【詳報】MeToo運動の代表的女優、若手男優への性行為強要が報じられる ― ハリウッドに激震、関係者の声明相次ぐ

映画プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタインから性的暴力を受けたことを告発した女優アーシア・アルジェント氏が、自身も若手男優に性行為を強要し、多額の和解金を支払うことで合意していたことがわかった。米New York Timesが独占で報じたのち、複数のメディアにて大きく取り上げられている。
ホラー映画の巨匠ダリオ・アルジェント監督の娘であり、自身も映画監督・脚本家・女優として活躍するアーシア氏は、2017年10月にハーヴェイ氏による性行為の強要を告発して以降、「#MeToo」ムーブメントの代表的存在として扱われてきた。
アーシア・アルジェントの性行為強要、報道の趣旨
New York Timesが本件を報じるに至ったきっかけは、アーシア氏とジミー氏による告発と和解金に関する書類が、匿名で同紙に送付されたことだった。書類は双方の弁護士が作成したもので、二人の姿が映った“自撮り写真”も添付されていたという。書類が本物であることは関係者3名が認めている。アーシア氏とジミー氏は同紙の取材に応じていない。
アーシア氏とジミー氏の間に近しい関係が生じたのは、アーシア氏が脚本・監督・主演を務めた映画『サラ、いつわりの祈り』(2004)だった。この作品で、当時8歳だったジミー氏はアーシア氏演じる主人公の息子役を務め、その後も二人は断続的に連絡を取り合っていたという。ジミー氏はアーシア氏を「指導者であり、母親のような存在」だと捉え、またジミー氏の弁護士は、二人が「撮影を経て、親子のような関係になっていった」と説明している。
ところが問題の行為は、2013年5月9日、カリフォルニア州のホテル「ザ・リッツ・カールトン マリーナ・デルレイ」にて起こったという。New York Timesが入手した書類には、ジミー氏側の主張が記されていた。
当日の朝、ジミー氏は家族によってホテルまで車で送られている。アーシア氏はジミー氏の家族を帰したのち、ジミー氏とホテルの部屋で二人きりになり、アルコールを与え、ホテルの文房具で書かれたメモを読ませたという。その後、アーシア氏はジミー氏にキスをし、ベッドに押し倒し、下着を脱がせて行為に及んだというのだ。
その後、アーシア氏はジミー氏に写真を撮るよう求めたとされる。それが書類に添付されていた“自撮り写真”であり、なんとそのうちの一枚とみられる写真は、アーシア氏のInstagramに投稿されているのだ。
ジミー氏側の主張によれば、ホテルからの帰路、ジミー氏は「激しく混乱し、後悔し、嫌悪した」という。それから4年半後の2017年11月、ジミー氏は性行為の強要がトラウマとなり、仕事や収入、精神面の健康に大きな影響を与えたとして、アーシア氏に対して告訴の意向を示している。アーシア氏がハーヴェイ・ワインスタイン氏による性暴力を告発した翌月の出来事だった。弁護士によれば、ジミー氏は「アーシア氏が性的暴行の被害者として振る舞っているのが耐えられない、アーシア氏がスポットライトを浴びることで当時の記憶が蘇ってくる」状態にあったという。
当初、ジミー氏はアーシア氏に和解金として3,500万ドルの支払いを求めていた。しかし両者の協議の結果、和解金は38万ドルに落ち着いている。2018年4月、アーシア氏は和解の条件に則って、まずは20万ドルを支払ったという。
米Varietyの調べによれば、ロサンゼルス郡保安局はアーシア氏を取り調べる状況にはないが、ジミー氏の主張に関して、近くアーシア氏に接触する、またジミー氏への接触も試みるということだ。
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