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MeToo運動の中心女優、性行為強要の報道を否定 ― 「多額の金銭を要求されていた」と主張

アーシア・アルジェント
Photo by Georges Biard https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Asia_Argento_Cannes.jpg Remixed by THE RIVER

女優・脚本家・映画監督のアーシア・アルジェント氏が、若手男優に性行為を強要し、多額の和解金を支払うことで合意したとの報道を真っ向から否定した

アーシア氏は、2017年10月、映画プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタイン氏から性行為を強要されたと告発して以降、「#MeToo」ムーブメントの代表的存在として扱われてきた人物だ。
ところが
2018年8月19日(現地時間)、米New York Timesは、アーシア氏が2013年に男優・歌手のジミー・ベネット氏に対して性行為を強要していた、和解金としてジミー氏に38万ドルを支払うことで合意していたとの記事を発表。MeToo運動の中心人物が自らも性行為強要の加害者だったという告発は、ハリウッドのみならず世界中に大きな衝撃を与えた(詳細はこちらの記事をご参照いただければ幸いである)。

しかし報道から2日後の8月21日(米国時間)、アーシア氏はジャーナリストのヤシャール・アリ氏に報道の内容を否定する声明文を送付している。ヤシャール氏はTwitterを通じて声明文の内容を公表した。

この声明文の中で、アーシア氏はNew York Timesの記事や一連の報道を「強く否定し、また反論します」と記している。以下がその和訳全文である。

「2018年8月18日付のNew York Timesの記事内容、および国内外での報道を強く否定し、また反論します。

私はニュースを読み、著しく誤った内容であることに大きなショックを受け、深く傷つきました。(ジミー・)ベネット氏との間には、いかなる性的な関係も一切ありません。

数年間にわたって、私は彼と友情のみによって繋がっていました。しかし、のちに私が(ハーヴェイ・)ワインスタイン氏の件で公の場に出た際、ベネット氏は――当時の彼は非常に重い経済的問題を抱えていました、以前ご自身の家族に対して数百万ドルの損害賠償を求める訴訟を起こされていたので――、突然私に対して、法外な金銭を要求したのです。ベネット氏は私のボーイフレンドであるアンソニー・ボーディン氏を知っていました。(アンソニー氏は)非常に裕福だと認識されていましたし、人気の著名人として守るべき名声もあったのです。

アンソニー氏は問題を内密に処理するよう求めましたし、それはベネット氏が求めていたことでもありました。アンソニー氏はベネット氏のような人物は私たちに危険をもたらしうると考え、ネガティブな影響を恐れたのです。私たちは思いやりをもって、ベネット氏の要求に、支援を与えることで対応することを決めました。アンソニー氏は個人的に、私たちの生活がこれ以上脅かされないことを条件に、ベネット氏を経済的に支援することを引き受けました。

これこそ、私を深く悲しませる出来事が数えきれないほど繰り返されてきた経緯であり、そして長年にわたる迫害の一部です。したがって誤った主張には反論せざるを得ず、これはあらゆる法的な場に先がけて、短期的に自分自身を守るために必要な取り組みだと考えています。

アーシア・アルジェント」

この声明においてジミー・ベネット氏の要求を引き受けた人物として登場する、アーシア氏の恋人だったアンソニー・ボーディン氏は、2018年6月に自ら命を絶っている。今後、本件が「法的な場」に持ち込まれる場合、アーシア氏の主張した内容が事実であるという根拠が示されていくことになるだろう。

また声明の内容は、New York Timesが伝えた、アーシア氏とジミー氏、双方の弁護士が作成した書類の内容とは一部一致している。アーシア氏からジミー氏に支払われる金銭は「ジミー氏を支援するもの」として合意されているのだ。また、ジミー氏が2013~2014年にかけて家族との金銭トラブルにあったことも事実である。
ただしジミー氏の主張する性行為の強要について、アーシア氏は全面的に否定した。同紙が入手した書類は複数の関係者によって本物と認められているだけに、確認通りこの書類が本物だとすれば、その内容にはそもそも偽りがあったことになる。現時点で、問題となっているすべての要素が真実とはいえない状況だろう。

[追記]
本件については、アーシア氏の声明発表後、ジミー・ベネット氏も声明を発表している

Sources: Yashar Ali, VarietyNew York Times
Eyecatch Image: Photo by Georges Biard Remixed by THE RIVER

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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