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『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』ヴィランとマイルスの共通点とは ─ スパイダーマン2099も「一種の敵対者」

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース
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アカデミー賞に輝いた『スパイダーマン:スパイダーバース』(2018)の続編映画、『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』が2023年に公開される。主人公のマイルス・モラレスは、いくつものスタイルで描かれたマルチバースを旅し、およそ240名ものキャラクターに出会うことになるのだ。

製作・脚本には『レゴ(R)ムービー』(2014)などで知られるフィル・ロード&クリス・ミラーが前作から続投。米Entertainment Weeklyでは、マイルスが新たに挑む冒険のテーマがミラーによって語られている。

「マイルスは成長の過程で、どうやって外の世界を見ようか、翼を広げて羽ばたいていこうかと考えるようになります。しかし、彼は自分の家や家族に深い思い入れがある。ティーンエイジャーとして人生に葛藤しているんです。どうすれば自分のルーツを失うことなく自立できるのか、と。」

『スパイダーバース』といえば、革新的なアニメーション表現と、個性豊かなキャラクターたちの競演が見どころ。前作からはグウェン・ステイシーとピーター・B・パーカーが再び登場するほか、グウェンのメンターとなるスパイダーウーマン/ジェシカ・ドリューもバイクを駆って現れる。冒頭にも触れたように、数え切れないほどのキャラクターが揃い踏みとなるのだ。しかしロード&ミラーは、あくまでも本作はマイルス・モラレスの物語なのだと強調する。

そのことを確かなものとするのが、マイルスの前に立ちはだかる“ふたりの敵対者”だ。オスカー・アイザック演じるスパイダーマン2099/ミゲル・オハラと、本作のヴィランであるザ・スポットである。

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース (パート1)
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ロード&ミラーによると、マイルスとミゲルの間には共通点がたくさんあるものの、ふたりは必ずしも味方同士というわけではないとのこと。とりわけ、マルチバースの危険性については意見を分けることになるようだ。ミラーは「(ミゲルは)悪役ではありませんが、マイルスにとっては一種の敵対者。ふたりとも自分が正しいと思っていますから」と語る。

かたや、真のヴィランであるザ・スポットは、複数のマルチバースにまたがるポータルを創る能力の持ち主。コミックの世界でも有名なヴィランではないが、ロード&ミラーはザ・スポットを「アニメーションにぴったりのキャラクター」だと豪語する。なにしろ彼の能力をもってすれば、現実の世界を、懐かしのワイリー・コヨーテ風のカートゥーンのごとく歪めることさえできるのだ。

「僕はヒーローの冒険を映し出すヴィランが好きなんです。ある意味で主人公の暗い鏡のような……」と語るロードは、ザ・スポットもそのひとりだと言う。「彼(ザ・スポット)は正当に評価されたがっているんです。くだらない格好をしているし、スパイダーマンの敵としては上級とも思われていないけれど、誰もがそうであるように、彼も真面目に向き合ってもらいたいんですよ」

果たしてマイルスとミゲル、ザ・スポットはどのように出会い、衝突し、どんな着地点を見出すのか。ミラーは「最も難しいのは、自分自身が大切にできる物語、自分の気持ちが繋がれる物語を作ること。それなくしては何もなしえません」と言い切るが、裏返せば本作もその課題をきちんとクリアできたということだろう。登場人物の織りなす、思わず胸が熱くなるエモーショナルな物語に期待したい。

映画『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』は2023年、『スパイダーマン:ビヨンド・ザ・スパイダーバース』も2024年公開。

Source: Entertainment Weekly

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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