Menu
(0)

Search

クリスチャン・ベール、バットマンのイメージ定着を恐れて俳優引退も考えていた

ダークナイト
© Warner Bros. Entertainment, Inc.

『ダークナイト』3部作でバットマン/ブルース・ウェイン役を演じたクリスチャン・ベールが、当時恐れていたことを率直に語った。それは、スーパーヒーローを演じてきた多くの俳優たちと同じく、自分のイメージがバットマンのままで固定されてしまうことだったという。

GQのインタビューにて「自分が永遠にバットマンのままになってしまうことは怖かったですか?」と尋ねられたベールは「ええ、だけどそれが良かったですね」と応じている。ある種の諦念に似た思いを、当時のベールは感じていたというのだ。

「“それもありえるぞ”と思っていたんです。(バットマン以外の)何者にもなれないということはありえる、多くの人々にとってはそうなるだろうと。だから、“しかたない、(俳優とは)違うことをやらなきゃいけないかも”と思っていたんです。子どもの頃にしかたなく始めた仕事だし、もともとやりたかったことじゃないのかもしれないし。だったら辞めよう、自由だって。まあ、そうはならなかったんですが。」

ベールの長編映画デビュー作は、スティーブン・スピルバーグ監督『太陽の帝国』(1987)だった。「もともとやりたかったことじゃなかったのかも」とうそぶくベールだが、幼い頃から演技を学んだ身としては最高のスタートダッシュを切っている。『アメリカン・サイコ』(2000)『リベリオン』(2002)の演技も愛されているし、バットマン役の合間には『3時10分、決断のとき』(2007)『ザ・ファイター』(2010)などにも出演。『アメリカン・ハッスル』(2010)『マネー・ショート 華麗なる大逆転』(2015)など、バットマンのイメージを軽やかに裏切る作品選びも見事だった。

ちなみにベール自身は、『ダークナイト』3部作を「別の人がやったことのように感じています」とも語っている。「ああ、そういう作品あったよね、大成功したって聞いたよ、すごいね、という感じ。それでスーパーにバナナを買いにいくような」。このドライさと距離感が、その後のベールのキャリアを形づくってきたと言えるのかもしれない。

2022年、ベールは『ソー:ラブ&サンダー』で10年ぶりにスーパーヒーロー映画に復帰。今度は主役ではなくヴィランを演じ、コミカルな映画にただならぬ説得力をもたらした。ベールは自身の演技論について、こんなふうにも語っている。「僕は自分を主役俳優だと一度も思っていないんです。それだと良い役をもらえないし、退屈。だから主役を演じる時も、四番手や五番手のつもりでいるんです。そうするともっと自由になれるから」。

あわせて読みたい

Source: GQ

Writer

アバター画像
稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。