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【ネタバレ解説】『アナと世界の終わり』が描く黙示録とは ─ なぜ◯◯が残らないのか

アナと世界の終わり
© 2017 ANNA AND THE APOCALYPSE LTD.

あなたが青春まっさかりのとき

恋愛は本や映画や歌みたいにいかないって

誰も教えてくれないわ

私たちはずっとずっと

嘘まみれで生きてきたの

自分を偽ることにうんざりよ

「ハリウッド・エンディング」みたいな事件なんてどこにもない

(“Hollywood Ending”)

ゾンビ×ミュージカルという、奇想天外なアイデアが大ウケし、意外なヒットになったのが『アナと世界の終わり』(2017)だ。ハイスクールの卒業を控えた10代の少年少女が、ゾンビまみれになった世界でサバイブを強いられる。ときにコミカルで、ときに恐ろしく、最後は切ない本作は、「フレッシュな作品」を求めていた映画ファンをがっちりロックした。すでに『ショーン・オブ・ザ・デッド』(2004)と比較して、ストーリーの面白さを称える論調も定着しつつある。

ただ、一度見ただけでは「モヤモヤ」が残ってしまった観客もいるのではないだろうか?この記事では、そんなモヤモヤを通して、本作のメッセージを解読していく。

この記事には、『アナと世界の終わり』のネタバレが含まれています。

退屈な田舎町にゾンビが現れた!

アナと世界の終わり
© 2017 ANNA AND THE APOCALYPSE LTD.

シングルファザーに育てられてきた女子高生のアナ(エラ・ハント)。彼女は、イギリスの田舎町を出て広い世界を見るのが夢だ。しかし、父親のトニー(マーク・ベントン)は娘を心配するがあまり、普通に大学へ進学してほしいと願っていた。高校に行けば、校則にうるさいサヴェージ校長(ポール・ケイ)がガミガミ言ってくる。幼なじみで親友のジョン(マルコム・カミング)はアメフト部の連中にイジメられている。本当につまらない!ハリウッド映画のような事件など起こらず、アナは鬱屈していた。

ある朝、いつものように登校していたアナは、不思議な空気を感じていた。なんだか世界が違って見える。今日は何かいいことが起こりそうだ。ヘッドフォンをつけて、自然と踊りながら口ずさむ楽曲は“Turning My Life Around”。「人生が方向転換」する予感に、アナはときめく。そんな彼女の後方では、人々がゾンビの犠牲になっていた……。

異変に気づいたアナとジョンはとりあえず、アルバイト先のボーリング場へと逃げ込んだ。友人で映画オタクのクリス(クリストファー・ルウォー)、レズビアンのステフ(サラ・スワイヤー)も合流する。どうやら、世界中の人間がゾンビに襲われ、噛まれてゾンビ化しているようだ。恐怖に慄く4人──と思いきや、意外にも彼らは能天気だ。それもそのはず、退屈な日常に、待ち焦がれていた「事件」が訪れたのだから!

Writer

石塚 就一
石塚 就一就一 石塚

京都在住、農業兼映画ライター。他、映画芸術誌、SPOTTED701誌などで執筆経験アリ。京都で映画のイベントに関わりつつ、執筆業と京野菜作りに勤しんでいます。

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