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MeToo運動の中心女優による性行為強要問題、被害者の男優が声明を発表 ― 「もう沈黙することはありません」

ジミー・ベネット
Photo by Thomas Attila Lewis https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Jimmy_Bennett.jpg Remixed by THE RIVER

女優・脚本家・映画監督のアーシア・アルジェント氏が若手男優に性行為を強要し、多額の和解金を支払うことで合意したと報じられた問題について、被害者のジミー・ベネット氏が初めて声明を発表した

ジミー・ベネット
ジミー・ベネット氏(写真は2010年当時)Photo by Thomas Attila Lewis https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Jimmy_Bennett.jpg Remixed by THE RIVER

2018年8月19日(現地時間)、米New York Timesは、「#MeToo」運動の代表的存在であるアーシア氏が、2013年に男優・歌手のジミー・ベネット氏に対して性行為を強要、和解金として38万ドルを支払うことで合意していたとの記事を発表。2013年当時、ジミー氏は17歳、アーシア氏は37歳だった(カリフォルニア州の性的合意年齢は18歳)。
映画プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタイン氏を告発したアーシア氏が自らも性行為強要の加害者だったという報道は、ハリウッドのみならず世界中に大きな衝撃を与えている(詳細はこちらの記事をご参照いただければ幸いである)。

ジミー・ベネット氏の声明和訳

「多くの勇敢な女性たち、男性たちが、#MeToo運動の中で自らの経験を堂々と口にしてきました。そのような立場を公言する皆さんの、それぞれの勇気に私は感謝しています。私は最初、自分の物語をお話しすることはしませんでした。私を不当に扱った人との間で、このことを内密に処理するほうを選んだからです。

私のトラウマが甦ったのは、彼女自身が被害者として(公に)登場してきた時でした。私がこれまで声明を発表しなかったのは、世間で語られる物語の一部となることを恥ずかしく思い、また恐れたためです。事が起こった時、私は未成年でした。当時の私は自分なりに納得できる方法で正義を求めていたのです。自分の物語を公のものとする、その影響に対処する準備はありませんでした。当時は、われわれの社会で、男性としてそうした状況に置かれることは不名誉だと思っていたのです。ティーンの少年が起こった出来事について語るのを、人々に理解してもらえるとは思いませんでした。

これまでの人生で、私はあまたの逆境を乗り越えてこなければなりませんでした。この逆境にも、いずれ私は折り合いをつけることでしょう。私は自分の人生において、この出来事を乗り越えたい。今日、私は先へ進むことを選びます。もう沈黙することはありません。」

アーシア氏がジミー氏に対して性行為を強要したと報道されたことについて、アーシア氏は一連の内容を「著しく誤った」ものだと強く否定。ジミー氏との間に性的関係は一切ないとしたうえで、以前からジミー氏から多額の金銭を要求されていた、恋人のアンソニー・ボーデイン氏(2018年6月に死去)とともにジミー氏を支援する目的で金銭を支払ったとの声明を発表している

このたびジミー氏が発表した声明は、New York Timesに掲載された記事内容と概ね一致している。自身に深いトラウマがあること、アーシア氏が「#MeToo」運動の中心人物として世間に登場したことで傷が甦ったとするものだ。一方で、記事で報じられた2013年当時の状況、およびアーシア氏が声明文を通して主張した内容についての言及はない。

ジミー氏は、アーシア氏が2004年に脚本・監督・主演を務めた映画『サラ、いつわりの祈り』に出演。当時8歳だったジミー氏はアーシア氏演じる主人公の息子役を務めており、撮影後も二人は断続的に連絡を取り合っていたという。

Source: Variety
Eyecatch Image: Photo by Thomas Attila Lewis Remixed by THE RIVER

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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