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マーベル『ブレイド』再び撮影延期、脚本家ストライキで ─ 『キャプテン・アメリカ4』『デッドプール3』ほか大打撃の可能性

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マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)映画『ブレイド(原題)』の撮影開始が、ハリウッドの脚本家ストライキにより延期されたことがわかった。米The Hollywood Reporterが報じている。

2023年5月2日(米国時間)、ハリウッドの脚本家が構成する全米脚本家組合(WGA)は15年ぶりのストライキに突入した。WGAは脚本家の報酬増額や待遇改善を求めたほか、脚本開発に関するAIの導入を危惧して、映画会社やテレビ局、ストリーミング企業などが所属する業界団体Alliance of Motion Picture and Television Producers(AMPTP)との間で6週間の交渉を行っていたが、両者は合意に至らなかった。

今回のストライキにより、テレビ界ではドラマシリーズやバラエティ番組・トーク番組などに早くも影響が出ていたが、スタジオ製作の大作映画が影響を受けるのは『ブレイド』が初めて。2007年~2008年に行われた前回のストライキは3ヶ月以上におよび、映画・テレビなどの製作や雇用、経済に大きなダメージをもたらしていた。

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マーベル・スタジオは2023年6月の撮影開始を目指して準備を進めており(以前は5月1日に撮影開始と報じられていたが、製作の都合によりやや延期されていたようだ)、4月28日には新たな脚本家として「TRUE DETECTIVE」(2014-)のニック・ピゾラットを雇用したばかりだった。しかし関係者によると、ストライキ突入によって純粋に「時間切れ」となり、本作のプリプロダクション(撮影前作業)は中止を余儀なくされたという。

主人公のブレイド役を演じるのは、『ムーンライト』(2016)『グリーンブック』(2018)のマハーシャラ・アリ。『X エックス』(2022)『サスペリア』(2018)のミア・ゴス、数々のスパイク・リー監督作品で知られるデルロイ・リンドー、DCドラマ「クリプトン」(2018‐2019)のアーロン・ピエールも出演する。マハーシャラをはじめとするキャスト&スタッフには、5月5日の午後に一時中断が正式に通知された。

なお、『ブレイド』の撮影が延期されるのは今回が初めてではない。もともと本作は『シュガーランドの亡霊たち』(2019)のバッサム・ターリク監督のもとで2022年10月より撮影に入るはずだったが、直前の9月下旬に監督が降板。その後、『ベルファスト71』(2014)『ホワイト・ボーイ・リック』(2018)のヤン・ドマンジュ監督が後任に決定し、米国公開日も2023年11月3日から2024年9月6日に変更されていた。

今後、マーベル・スタジオはストライキの終了後に『ブレイド』の製作を再開する見通し。もっとも、米国公開までの残り時間はすでに1年4ヶ月と迫っており、本作が大量のCG・VFX作業を要することを鑑みれば、再びの公開延期も十分に考えられる状況だ。

『ブレイド』の前回の公開延期時には、『デッドプール3』『ファンタスティック・フォー(原題)』『アベンジャーズ/シークレット・ウォーズ』も玉突き延期となっていた。多数の作品が絡み合うMCUにおいては、常に複数の作品が企画・開発・撮影されており、一本の映画の遅延がより大きな遅延を招くことになる。

現在、マーベル・スタジオは『キャプテン・アメリカ/ニュー・ワールド・オーダー(原題)』などを撮影しているほか、今後は『デッドプール3(原題)』『サンダーボルツ(原題)』の撮影開始も控えている。脚本家ストライキは、一連の作品にどのような影響を及ぼしうるのか。

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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