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『ブラックアダム』製作費の大幅超過で赤字に ─ ドウェイン・ジョンソンは以前否定も

ブラックアダム
© 2022 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & © DC Comics

ドウェイン・ジョンソン主演・製作、DC映画ブラックアダムが興行的に赤字となったことがわかった。

本作はドウェインが長きにわたって構想してきた、“破壊神”ブラックアダムの実写映画デビュー作。米The Hollywood Reporterによると、ワーナー・ブラザース/DCコミックスはもともと1億9,000万ドルの製作費でゴーサインを出したというが、実際の製作費は2億6,000万ドルまで膨らんでいたという(宣伝費を除く)。ところが全世界興行収入は3億9,124万ドルとあって、少なくとも劇場公開だけでのコスト回収は不可能な状況だ。

大幅な予算超過には、テスト試写での不評を受け、製作陣が約20日にわたる大規模な再撮影に踏み切っていたという背景がある。話題を呼んだポストクレジットシーンも米国公開の直前に追加撮影されたものだが、最近の報道によると、カメオ出演した俳優には、わずか数秒の出番のために25万ドルが支払われていたとのこと。こうした積み重ねが予算面に影響を及ぼしていたのだろう。

もともと『ブラックアダム』が赤字となっている可能性については、米Varietyが12月5日(現地時間)に記事を発表していた。製作費が1億9,500万ドル、宣伝費が1億ドルとみられるために損益分岐点は世界興収6億ドル、したがって5,000万~1億ドルの損失が生じているのではないかと指摘されたのである。ところが2日後の12月7日、米Deadlineが反論記事を掲載。Varietyの指摘は事実ではなく、むしろ5,200万~7,200万ドルの利益が生じていると主張した。

これに乗じる形で赤字説を否定していたのが、ほかでもないドウェイン・ジョンソン本人だった。ドウェインは『ブラックアダム』が5,200万~7,200万ドルの黒字であることこそが「事実」であり、「DCの未来に向けて新たなフランチャイズを一歩ずつ構築している」と記したのである。むろん、主演俳優兼プロデューサーが映画の損益に言及することはそう多くない。

ところが今回の報道によると、『ブラックアダム』の実際の製作費は2億6,000万ドルだった(宣伝費は報道通り約1億ドルとみられる)。世界興収が4億ドルに届かない現状では、黒字化は決して現実的なものとは言えない。Varietyの情報源よりも実際のコストが大きかった以上、1億ドル以上の赤字はおそらく避けられないだろう。

現在、DC映画はジェームズ・ガン&ピーター・サフラン率いる新企業「DCスタジオ」によって全面刷新が進められている。2022年12月、ドウェインは、ブラックアダムが「彼らのストーリーテリングのファースト・チャプターに登場しない」ことを発表。これは続編企画の保留を意味するものだが、ドウェインは「今後のDCマルチバース・チャプターで活用できるよう、最も価値ある方法を探究し続けることで合意した」とも記しており、今後の再登場を諦めない構えだ。

もっとも、The Hollywood Reporterによれば、本作の予算超過と赤字化は「必ずしも続編製作の障害にはなるものではなかった」という。『ブラックアダム』の事実上の凍結は、あくまでもDC映画の新戦略に基づくもののようだ。

Sources: The Hollywood Reporter(1, 2), Variety, Deadline

Writer

稲垣 貴俊
稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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