「初めて人を焼いた時は泣いた」『バレリーナ』アナ・デ・アルマス&監督、来日Wインタビュー

──キアヌ・リーブスも、思っていた以上の出番と共に登場します。このシリーズで彼はいつも満身創痍で、ギリギリの戦いを繰り広げてきました。僕達はいつも“彼は生きているのか?生き延びるのか?”と見守ります。でも本作で、彼は賢くてすこし余裕がある。彼が味方なのか敵なのかは映画を見てからのお楽しみですが、ちょっとオビ=ワン・ケノービっぽいというか。
レン:確かに。メンター的な立場なので、正しい表現ですね。ネタバレになりそうなのであまり多くは語れませんが、言えることといえば、キアヌと一緒に仕事をしたり、脚本について議論したりするのは、なんだか彼の頭の中にある「ウィック」と「ジョン」の間の境界線を見るようでとても面白かった。そこには考え方の違いがあって、魅力的で面白い。それが彼の『バレリーナ』への関与にも大きく影響しています。
──物語としても視覚的にもジョン・ウィックとイヴとの対比を際立たせるために、どのようにキャラクターを造形したのでしょうか?
レン:いくつかあって、ひとつは彼との対峙シーンですが、ずっと『真昼の決闘』(1952)のようにしたいとイメージしていました。アナが気配を感じ、振り向いて、対面するというのを静かにやりたかった。そこでは音楽もナシ。敬意をこめました。あの瞬間は長い間ずっと想像していました。それが結実したときは、すごく報われるような思いでした。ビジュアル的にどんな雰囲気にしたいかは、事前にイメージしていたんです。

──チャド・スタエルスキと何度かお話ししたのですが、彼は、このシリーズにはいつも必ず日本映画の要素がどこかに入っていると言っていました。本作では日本刀を使ったアクションシーンもあります。今作で日本映画や伝統に影響を受けたことはありますか?
レン:日本の要素は『ジョン・ウィック』シリーズに欠かせません。僕もチャドと話していて面白かったのが、どんな映画監督も何かしら影響を受けているものですが、どんな映画に影響を受けたのかを話し合ったことです。アナとも最初に話したのですが、僕の場合は『ランボー』(1982)の要素があります。小さい頃に観ましたから。チャドはまた別のさまざまな映画に影響を受けています。
日本刀のシーンでは、“怒り”が宿る瞬間を表現したかった。彼女がすべてを失う瞬間です。その場合は、銃撃戦よりも刀だろうと。様々な分野から影響を受けています。
──アナ、あなたはこれまで、ダニエル・クレイグやクリス・エヴァンス、ライアン・ゴズリング、キアヌ・リーヴスといった素晴らしい俳優たちと共演してきました。現在はトム・クルーズと共演中ですね。彼らから学び、役者として成長していると感じるのはどんなときですか?
皆さん、それぞれタイプがぜんぜん違う。すごく才能があって、経験豊富です。もちろん、彼ら全員から常に学んでいます。映画でのパートナー全員、監督や製作者の全員から。素晴らしい共演者に恵まれて本当に幸運です。みなさん素晴らしくて、一人ひとりと素晴らしい経験をさせてもらっています。
──『ジョン・ウィック5』が製作されるそうです。そこにイヴがが登場する可能性は?
レン:どうでしょう?
アナ:わからないですね!
──でも、出たい?
アナ:もちろんです。出たいです!
──2000年代の映画を観て育った世代として、本作には新しさと懐かしさの両方を感じました。たとえばレナの衣装は、なんだか『アンダーワールド』を思い出しました。もしかしたら、意図的に懐かしさを織り交ぜたのかなと思ったのですが。
レン:その通りです!確かに、昔懐かしい感じを取り入れました。個人的に言うと、僕が子どもの頃に観ていた映画から影響をを受けた部分もたくさんあります。テクノロジーや、80年代や90年代のアクション映画から失われてしまったものを懐かしむ感覚があります。だから、その通りで、僕が魅力に思って懐かしい要素が染み込んでいると思います。
『バレリーナ:The World of John Wick』は絶賛公開中。THE RIVERによるアナ・デ・アルマス&レン・ワイズマン監督 来日インタビュー動画は公式YouTubeチャンネルにてフル公開中。