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2017年版『オリエント急行殺人事件』到着前に!古今「オールスターキャスト映画」を振り返る

『オリエント急行殺人事件』(1974)

主な出演者
アルバート・フィニー、ジョン・ギールグッド、ショーン・コネリー、ヴァネッサ・レッドグレイヴ、ローレン・バコール、イングリッド・バーグマン

シドニー・ルメット監督は1950年代から亡くなる2000年代まで長きにわたって演出家として活躍しました。
初期作品はさすがに今みると古臭さを感じますが、彼の凄いところは年代によってスタイルをアップデートしてきたことです。それでいて根本的なスタイルである虚飾を排したソリッドな作りは、初期の傑作である『十二人の怒れる男』(1957)から遺作となった『その土曜日、7時58分』(2007)まで一貫していました。紛れもなく映画史に残る名匠でした。

1970年代はルメットの全盛期です。この頃、彼は『セルピコ』(1973)『狼たちの午後』(1975)『ネットワーク』(1976)と立て続けに映画史に残る傑作を生み出していますが、これらの作品は歴史的価値だけでなく、今見ても新鮮な驚きがあります。

シリアスな社会派作品をメインフィールドにしていたルメットですが、『オリエント急行殺人事件』は精力が充実していたころの彼が作った“らしくない”とても楽しい映画です。
多くの人物が行き交う画面密度の高い作品ですが、元々子役で、舞台演出を知り尽くしていたルメットらしく見事な交通整理を見せています。BGMの多用を好まなかったルメットですが、本作では逆に音楽の邪魔になる効果音を極力排し、オリエント急行が出発する時には軽妙なワルツが流れました。ルメットは本作を「スフレのような陽気な映画」と語っていたそうですが、言葉の通り、今見ても本当に楽しい映画です。


こうしてまとめてみると、やはりオールスターキャストの映画はアートよりもエンターテイメントへとベクトルを向けた映画が多いようです。そういった意味で、殺人事件でありながらどことなくコミカルな風合いの『オリエント急行殺人事件』はオールスター映画向けの題材なのかもしれません。

すでに前評判も高い2017年版の『オリエント急行殺人事件』、その仕上がりが実に楽しみです。

 

Eyecatch Image: https://www.amazon.co.jp/オリエント急行殺人事件-スペシャル-コレクターズ-エディション-DVD-アルバート-フィニー/dp/B00DACN6AQ/

Writer

ニコ・トスカーニ
ニコ・トスカーニMasamichi Kamiya

フリーエンジニア兼任のウェイブライター。日曜映画脚本家・製作者。 脚本・制作参加作品『11月19日』が2019年5月11日から一週間限定のレイトショーで公開されます(於・池袋シネマロサ) 予告編 → https://www.youtube.com/watch?v=12zc4pRpkaM 映画ホームページ → https://sorekara.wixsite.com/nov19?fbclid=IwAR3Rphij0tKB1-Mzqyeq8ibNcBm-PBN-lP5Pg9LV2wllIFksVo8Qycasyas  何かあれば(何がかわかりませんが)こちらへどうぞ → scriptum8412■gmail.com  (■を@に変えてください)

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