Menu
(0)

Search

マーベル映画『ブラックパンサー』、アクションは『クリード』&『キングスマン』! ― 重要アイテム・ヴィブラニウムの新証言も

©MARVEL STUDIOS 写真:ゼータ イメージ

映画『ブラックパンサー』は、マーベル・シネマティック・ユニバース史上はじめての“黒人ヒーロー映画”だ。ファルコン(アンソニー・マッキー)やニック・フューリー(サミュエル・L・ジャクソン)など黒人の登場人物は複数存在したが、彼らが主人公として活躍する作品はなかったのである。
そんな本作を手がけるのは、『クリード チャンプを継ぐ男』(2015)のライアン・クーグラー監督。主演のチャドウィック・ボーズマンや『クリード』に出演したマイケル・B・ジョーダンをはじめ、出演者にも黒人の俳優が多く顔を揃えた。

そんな本作の映像が、観客の95%が黒人だったという会場で一部先行上映されたことは非常に意義のあることだろう。
先日、米国連邦議会の黒人議員幹部会が開催したカンファレンスにて『ブラックパンサー』の約5分間の映像が上映され、ライアン監督をはじめとしたスタッフ・キャストが登壇した。およそマーベル映画が上映されるには似つかわしくないようにも思われる空間で、150名以上の参加者がスクリーンの映像を食い入るように見つめたという。黒人にまつわるニュースや話題を紹介するウェブメディア、米THE ROOTが報じている。

注意

この記事には、映画『ブラックパンサー』のネタバレが含まれています。

アクションシーンは『クリード』&『キングスマン』!

映像が上映されたのは、カンファレンス内の「広い世界を想像する ― マーベル『ブラックパンサー』、文化遺産、そしてSTEM(科学・技術・工学・数学)」と題されたパネルだった。THE ROOTは、上映された映像の内容を詳しく記している。

記者のジェイソン・ジョンソン氏が“目玉”として特別に詳しく述べているのが、すでに公開されている予告編でもその一端がうかがえるカジノでのアクションシーンだ。
両脇にナキア(ルピタ・ニョンゴ)とオコイエ(ダナイ・グリラ)を従えて、黒いスーツでカジノに現れたティ・チャラ/ブラックパンサー(チャドウィック・ボーズマン)が、隠しマイクを通して武器商人ユリシーズ・クロウ(アンディ・サーキス)を探す。すると、そこに10人ほどのボディガードを連れたクロウが現れ、エヴェレット・K・ロス(マーティン・フリーマン)とヴィブラニウムをめぐる交渉を始めるのだった。しかし、ひとりのボディガードがナキア&オコイエの存在に気づき、交渉は中断。銃弾が飛び、ナキアとオコイエは槍で応戦する。逃亡したクロウを追って、ティ・チャラは上層階のバルコニーへと飛び移り……。

また映像には、同じく予告編に一部が収められていたと思しきカーチェイスシーンも含まれていたという。スーツからブラックパンサーのコスチュームへと装いを一瞬で変化させたティ・チャラがSUVを追い、そこにオコイエが現れて金色の槍を投げると、その先端が車を貫いて動けなくさせてしまうのだとか。

 

さらには主な舞台のひとつであるティ・チャラの故郷ワカンダで、王座を狙うエリック・キルモンガー(マイケル・B・ジョーダン)やM’Baku(ウィンストン・デューク)がティ・チャラに戦いを挑むシーンがそれぞれ存在するほか、短いシーンの連続など、あらゆる場面が約5分間の中に詰め込まれていたという。

記者のジョンソン氏は、カジノでのアクションシーンについて「『クリード』の格闘シーンと『キングスマン』の陽気な銃撃戦を混ぜたよう」だったと評している。しかし『クリード』のフィジカルで時に“痛い”アクションと、描写は激しくもポップでスタイリッシュな『キングスマン』のアクションが混ざるとは、一体どんなものになっているのだろうか……?

監督が語る「ヴィブラニウム」新証言

映像の上映後、同パネルでは登壇者への質疑応答が行われている。
ある観客から、キーアイテムである「ヴィブラニウム」が劇中でどんな役割を果たすのか尋ねられたクーグラー監督は、ワカンダとヴィブラニウムの関係を、コンゴ民主共和国とコルタンの関係と比較して語ったようだ。

コルタンとは携帯電話やパソコン、電気自動車をはじめとした多くの電化製品(あるいは軍事に関する精密機器)に使用されている鉱石のことで、主な産出国はコンゴ民主共和国となっている。しかし同国では、その採掘をめぐって労働従事者への搾取の問題が絶えず、また違法採掘がもとで武装組織への資金源ともなっていることから、コンゴにおける紛争をより長引かせる原因にもなっているといわれている。先進国がコルタンの利益を享受する一方で、当の産出国がほとんどその恩恵にあずかれないという状況があるわけだ。

もっともクーグラー監督は、こうした現実の状況を映画にそのまま反映しようと考えたわけではなかったようである。むしろ劇中では、そうした不均衡が起こる可能性にワカンダの人々がどう対峙するかということが問題になりそうだ。

「私たちは自問しました。“ヴィブラニウムがワカンダ人を特別にしたのか、それともワカンダ人は先に特別なものを持っていて、ヴィブラニウムを使った何かを作り出したのか?”と。ワカンダ人の方が先だった、ということに決めたんです。」

このカンファレンスでは、ヴィブラニウムがワカンダの航空に与えた影響についての話題から、“黒人が黒人の国を治める映画を、世界中の黒人の子供たちが観ることの文化的な重要性”まで、非常に多岐にわたる内容が語られたという。また、パネルに登壇した製作総指揮のリック・ラヴァード氏は、「『ブラックパンサー』という映画がアフリカの科学や技術への興味を喚起すると信じている」と話したようだ。

しかしその一方で、こうした情報から『ブラックパンサー』が変に堅苦しい、政治的な作品だと想像するのは野暮というものだろう。なぜならこの映画はマーベル・シネマティック・ユニバース作品である、たとえ少々シリアスであっても、その根底には無比のエンターテインメント精神が宿っているに違いないのだ。

映画『ブラックパンサー』は2018年3月1日より全国ロードショー

Source: http://www.theroot.com/best-part-of-congressional-black-caucus-week-exclusive-1818710112
©MARVEL STUDIOS 写真:ゼータ イメージ

Writer

アバター画像
中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

Ranking

Daily

Weekly

Monthly