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米Amazon、MGMの買収を発表 ─ 『007』シリーズは今後も劇場公開の方針

MGM

米Amazon.comは、ハリウッドの大手スタジオ・MGM(メトロ・ゴールドウィン・メイヤー)を84億5,000万ドルで買収することを発表した。米Deadlineなどが報じている。

MGMは2020年12月に自社売却を検討していると報じられ、複数のテクノロジー企業が買収を検討してきた。2021年5月17日(米国時間)にAmazonが買収に積極的であることが報じられ、21日には両社ともに積極的で、早期の決着を望んでいるとも伝えられている。その後、1週間かからずの正式発表となった。

AmazonはMGMの買収により、同社のライブラリを一挙に手中に収める。『007』『ロッキー』『クリード』『ロボコップ』『トゥームレイダー』『ポルターガイスト』といった人気シリーズをはじめ、『羊たちの沈黙』(1991)『レイジング・ブル』(1980)『12人の怒れる男』(1957)『テルマ&ルイーズ』(1991)といった4,000本以上の映画や、「FARGO/ファーゴ」(2014-)「ハンドメイズ・テイル/侍女の物語」(2017-)など17,000時間以上のテレビ番組が、今後Amazon Prime Videoに登場することになりそうだ。ただし、『オズの魔法使』(1939)『風と共に去りぬ』(1939)『雨に唄えば』(1952)など一部作品の権利はWarnerMediaが保有しており、買収を経てもAmazonには移譲されない。

報道によると、MGMは買収後もAmazon傘下のレーベルとして活動を継続する見込み。買収報道に際しては、おなじみ『007』シリーズが今後は配信リリースになるのではないかともささやかれたが、シリーズのプロデューサーであるバーバラ・ブロッコリ&マイケル・G・ウィルソンは、「世界中の映画館の観客のため、ジェームズ・ボンド映画を作り続けていくことに尽力してまいります」との声明を発表。次回作『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』のみならず、その後の作品についても劇場公開を続けていく意向を強調した。

007/ノー・タイム・トゥ・ダイ
『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』Credit: Nicola Dove © 2019 DANJAQ, LLC AND MGM. ALL RIGHTS RESERVED.

買収にあたり、Amazonは「MGMの財産や映画作品の数々を守りながら、よりよいアクセスの機会を提供するお手伝いをいたします。今回の買収を通じて、AmazonがMGMの仕事である“最高のストーリーテリング”の継続に力をもたらすことになるでしょう」とのコメントを発表。AmazonとMGMの両チームが協力し、MGM作品の再創造と、新たな作品の開発に力を入れていく方針を示した。

AmazonによるMGMの買収完了時期は不明だが、報道によると、規制当局の承認は2021年末にも下りる可能性があるとのこと。引き続き進捗に注目したい。

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Sources: Deadline, Variety, IndieWire

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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