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破壊王マイケル・ベイと大笑いインタビュー「俺の爆発シーンを観ろ」 ─ 『アンビュランス』爆裂トーク

『トランスフォーマー』シリーズなどで知られるハリウッドの破壊王、マイケル・ベイ監督の新作『アンビュランス』が、2022年3月25日より日本公開となった。

舞台はロサンゼルス。家族のため金が必要になった元軍人のウィル(ヤーヤ・アブドゥル=マティーン二世)が、義理兄弟でカリスマ犯罪者のダニー(ジェイク・ギレンホール)を頼ったところ、そのまま銀行強盗に参加させらることになってしまう。覚悟を決めて挑んだ強盗は計画通りにはいかず、警察に追われる事態に。窮地に陥った2人が逃走用に乗り込んだのはなんと救急車。しかもそこにはウィルに撃たれてしまった瀕死の警官がいた。

絶対に誰も死なせたくないウィルと、絶対に金を持ち帰りたいダニー。そして、巻き込まれた救命士キャム(エイザ・ゴンザレス)。重症人を乗せた救急車は、ロサンゼルス中を猛スピードで大爆走。豪快に吹っ飛ぶ車、ド派手な爆炎……後を追う警察はパトカーのみならずヘリまで出動。絶体絶命の快作ノンストップ・アクションだ。

THE RIVERでは、マイケル・ベイ監督に一対一の動画インタビューを敢行。この日のベイはご機嫌で、大笑いしながらインタビューに答えてくれた。「俺の爆発シーンを観ろ!」とのパワーワードも登場した爆笑インタビューの様子を、実際の動画とテキストでたっぷりお届け。

『アンビュランス』マイケル・ベイ監督 単独インタビュー

──『アンビュランス』素晴らしかったです!アクションもキャラクターもストーリーも、全部良かったです。こういうスタンドアローンなアクション映画は久しぶりに観た気がしました。『スピード』(1994)や『トレーニング・デイ』(2001)、それからあなたの『バッド・ボーイズ』(1995)や『ザ・ロック』(1996)のような、90年代良作アクション映画のような感じがありました。本作は、こういった90年代アクション映画の現代版として楽しめると思いますか?

そうですね。本作には現代的な要素もたくさんありますが、90年代っぽいというあなたの意見もよくわかります。リアルで現実的な映画ですからね。タフでゲリラ的に撮影しながら、ドローン撮影のカッコよくて独創的な動きもあります。

真実味があるからこそ、ドキドキ感がどんどん高まっていく。とても楽しい映画体験ができると思います。私も大観衆と一緒に見たのですが、観客のリアクションや緊張感が伝わってきましたよ。劇場に戻る良い方法だと思います。

アンビュランス
© 2022 Universal Studios. All Rights Reserved.

スーパーヒーロー映画ではブルースクリーン撮影が多用されていますが、今作は基本的に全部本物のスタント。だからパンチが効いているんです。それでいてエモーショナル。驚いたことに、「アクション映画は好きじゃないけど、この映画はすごく良かった」という女性がたくさんいた。タフでクールな女性キャラクターが登場するからでしょうか。日本ではどうでしたか?他の人たちの反応は?

──皆さん、すごく楽しんでいましたよ!アクションシーンも素晴らしかったですし、特に市街戦はマイケル・マンの『ヒート』(1995)を彷彿とさせるようでした。もしかして参考になさったのでしょうか?

面白いですね、その質問はさっきされたばかりなんです。『ヒート』は若い時に観ました。でも本作を撮る時に、強盗映画を観ることは特にありませんでした。自分のゾーンに入って、頭の中でシナリオを想像して作りますからね。

『ヒート』はもっと現代的な映画だったと記憶していました。もちろん良い映画ですけれど、ちょっと古めかしく感じたんです。当時観た時より違う印象になっていました。

本作では50人のLA市警や本物のSWAT隊員にも参加してもらっています。もしも本当に銃撃戦が始まったら、彼らが実際に取る反応を取り入れています。劇中ではとてもシリアスで、冗談も言いません(笑)。スナイパーも登場して、リアルだったでしょう?

アンビュランス
© 2022 Universal Studios. All Rights Reserved.

──すごくシリアスでしたね。それで、劇中ではロサンゼルス川が重要なシーンで登場します。ロサンゼルス川といえば、1作目の『トランスフォーマー』(2007)でもバンブルビーが捕まってしまう場面の舞台になっていましたよね。このロケーションはお気に入りなのでしょうか?それとも偶然ですか?

LAでの撮影は大嫌い。ハッハッハッハッ(笑)。私はLA育ちで、LAで撮影を始めたのは21歳の時です。ミュージックビデオの監督でした。この街のことは知り尽くしています。街が巨大化する一方、ホームレスも増えたし、汚くなった。車も多すぎるし。撮影はパンデミックの真っ最中だったから、ずいぶん空いてたな。

LAにはクールな景色がたくさんあって、私も久々に訪ねました。世界中で撮影するのが好きで、ギザのピラミッドやスペースシャトルなんかで撮ってきていましたが、久しぶりにLAに戻ることができて良かったです。

アンビュランス
© 2022 Universal Studios. All Rights Reserved.

──そのLAの街の撮り方が最高でした。まるで空を這う蛇のように、カメラが空中を飛んでいましたね。あれにはどういった意味があったのでしょうか。

これまでの映画では観たことがなかったような、新しいことを試したかったんです。19歳のドローン操縦士が見つかってね。ドローンを飛ばしてもらえたから、クレイジーなことをやってもらったんです。彼らも「こんなの頼まれたことない」と言っていましたが、「だからこそ、こういうことをやってほしいんだ」ってね。楽しかったですよ。「車の下を潜り抜けるんですか?」「うん!」「練習はできますか?」「NO!」って(笑)。

──ネタバレは避けますが、劇中での重要な会話が、オンラインで展開されるところがあります。まさに今の僕たちみたいに。それから、街の人がマスクをしている描写もありましたが、コロナ禍における「ニューノーマル」が製作に影響を及ぼしたことはありました?

少しはあったかな。コロナ禍は今後もしばらく続くでしょうし、映画が公開される頃でもマスクを着用する人はいるはずです。実際に街を見ても、マスクをしている人もいれば、していない人もいる。日本ではどうか分かりませんが、それが世間の状況です。フランスもマスク着用をやめたばかりですよね。私はマイアミに住んでますが、もうマスクは外しました。1年半ほど前だったかな。

──日本ではまだみんなマスクを着用しています。

そうですか。

──最近、あなたは爆発シーンの作り方について、こんなことを仰っていました。「爆発には秘訣があって、言わばレシピのようなもの」「シーザーサラダを作るようなもんです」。これ、最高ですね(笑)。だって、爆発シーンを食べ物に例えるなら、普通はステーキとかバーベキューとか、少なくとも肉料理になると思うんですよ。でもシーザーサラダですよ!前菜じゃないですか!あなたにとって、爆発シーンを作るのはそれだけ自然ということですか?

ハッハッハ(笑)。いやー、なんでサラダと言ったかというと、たまたま頭にパッと浮かんだんだろうね。

私はよく言ってるんですけど、ゴムの破片をガラスの破片みたいに飛び散らすんです。爆発シーンには、破片物を飛び散らせると良い。もちろん当たっても大丈夫なフェイクの破片です。釘とかではダメで、何かゴム性のものです。それを置いておくと、あちこちに飛び散って、よりリアルに見えるようになります。

アンビュランス
© 2022 Universal Studios. All Rights Reserved.

私は爆発シーンを山ほどやってきて、若い監督相手にプロデュースをやることもありますが、「俺のやった爆破シーンを観ろ!」と教えてます。ダサい爆発シーンは嫌だからね。映画学校みたいな、フェイク・ハリウッドな、黒煙も出ていないような爆発はダメ。小さな仕掛けが、リアルな爆発シーンの秘訣です。

アンビュランス
© 2022 Universal Studios. All Rights Reserved.

──僕はラッキーなことに、本作をドルビー版で観られたんですけど、音の迫力が素晴らしかったです。まるで戦闘のど真ん中に入り込んだようでした。サウンドデザインへのこだわりは?

本作の音響を手掛けたのは、『ロード・オブ・ザ・リング』や『トランスフォーマー』もやっていて、アカデミー音響編集賞も獲っている方たちです。本作は低予算映画ですし、私への好意でやってくれています。そして、アトモスを多用しました。実は、アトモスのホームシアターを揃えたのは私が世界初なんですよ。だからドルビーとの出会いは早かった。『トランスフォーマー』で使って欲しいと頼まれまして。

使い方を心得ている監督もいれば、そうでない監督もいる。うまく使いこなせば、天井から音が鳴るので、飛行機のクラッシュシーンなら、劇場そのものを回転させるような音の演出ができます。まるでヘリコプターが自分の頭上を飛んでいるような、映画の中に入ったかのような体験ができるんです。本作でも、音楽をどのように抜けさせていくかが面白かったですね。

──ここ最近、映画監督たちによるスーパーヒーロー映画批判が話題になっています。あなたも『トランスフォーマー』といった大作映画を手掛けられていますが、スーパーヒーロー映画はやっていませんね。どのようにお考えでしょうか?

『トランスフォーマー』のオプティマスプライムも、ある意味スーパーヒーローだとは思いますよ。私は、『バットマン10』とか『スパイダーマン9』みたいなスーパーヒーロー映画はやりたくないし、興味がない。映画をやるなら、自分の世界観でやりたいんです。リドリー・スコットは、「映画監督にとって一番大変なのは、どんな世界を作るのかということだ」と言っています。それがひとつ難しい。私はジョージ・ルーカスの跡を継いで『スター・ウォーズ』を監督するつもりはない。自分のものを作りたいんです。それが監督を世界観を作る楽しみの半分です。ただ、もしスーパーヒーローをやる機会があるなら、やりますよ。

アンビュランス
© 2022 Universal Studios. All Rights Reserved.

──最高です!ところで、本作でジェイク・ギレンホールが一部自分で撮影をやったという話を聞いたんですが、本当ですか?

いや、それは記者が話を盛ってるな。救急車の車内ではカメラを設置する箇所がたくさんあって、そこら中にカメラがあった。それで時速100キロくらいで走行する中で、ジェイクが膝の上でカメラを持って、顔を録ろうとしていたり、膝上のカメラを手で押さえてヤーヤと演技をしたりしていたんです。ジェイクには、足元にカメラを置いて顔を撮って欲しいと頼んだことがありました。そんな低いところに撮影師は入れませんからね。そういうことですよ。彼にカメラを渡して、撮りにくいアングルをお願いしたことはありました。

──ありがとうございました!

ありがとう。日本の皆さんにもよろしくお伝えください。

アンビュランス
© 2022 Universal Studios. All Rights Reserved.

映画『アンビュランス』は公開中。

キャム役エイザ・ゴンザレスへのインタビュー

Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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