは別にサビーヌ個人へ向けたメッセージを残していたことが明らかになっている。
ロザル解放戦が『エピソード4/新たなる希望』(1977)の少し前となるため、本話で2人は約10年ぶりの再会を果たしたことになる。しかし、サビーヌはどうやってここまで来たのかについては答えられず、言葉を濁してしまった。
サビーヌとエズラの間には火種が潜み、サビーヌとアソーカの間にもわだかまりが残っている。その一方、敵方も一枚岩とは言いがたい微妙なバランスで共闘関係がつなぎ止められているようだ。まだ誰がどう転ぶか全く読めない。次回にも期待しよう。
「アソーカ」はディズニープラスにて独占配信中。
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