DC幹部の『バットガール』は「公開できる作品ではなかった」発言、主演俳優が反論 ─ 「軽々しい言葉」「良い映画になる可能性あった」

DC映画『バットガール(原題)』は、2022年夏、未完のままプロジェクトを終了せざるを得なくなった。約9000万ドルを投じて製作され、撮影も終了していたものの、米ワーナー・ブラザース・ディスカバリーの新体制下で“損切り”としてのお蔵入りが決定したのである。
もっとも、製作頓挫の理由をめぐっては製作陣とワーナー側で意見が一致しない。監督のアディル・エル・アルビ&ビラル・ファラーは、ワーナーから「僕たちの問題でも、映画のクオリティの問題でもないと聞いている」と主張。一方、今後のDC映画を担う「DCスタジオ」のピーター・サフランCEOは「公開できる作品ではなかった」と公に発言し、映画は「DCにダメージを与えるからキャンセル」されたのだと述べた。
サフラン氏の痛烈な発言を受け、主演のレスリー・グレイスは米Varietyにて自身の見解を語っている。お蔵入りの決定時、レスリーはワーナーの映画部門を統括するパメラ・アブディ&マイケル・デ・ルカと面会し、当初の計画や予算がいかにコントロール不能だったかを具体的に説明されたというのだ。
「私は、彼女たち(パメラ&マイケル)がこの映画をどう感じたのか、なぜDCに創造的なダメージを与えるのかは具体的に聞いていません。けれど私も人間だし、人にはいろんな考えがあるし、人々はいろんなものを読むもの。私だけでなくチーム全員が長い時間を捧げた作品を、非常に軽々しく扱った言葉が、いかに人々を失望させるかということは理解できます。」
監督のアルビ&ファラーによると、お蔵入りの決定時点で映画は未完成だった。同じく、レスリーも「試写の時点で映画は完成しておらず、存在しないシーンもたくさんありました。まだ編集の初期段階だったから」と語っている。サフランを含むワーナー&DCの幹部陣が観たものも、おそらくこれと同じバージョンだったのだろう。
もっとも、レスリーは「私が観た映画は、そこにあったシーンは素晴らしいものでした。良い映画になる可能性は十分あったと思います」と強調し、サフランの「リリースに値しなかった」発言に真っ向から反論。「もしかすると、映像を今後見られるようになるかもしれません」とも述べた。
レスリーと監督のアルビ&ファラーは、本撮影の終了後から早くも続編についての話し合いを始めていたとのこと。いわく、「バットガールの未来、今後どうすればバットガールを復活させられるかという話し合いは今でも続けている」という。サフランでさえ「『バットガール』のキャラクターは、我々の物語に必然的に登場することになります」と話している以上、いずれ復活が叶う可能性は十分にあるわけだ。
ただし、レスリーは「現時点では何も言えません。バットガールの未来や、何か保証されていることがあるような話をすることはできないんです」とあくまでも慎重な姿勢を崩さない。その口ぶりは、もはやスタジオの動きを警戒しているかのよう。「今回学んだのは、ひとりの女優にはどうしようもないことがたくさんあるということ」「自分がコントロールできないことをほのめかす真似はしたくない」とさえ言っているのだ。
先日、ジェームズ・ガンとサフランの率いるDCスタジオは、新たなDCユニバースの“ファースト・チャプター”を発表したばかり。現時点でそこにバットガールの存在はないものの、レスリーは「彼らが展開する全計画の幸運を祈ります。たくさんのプロジェクトを指揮するわけで、それは簡単な仕事ではありませんから」と語った。
Source: Variety