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【ネタバレ考察】『ブラック・ウィドウ』レッド・ガーディアンはキャプテン・アメリカと戦ったのか?

ブラック・ウィドウ
(c)Marvel Studios 2021

この記事には、映画『ブラック・ウィドウ』のネタバレが含まれています。

ブラック・ウィドウ
(c)Marvel Studios 2021

アレクセイの武勇伝

1995年の出来事を説明した冒頭から21年後、2016年の時系列が語られた『ブラック・ウィドウ』。ナターシャたちが成長した後のアレクセイは刑務所に入れられていた。

レッド・ガーディアンとして与えられたスーパーパワーを囚人仲間との腕相撲対決に活かしていたアレクセイ。どうやらキャプテン・アメリカと一対一で対決したという逸話を何度も語っていたようで、周囲は呆れ気味だ。本人の談によると、アレクセイはキャップから盾を奪い取り、窓から突き落として勝利したらしい。

しかしアレクセイの語る武勇伝には、大きな矛盾がある。彼がキャプテン・アメリカと戦ったという1983〜84年、スティーブ・ロジャーズは氷漬けになっていたはずなのだ。これを指摘されたアレクセイは怒りを見せ、話の真相には誰も近づけない。

その後、ナターシャとエレーナの援助によって脱獄を果たしたアレクセイは、かつての“娘”たちと再会すると、キャプテン・アメリカが自分のことを言及していたかどうかをナターシャに確認。「20年ぶりに再会して、自分のことだけ?」と、ナターシャからは反感を買ってしまう。

ブラック・ウィドウ
(c)Marvel Studios 2021

時系列を整理

アレクセイがキャプテン・アメリカに相当な執念を燃やしていたことは間違いないが、果たしてふたりは本当に戦っていたのだろうか?時系列を整理してみると、キャップが活動していたのは1943年〜1945年で、復活するのは2011年。しかしアレクセイがレッド・ガーディアンとして活動していたのは1990年代以前で、『ブラック・ウィドウ』の主なストーリーは2016年の出来事だ。

アレクセイが投獄された厳密な年月は定かではないが、冒頭で描かれた1995年のオハイオは「3年」の任務での出来事で、「あとはずっとムショの中」だったと話しているから、少なくとも2000年代以降は刑務所にいたことは間違いない。つまりアレクセイは、キャプテン・アメリカと会っているはずがないのだ。

レッド・ガーディアン役を演じたデヴィッド・ハーバーの見解によれば、「彼は間違いなく真実を話している。100%そうだ」とのことだ。もっとも、ハーバーはこれを「ふざけて皮肉っぽく」答えたというから、そもそも演者のほうも本当のことを言っているのかわからない。その信用ならなさは、ハーバーが続けた次の言葉にも現れている。

「アレクセイの面白いところは、現実には興味がないところ。嘘をついているのか、自分でも分かってないんですよ」。

『ブラック・ウィドウ』監督のケイト・ショートランドに言わせれば、アレクセイの話は「真実」でもあり、「虚言」でもあるのだという。ショートランドはインタビューでこれを尋ねられ「素晴らしい質問ですね。それは両方です」とだけ答え、すぐに「アレクセイとキャプテン・アメリカの共演が見てみたいですね」と話を切り替えているから、その真相はドレイコフの天空要塞のごとく隠されている。

本当に虚言なのか?

それではアレクセイは虚言を吐いているのだろうか?可能性として考えられるのが、実はアレクセイが1940年代から長く生きているという線だ。アレクセイは自分がソ連(ロシア)による最初のスーパーソルジャーだと話していた。ドラマ「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」では、アメリカによるスーパーソルジャーはスティーブ以外にも存在し、朝鮮戦争時の1951年にはイザイアというスーパーソルジャーが参戦していたことが明らかになっている。

史実における冷戦や宇宙開発競争と同様、米ソ間でスーパーソルジャー計画競争が展開されていたのだとしたら、ソ連によるスーパーソルジャー計画は1940年代にも極秘遂行されており、アレクセイはその当時から現代まで生きているということも考えられる。原作コミックでも、レッド・ガーディアンは1945年にキャプテン・アメリカと戦っている。

また、もうひとつの可能性は、『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)のラストで過去に戻ったスティーブ・ロジャースが、何らかの展開によってレッド・ガーディアンと出会い、対決したという説。もっとも、過去に戻ったスティーブはサノス戦を経て相当な経験値を積んでいる。スティーブの優しい性格もあるから、もしもレッド・ガーディアンと対決していたのなら、(『シビル・ウォー』でのスパイダーマン戦のように)わざと手加減をして、負けたふりをしたのかもしれない。そんなことも知らず、アレクセイは自分はキャップに勝ったのだと自慢していたのだとしたら、それも彼らしくて面白い。さて、あなたはアレクセイの話を信じる?

『ブラック・ウィドウ』は2021年7月8日(木)映画館 & 7月9日(金)ディズニープラス プレミア アクセス公開。※プレミア アクセスは追加支払いが必要です。

Source:Inverse(1,2

Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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