米国最大の映画館チェーン、新型コロナで倒産の可能性 ─ 分かれ目は6~7月か、専門家が予測

アメリカ最大の映画館チェーン、AMCに倒産の可能性が浮上している。米The Hollywood Reporterなど複数のメディアが、経営アナリストのエリック・ハンドラー氏による予測を公開した。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大を受け、2020年3月、AMCは自社が運営する630の映画館を一時休業することを決定。休業の発表時、期間は最長で6月中旬ごろまでとされたが、その直後にAMCは「収入源は絶たれたが、固定支出は残る」との声明を発表。CEOや幹部を含め、約27,000人の従業員に対し、減給または休暇を言い渡すことを決定していた。
現在、ハンドラー氏はAMCについて「破産は可能性にすぎないが、少なくとも再編が必要になる」とみている。2019年末の時点で、AMCの現金手許残高は2億6,500万ドル、加えて融資限度額が3億3,200万ドルとされており、約6億ドルを保有している状況だ。しかし映画館の収入が得られない今、AMCは月に1億5,500万ドルを失う状況にあるとのこと。したがって、6~7月までは経営を維持できるものの、「休業が8月まで続く場合、そこまでの資金調達能力はない」とみられているのだ。すでにAMCは4月から、劇場の賃借料の支払いを一時停止する措置を講じていた。
またハンドラー氏は、もしもAMCが政府による緊急の資金援助を受けられるとしても、同社は47億5,000万ドルの負債を抱える見込みだという。したがって「極めて厳しい状況であり、(企業の)再編は避けられない」というわけだ。
先日、AMCの会長兼CEOであるアダム・アーロン氏は、米国のテレビ番組で、映画館の営業再開は5月1日~6月中旬ごろになると言及。1年で特に集客が見込める、夏の映画商戦への期待をまだ捨てていないことを明らかにしていた。あくまで「どうなるかはわからない」としながらも、「夏の映画シーズンをぜひ再び楽しんでほしいと考えています」と述べたのだ。スタジオ各社は、夏公開予定だった映画についても、すでに続々と公開延期を決めている。それでも映画館サイドは、“夏には営業を再開しなければ倒産しかねない”という、これ以上なく切迫した状況にあるのだ。
Source: The Hollywood Reporter, Variety