黒人男性死亡受け「Black Lives Matter」抗議広がる、マーベルやNetflix、映画・ドラマ界も声明発表


We stand in solidarity against racism and violence. When members of our community hurt, we all hurt. We’re pledging $1M in support of efforts to address social injustice.
— YouTube (@YouTube) May 30, 2020
ジョージ・フロイド氏が死亡する事件の直後、ニューヨーク・セントラルパークでは、犬をリードにつないでいなかった白人女性が黒人男性から注意された際、「アフリカ系アメリカ人の男性に脅迫されている」と警察に通報する出来事が起こっていた。この女性の勤務先は、SNSなどで出来事が問題視されたのちに女性を即刻解雇。フロイド氏を死なせた白人警官も、のちに殺人罪で起訴されている。
今回の「Black Lives Matter」運動は、フロイド氏の死亡事件に本格的な端を発するものでありつつ、セントラルパークでの出来事や、もっといえば「Black Lives Matter」運動が始まった2013年以来の経緯、そしてそれ以前の差別や社会構造に深く結びついているものだ。かたや、デモの参加者が暴徒化する現象については、新型コロナウイルスの影響から厳しい生活制限が求められていた米国において、ストレスや不安が一気に噴き出した例ではないかと見る向きもある。しかし、今はまだ正確な分析がおこなえる状況ではないだろう。そもそもコロナ禍でさえ、とても収束したとは言いがたかったのである。
最後に、米国において黒人が「肉体を破壊される」恐怖や、社会や日常にある差別のリアリティに想像をめぐらせるために、筆者からは、タナハシ・コーツ『世界と僕のあいだに』(慶応義塾大学出版会)をお薦めしておきたい。ある黒人男性が息子に宛てて書いた手紙という形式の本書は、黒人の肉体で生きること、意図せず自身がさらされる危険、“白人”や“アメリカンドリーム”と自分たちとの間にある断絶などが克明に綴られた一冊。著者のタナハシ・コーツは、のちにコミック『ブラックパンサー』の脚本も手がけている。
Sources: Variety(1, 2), BBC(1, 2, 3, 4, 5)