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「ブラックリスト シーズン8」なぜコロナ禍を描かない?主演ジェームズ・スペイダーのロングインタビュー

ブラックリスト シーズン8
© 2020, 2021 Sony Pictures Television, Inc. and Open 4 Business Productions LLC. All Rights Reserved.

──シーズン8では劇中で(新型コロナウイルスの)パンデミックに関する描写をされていないようですが、何か理由はありますか?

「ブラックリスト」の世界は私たちが暮らす世界とは別のパラレルワールドに存在しているからでしょう。私たちは現実世界の出来事をドラマに取り入れようとしたことはありません。

昨年(2020年)シーズン7の第19話を自然な流れにできた理由もそうです。あのエピソードでは、1/3まで撮影した時点で、パンデミックのため中断せざるを得ませんでした。どうすればエピソードを仕上げられるか、途中停止せずにシーズンを終えられるかを模索しました。そこで、既に「ブラックリスト」のコミックやグラフィックノベルがあったので、第19話はその延長線上としてアニメを使って仕上げたんです。

これは非常に「ブラックリスト」らしい話だと思います。私たちのドラマは、現実世界を描こうとしたことはなくて、常にパラレルワールドを描いているんです。時事ネタを取り扱うエピソードはやりません。独自の世界があって、そこにキャラクターたちが生きているんです。

そうすることで、ドラマが皆さんにとっての現実逃避にもなってくれると感じています。「ブラックリスト」の人気の理由は、物語が現実から離れているからではないでしょうか。私たちの生活についてではなく、キャラクターたちの生活を描いている。私たちが暮らす現実世界ではなく、キャラクターたちの世界に忠実でありたいと考えているんです。それで、(新型コロナウイルスが物語に登場しないという)決断に至ったわけです。

──8シーズンもやってこられて、今までどうやって役に関する秘密を守ってきたんでしょうか?

ベラベラ話しすぎないことです。簡単なことなのに、非常に難しいんですけどね。とにかく慎重にならないと。脚本家の皆さんなんかは、質問を尋ねられた時、何かを答えているような印象を与えつつも喋りすぎないように用心されていて、驚異的に上手くやられていますよね。

今でも、脚本を読んでいると、会話ひとつでもストーリーがハッキリわかってしまったり、物語をどうやって伝えるのかがピンと来るようなことがあります。(質問の)答え方についてですか?質問に答えるときは、こちらからも別の質問を持ち出す、ということをずっとやっています。このバランスを保つことができれば、ミステリーや好奇心、サプライズを重要かつ活き活きとしたものにできると思います。

──レディントンや「ブラックリスト」の結末について、既に脚本家とお話されているのでしょうか?

残念ながらその質問にはお答えできません。脚本家の皆さんとは、お会いしたその日から、このシリーズがどうなっていくのかの全てを話してきています。8年前のプロットの頃から、脚本家の皆さんと私は連携を取りながらご一緒してきていますよ。

私は自分のキャラクターがどうなっていくかは常に知っていますし、常にそのことを話し合っています。方針が変わるというときには、必ず脚本家のうちの1人とは話をするようにしています。週のうち、ほぼ毎日話していますね。

──レディントンはこの8年でどのように変化したのでしょうか?この8年で、テレビにおける男性キャラクターのあり方が変わったとしたら、どのような変化があったのでしょうか?

レイモンド・レディントンについてお話することはできますが、あまりテレビを観ないもので、ご質問の後半部分はお答えできません。他のテレビ番組について話すことはできないんです。このドラマの製作で忙しくさせていただいていて、観る時間もないものですから。

お休みが取れてテレビや映画が観られるときには、12歳の息子と一緒に観られるものを選ぶようにしています。彼が興味を持つのはアニメ映画であることが多いですね。それから、ドキュメンタリーもたくさん観ています。

レイモンド・レディントンについてですが、彼は大きく変わりましたね。まず年を取りました。逃亡者としての人生にも変化があって、今では他人との関係性に責任と恩義を感じていて、そのことが彼の日常にも現れています。ドラマが始まった頃、彼は常に逃亡中の身で、自分の人生や友人、デンベ・ズマのことばかりを気にしていましたよね。

そこが大きな変化です。今の彼は、タスクフォースの特定の人たち以外の対人関係にも善処しています。エリザベス・キーンとの関係もそうですね。過去8年間で、彼の人生に大きな影響を与えた人です。彼の仕事は山あり谷ありでした。数シーズン前には、シーズンの半分を刑務所で過ごしてもいますよね。色々なことがありました。

ブラックリスト
(c) 2020, 2021 Sony Pictures Television, Inc. and Open 4 Business Productions LLC. All Rights Reserved.

──「ブラックリスト」のドラマ性やミステリーは、どうしてこんなにストーリーにうまく結びついているのでしょうか?

このドラマでミステリーとは、作品のトーンを作るという意味でもとても重要です。私自身、このドラマはジャンルでいうと何なのだろうかと悩みます。ドラマチックなときもあれば、笑えるときもあって、エモーショナルなときも、ミステリアスなときもある。不穏なときや、おバカなときもあって、エピソードごとにトーンが変わっていきますよね。こういう点を私も模索していました。ドラマの精神が流動的で、時の流れとともに変化することができれば、ドラマがもっと続きやすいものになるからです。

──レディントンとは、もう8年の付き合いになりますが、彼のどんなところが好きですか?

ドラマが始まった頃から好きなところは、彼の無作法なところやユーモアのセンスです。彼の人生への欲望も好きでした。その欲望がいかに深く染み込んでいたかを知った時、彼のことがもっと好きになりました。それから、彼の不安定な部分も知りました。そのことを理解しているからこそ、私は彼の嫌いなところについて言うつもりはありません。不安定な人物だからといって彼を批判することはしません。私はただ、彼を演じきるだけです。

でも、彼はおそらく自分の中のこの資質が好きではないのだろうと思います。彼は人生の中で冷酷さや危険さを見せますが、これは彼の中にあったものを、彼自身が探し出して育んだものでもあります。彼について私が好きなところは、彼にとっては不安なことでしょう。それでも、彼はそういった自分の資質に気付いていると思います。その資質こそが、考えうる限り最悪の環境で生き延びるのに役立ったのですよね。

彼は成長する中で、その資質こそが自分により強力な”生きる欲望”を与えるものだと気付いたのでしょう。彼は、命の損失の途方も無い代償を、日常的に見ていますからね。そういうものを呼吸し、目撃し、感じている。あらゆる意味でね。そうならざるを得ないのでしょう。

彼のような、暴力に慣れ親しんだ人物を演じていて思ったのは、彼の中に優しさや穏やかさとか、人生の愛に憧れるような人物が創り出されたのではないかということ。私が一番評価しているのは、彼の中にあるそういった二面性や、難しい性格を持った人物像なんです。だからこそ、こんなに長い間、楽しく演じられているのだと思います。

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THE RIVER編集部THE RIVER

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