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『ブラック・ウィドウ』単独映画、なぜ実現に10年かかったのか ─ スカヨハ「長い間演じてきたので、試練が必要だった」

ブラック・ウィドウ
(c)Marvel Studios 2021

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)最新作ブラック・ウィドウは、スカーレット・ヨハンソン演じるナターシャ・ロマノフ/ブラック・ウィドウを主人公とする初めての単独映画だ。ファンの間では長年待ち望まれてきた“夢の企画”が、『アイアンマン2』(2010)での初登場から10年が経過した今、いよいよお目見えとなる。

それにしても、『ブラック・ウィドウ』の実現には、どうしてこれほどの時間がかかったのか。なにしろ『ワンダーウーマン』が世界的ヒットを記録し、多くの観客が女性ヒーロー映画を求めていると証明されたのでさえ、すでに約3年前となった2017年のことである。このたび、米Entertainment Weeklyでは、スカーレット・ヨハンソンとマーベル・スタジオのケヴィン・ファイギ社長がその背景と目論みを明かしている。

この記事には、映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』のネタバレが含まれています。

もともとブラック・ウィドウの単独映画を作るというアイデアが語られ始めたのは、MCUの記念碑的一作『アベンジャーズ』のプロモーションが行われていた2012年だったという。ただし当時は「ほんのアイデアにしかすぎなかった」といい、具体的に企画として動き出すことはなかったのである。その後、MCUは作品同士のリンクを深めていき、『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)という集大成に向けて走り始める。

その間、ナターシャ・ロマノフの物語は――単独映画が実現しない代わりに--それぞれの作品で少しずつ描かれてきた。ファイギ社長いわく、MCUという大きな構造そのものが『ブラック・ウィドウ』の製作を先送りする理由のひとつだったようだ。

「私たちは過去5~6年間、インフィニティ・サーガを終わらせることを計画してきました。その中でナターシャの物語を描くことを優先したのです。(インフィニティ・サーガが終わりに向かう中で)すでに知られているキャラクターの過去を、単独映画として突然描くのは良くないと思いました。」

ただしファンやメディアは、そうした思惑など知るよしもない。数々のインタビューでは、ヨハンソンに「ブラック・ウィドウの単独映画はいつですか?」との質問が投げかけられてきたのだ。ヨハンソンは、そうした質問の答えを濁さなければならない中、ある思いに至ったという。「もしも作るなら、創作的に充実した作品にしたいと思いました。(ナターシャを)長い間演じてきたので、試練がなければいけない。以前やったのと同じことはやりたくなかったんです」

『アベンジャーズ/エンドゲーム』で、ナターシャは任務のために自らの命を差し出した。それゆえに、単独映画『ブラック・ウィドウ』はMCU史上初の“前日譚映画”となる。『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)でアベンジャーズが分裂した後、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)で彼らが再会するまでの、“ナターシャ・ロマノフの知られざる物語”が描かれるのだ。過去に示唆されてきた、秘密が隠されているらしい“ブダペスト”や、ナターシャをスパイに育て上げた訓練プログラム「レッドルーム」にも光が当てられるという。

ヨハンソンは「アベンジャーズに再合流する前、究極の犠牲を払う以前のナターシャを描くことに興味がありました」と語る。「バラバラの破片のようだった彼女が、どのように完全な人間になったのか、ということです」。ファイギ社長も同調する。「単に空白を埋めるだけの前日譚では面白くない。彼女がどうやってウィドウズの一員になったのか、どうやってバク転を習得したのか、そんなことは問題じゃありません」。

Kevin Feige / ケヴィン・ファイギ
Photo by Gage Skidmore https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Kevin_Feige_(28556369381).jpg

物語を描くキーパーソンに選ばれたのは、女性監督ケイト・ショートランド。『さよなら、アドルフ』(2012)では第2次世界大戦後を舞台にナチス高官の娘が味わう苦境を描き、『ベルリン・シンドローム』(2017)では女性写真家が突如として監禁事件の被害者となる不条理を紡いで高く評価された俊英だ。『ブラック・ウィドウ』への就任にあたっては、“立ち直る力”こそがナターシャの魅力だと考え、あくまでスーパーパワーを持たない人物であることを重要視したという。

Writer

稲垣 貴俊
稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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