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編集長が選ぶ!今年最もナイスな宣伝だった「THE RIVER AWARD 2017 ベスト宣伝賞」は『ジョン・ウィック:チャプター2』

ジョン・ウィック:チャプター2
(C)2017 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved. (C)Niko Tavernise

「シンフォニー・オブ・バイオレンス」と名付けられたこちらの特別映像では、まるで音ゲー感覚で敵をぶっ殺しまくるジョン・ウィック「”完全復活”だ バカヤロウ」のテロップと共にジューシーに魅せた。

スマホ時代のアプローチ

日本の映画宣伝はスマホ世代に迎合できているか?少なくとも『ジョン・ウィック:チャプター2』が公開した縦型動画は、2017年の映画予告映像としてあるべき姿を示してくれた。

まるでコース料理を味わうように銃器を試すジョン・ウィックの危険で優雅な映像を、スマホの縦型スクリーンに最適化されたスタイリッシュな映像に変換。手のひら一杯に炸裂するアクションは、何故か普段の横型映像よりもダイナミックに感じられる。縦型動画のトレンドは2016年ごろより到来していたものだが、今後は映画の予告編や特別映像にもこうした縦型動画が根付くのかもしれない。

#キアヌさん超待ってます

勢いに溢れた『ジョン・ウィック:チャプター2』のノリは、主演のキアヌ・リーブス本人との相性も抜群だった。キアヌといえば、世界的ハリウッドスターでありながら、長年変わらないデニム&スニーカー姿での路上の「ぼっち飯」姿が話題になるなど、どこか「ツッコミ待ち」なキャラクターである。そんなキアヌから本作のプロモーションのための来日を確約させた本作宣伝は、ハッシュタグ#キアヌさん超待ってますで熱烈に歓迎。このハッシュタグを付けてツイートすると、プレミア上映会に招待されるというキャンペーンも開催された。我々媒体に対しては「前作の来日時には配給会社も知らないうちに突如として鈴鹿8耐に降臨し、スターターフラッグを務め、自身のプロデュースするバイクで鈴鹿サーキットを爆走」とアナウンスして注目を惹きつけた。キアヌ来日のニュースは独り歩きし、「またプライベートでふらっとラーメン屋に行くのでは?」など、映画情報メディア以外の場でも話題を集めた。

殺し屋セレブの1週間コーデ

今日(こんにち)、わざわざ映画の公式サイトにアクセスする理由が薄れてしまったのかもしれない。作品の最新情報ならSNSを見ておけば良いし、基本情報収集なら映画関連のスマホアプリで済ませられるからだ。更に意欲を遠ざけることに、サイトを開いた途端に自動でBGMが再生される公式サイトも未だに見られるほか、ロードに時間がかかったり、肝心の「知りたい情報」が少ないなど、ユーザビリティがおざなりにされているサイトも。しかし、『ジョン・ウィック:チャプター2』は公式サイトならではの「面白コンテンツ」を用意してくれていた。

公式サイトに掲載の「CQ JAPAN」は、言うまでもなく実在のメンズ・ファッション誌のパロディだ。「殺し屋に憧れて」「殺し屋セレブの一週間コーデ」の見出し踊る「7月号」を開くと、ジョン・ウィックの世界観が上品なファッション誌風に、のびのびと紹介されている。「殺し屋スーツ4箇条」「”殺し屋フレンド”ランキング」「殺テク」「鍛錬」といった、ユニークながら作品世界に真摯な独自の切り口による特集が満載だ。大真面目に遊ぶ、この余裕ある心意気が魅力的。公式サイトの「本気」が感じられるコンテンツだった。

嬉しいファンサービス

『ジョン・ウィック:チャプター2』公式グッズはあまり多くないが、その中でも作品を象徴する「伝説のペンシル」や「オリジナル水鉄砲」をプレゼント用に提供するなど、ファンサービスに溢れていた。またTHE RIVERへは、劇中のロシアン・マフィア、エイブラムがジョン・ウィックに殺されたメンバーに向けて送辞を贈る追悼動画も提供。その際の理由というのも「公開から少し経ったので、追悼するにはいいタイミングな気がしてきました」(編集部に届いたメール原文ママ)というものだった。

総評

振り返れば『ジョン・ウィック:チャプター2』は、あえて「ツッコミ待ち」の隙を作ることで「ファンがSNSでシェアしたくなる理由」を演出するような仕掛けを張り巡らせているようだった。こうした「若者世代のツボ」を宣伝側がどれだけ意識していたかはわからないが、少なくとも宣伝担当者らの作品に対する愛情、そしてこの作品の面白さを、面白いままにファンに伝えたいという想いは、本記事だけでも充分に感じられたのではないだろうか。

Writer

THE RIVER編集部
THE RIVER編集部THE RIVER

THE RIVER編集部スタッフが選りすぐりの情報をお届けします。お問い合わせは info@theriver.jp まで。

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