【ネタバレ】「エイリアン:アース」第5話の戦略的意図 ─ 「これって『エイリアン』じゃん」と思われるために

この記事には、「エイリアン:アース」第5話『宇宙では誰にも…』のネタバレが含まれています。

「エイリアン:アース」第5話『宇宙では誰にも…』では、ウェイランド・ユタニ社の宇宙船マジノ号が再登場。そこで起きたエイリアンによる襲撃の経緯が描かれると同時に、プロディジー社のCEOボーイ・カヴァリエ(サミュエル・ブレンキン)がその後の墜落に関与していたことも明かされる。
一方、ひとつ前の第4話は、異なる生命体の言語を習得したウェンディ(シドニー・チャンドラー)が、ゼノモーフの幼体・チェストバスターと意思疎通をはかる衝撃的なラストで幕を閉じていた。このクリフハンガーの直後に、なぜフラッシュバック回を挿入したのか?
この質問に対してホーリーは、「僕は10話のストーリーを語ることに慣れているのに、今回はスケールや予算の都合などで全8話に収めなければならなかった」と前置きし、「(8話で)伏線を回収できる量は限られる」「第3話の途中からネバーランドに本格的に戻り、そこから残り5話しかない。でもラスト3話は、途中で中断したくなかった」と構成の難しさを吐露。
「シーズンを宇宙船の話で始めるのは、作品の本質じゃないから避けたい」という考えを基に、「では、どこで宇宙船(マジノ号の物語)を出すか? 」と検討した末、「視聴者をネバーランドの物語に没入させ、クリフハンガーで“これは来週が楽しみだ!”と思わせてからだ」との結論に至ったという。
ホーリーは「次週がフラッシュバック回になる以上、それに見合う価値を提供しなくてはいけません。視聴者が見たいのは過去ではありませんから」とも語っており、その価値を映画『エイリアン』(1979)らしい演出で創り上げたという。
「第5話が、緊急事態の真っただ中で始まるのには意味があります。すぐに視聴者に “これって『エイリアン』じゃん!映画版を見せてくれてる!” と思ってもらえるからです。そういう意図で導入したんです。」

こうして第5話がフラッシュバック回となったのは、クリフハンガー後の展開を先延ばしにするためではなく、シーズン全体の構成上の必然だったようだ。その結果、米IMDbではシーズン最高の8.9という高評価を獲得している。
さらにホーリーによれば、第6話では第5話の「バックストーリーを知っているからこそ、全く違う意味を持つ出来事がたくさん起こる」とのこと。“途中で中断できない”ほどのラスト3話では、怒涛の展開も期待できそうだ。
「エイリアン:アース」はディズニープラス スターで配信中。
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Source:Collider