Menu
(0)

Search

【レポート】ウィレム・デフォー『永遠の門 ゴッホの見た未来』で来日 ─ リリー・フランキーの名コメントに感激の微笑ましい舞台挨拶に

『永遠の門 ゴッホの見た未来』ジャパンプレミア 舞台挨拶
© THE RIVER

誰もが知る画家であり、その死は今なお謎が残されるフィンセント・ファン・ゴッホは、自らの人生を通して何を見つめていたのか。『スパイダーマン』(2002)などでも知られる名優ウィレム・デフォーが晩年のゴッホの演じる映画 『永遠の門 ゴッホの見た未来』が、2019年11月8日より日本公開となる。このため、主演のウィレム・デフォー、そして自らも画家であり『潜水服は蝶の夢を見る』(2008)で話題を呼んだ鬼才ジュリアン・シュナーベル監督が来日。ジャパンプレミア舞台挨拶に登壇した。ウィレムは2002年の『スパイダーマン』以来、17年ぶりのプロモーション来日となった。(記事最後に写真ギャラリーあり。)

『永遠の門 ゴッホの見た未来』ジャパンプレミア 舞台挨拶
© THE RIVER

ゴッホの代わりに来日

ジュリアン・シュナーベル監督は「フィンセント・ファン・ゴッホも日本に来たがっていましたので、代わりに私が来ました。ある意味、ゴッホと共にね。私の隣に立っていて、麦わら帽子ではなくスーツ姿ですけれど」と、本作でゴッホを演じて第75回ベネチア国際映画祭で主演男優賞に輝いたウィレム・デフォーを紹介。続いて、会場2階席にいた妻ルイーズ・クーゲンベルグに起立を求めた。「私と一緒に脚本を書き、編集も手掛けてもらったんです。」


ウィレムが「ここに来られてとても嬉しいです。この作品を皆さんと分かち合えてワクワクしています。楽しんで下さい」と慎ましく挨拶すると、観客席からは「わぁっ」と感激するような声と拍手があがった。

『永遠の門 ゴッホの見た未来』ジャパンプレミア 舞台挨拶
© THE RIVER

実は『スパイダーマン』以来もプライベートで何度か来日していたと明かしたウィレムに対し、ジュリアン監督は「私は30年ぶり。世田谷美術館で展覧会をやったので。歌舞伎の絵を描きましたね。ネットで調べてみて下さい」と語った。

“ゴッホを見る”映画ではなく、”ゴッホになる”映画

『永遠の門 ゴッホの見た未来』で、ゴッホを描こうと思い立ったきっかけについて尋ねられた監督は、しばらく考えた後、ウィレムに「何で私はこの映画を作ったんだろうか」と尋ねた後、「作らずにはいられなかった」と語り始める。「はじめはゴッホの映画なんて作りたくなかったんですよ。というのも、ゴッホを描く映画は既に素晴らしい作品が沢山あるから、もういいんじゃないかと。しかし、これは必然であり、私がやらなくては、と気付いたんです。なぜなら、ゴッホの絵画はとても純粋なところに至る、乗り物のようだから。妥協がない。これこそがアートの本質です。純粋に、やりたいという情熱があるだけ。今作でゴッホを描くプロセスの中で、我々はアートを作るプロセスを描き出しました。それが絵画であれ、演技であれ、映画製作であれ、我々は自分たち自身を、その本質に差し出す。それこそがアートなのです。つまりはアートがあり、それ以外がある。

あなたが今作をご覧になれば、これはフィンセント・ファン・ゴッホについての映画ではなく、自分がフィンセント・ファン・ゴッホなのだと気付くでしょう。だから、この映画はあなたのことを描いている。“ゴッホを見る”映画ではなく、”ゴッホになる”映画です。今作を作る理由は、それだけで充分でした。」

永遠の門 ゴッホの見た未来
© Walk Home Productions LLC 2018

ゴッホを演じたことについてウィレムは、「ジュリアンとは長い付き合いです。撮影では、実際にゴッホがいた場所で行うだろうと思っていました。それから、映画の中では自分で絵を描く必要があるだろうとも。劇中で、私は実際に自分で絵を描いています。絵の描き方はジュリアンに教えてもらったのですが、その過程で私は物の見方が変わりました。それこそが、この役を演じる上で核になりました」と語る。

「物の見方が変わったというのは、彼(監督)は私に、光の捕らえ方や、(絵画を描く手法としての)一筆ずつの印の付け方、意思を持って印を重ねていく手法を教えました。すると、印同士が振動し、語り合いを始めるんです。そうして、自分の創造を超えたものが生まれてくる。絵を描くときには、ひとつずつ印を付けていくのだということを学びました。

物を見る時に、自分は”再現”にこだわらなくてもいいんだと考えられるようになりました。見たままで良いのだということです。(その物事を)経験すれば良いのだと。これは、私の映画製作における考え方と同じです。わざわざ説明をする必要はないんです。この作品では、実際にゴッホが存在していた風景に自分たちも身を置いて、彼が見ていた風景を見ながら、彼はどんな人物だったのだろうかと想像して作りました。」

実際のゴッホは37歳で亡くなっているが、これを演じたウィレムは現在64歳。この年齢差について驚かれると、ウィレムは「年齢のことは全く考えませんでした。ゴッホは若くなかった。」と振り返った。

『永遠の門 ゴッホの見た未来』ジャパンプレミア 舞台挨拶
© THE RIVER

デフォーにゴッホ役をオファーした理由について尋ねられた監督は「ウィレムは……、素晴らしい役者で、信頼できて、彼みたいな人は他にいません」と答えた。「彼みたいな人が必要だと思いましたが、でも彼のような人は他にいない。彼しかいない。これは協力を要する仕事なので、自分でゴッホを演じることはできない。だから、2番目にベストな男を選びました」とジョークも交え、「彼とは30年来の友人なので、お互いのことはよく知っているし、信頼し合っている。そして、彼は私を失望させませんでした。それから、彼の起用は私の責任でもあります。このような作品を作るという機会にあずかったのだから、彼の実力も示したかった。その中で、彼は私でも知らないような誰かに変身してくれた。でも、見れば彼だと分かるんです。」

Writer

中谷 直登
中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER編集長。ライター、メディアの運営や映画などのプロモーション企画を行っています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

Comment

Ranking

Daily

Weekly

Monthly