『バットマン フォーエヴァー』幻のダーク版「みなさんの想像よりも完成に近づいていた」と脚本家

1995年製作『バットマン フォーエヴァー』には、“ダークでシリアスな”170分のディレクターズカット版が存在する。2020年ごろからDCファンの間で話題となったあと、2023年には映画監督・脚本家のケヴィン・スミスがプライベートで上映会を実施したことでも知られる幻のバージョンだ。
2025年5月にはロサンゼルスの映画館で非営利の上映イベントがこっそりと実施される予定だったが、あまりに話題が大きくなりすぎたことから、ワーナー・ブラザースが開催中止を申し入れ、いまだ一般には披露されていない。
バットマン役をヴァル・キルマーが演じた本作で監督を務めていたのは、『依頼人』(1994)や『評決のとき』(1996)で知られるジョエル・シュマッカー。脚本を執筆したアキヴァ・ゴールズマンは、米The Hollywood Reporterにて、今でも公開に向けてワーナー側に働きかけていることを強調した。
「(2020年に)ジョエルが亡くなったあと、ワーナーに連絡を取り、“もっとダークなバージョンがある”と話しました。実際に映像を見つけたのですが、未完成ながら、みなさんの想像よりも完成に近づいていました。現代ならVFXができあがっていないシーンがあるのでしょうが、当時はほとんどをミニチュアや実写の特殊効果で製作していたので、それらは完成していました。私たちは修復しようとしていましたが、やがて誰もが興味を失ってしまった。けれど、私は今でも(公開を)働きかけています。」
2年前の2023年7月にも、ゴールズマンは「最近(ディレクターズカット版を)観ました」と明かしていた。「心理的なリアリティが35%ほど増しています。罪悪感と恥を描いていましたが、試写の観客が気に入らなかったんです」というあたり、試写の反応を理由に再編集が行われていたとみられる。
今回、ゴールズマンは劇場公開版とディレクターズカットの違いを尋ねられると、大きな違いをひとつ明らかにしている。
「ブルース・ウェインは赤い本の幻覚を何度も見るのですが、それは父親の日記だとわかります。そこには“今夜、マーサと私は家にいたい。しかし、ブルースが映画を観たがるので連れて行く”と書かれている。だからブルースは両親の死の責任を感じているのです。また、あるシーンでは、彼(ブルース)が頭を殴られ、自分がバットマンだという記憶を失います。そのあと洞窟に戻り、コウモリと対峙するのです。」
すでにディレクターズカットを観た人物のレポートでも、劇場公開版とは異なり、ブルース・ウェインの精神的な問題や、バットマンとしてのアイデンティティ、そしてリドラー&トゥーフェイスのダークサイドを掘り下げる内容だったことが明らかになっている。
そのまま公開されていれば、おそらく、のちの『ダークナイト』3部作にも通じるようなテイストだったのだろう。しかし、シュマッカー監督の構想はいささか早すぎたのだ。ゴールズマンは「世界のほうに準備ができていなかった」とも言っている。
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Source: The Hollywood Reporter, The Playlist, Screen Rant