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『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒』は日常的な女性差別を描く「フェミニスト映画」 ─ 悪役ユアン・マクレガー、脚本の魅力を語る

ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 Birds of Prey
(C)2019 WBEI and c&TM DC Comics

DCコミックス屈指の人気ヒロイン、ハーレイ・クインを主人公とする映画『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 Birds of Prey』の魅力について、本作で初めてのコミック映画出演を果たすユアン・マクレガーが語った。ユアンが演じるのは、マーゴット・ロビー演じるハーレイ・クインをはじめ、女性チーム「バーズ・オブ・プレイ」と激突する悪役ローマン・シオニス/ブラックマスクだ。

Premiereのインタビューに登場したユアンは、『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒』を「フェミニスト映画」と形容し、脚本に惹かれて出演を決めたことを明かしている。

「『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒』の魅力とは、これがフェミニスト映画であることです。とても良く書かれた脚本で、女性差別を現実的に捉えている。僕たちにはそういう作品が必要だと思いますし、僕たちは、異性に対してどう振る舞うのかをもっと意識しなくちゃいけません。変化することを学ばなくてはいけないんです。」

ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 Birds of Prey
(C)2019 WBEI and c&TM DC Comics

公開されている米国版予告編からは、すでに男女の歪な関係性がいくつかの形で示唆されている。冒頭から「ハーレイ・クインの役割は仕えること」と言うハーレイが、“主人”だったジョーカーと別れて新たなスタートを切ろうとする姿が映し出されるほか、ユアン演じるローマンはハーレイを“所有”しようとし、「君には俺が必要だ」と言い放つのである。

「映画に登場する女性差別者は過激だったりしますよね。女性をレイプしたり、殴ったり。そういう人々を描くことは大切ですよ、現実に存在するし、間違いなく最低ですから。けれども『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒』の場合、日常的な女性差別が、セリフの中にいつも少しだけ入っているんです。男性が気づかないうちに口にしているマンスプレイニングだとか、そういうものが脚本にさりげなく入っている。見事だと思いました。」

マンスプレイニングとは、コミュニケーションの相手が無知だと思い込み、“上から目線”で何かを説明・解説する行為のこと。特に、女性がすでに知っていることを男性がわざわざ説明する行為を指す時に使われることが多い。『バンブルビー』(2018)を執筆した女性脚本家クリスティーナ・ホドソンは、あまりにも日常的であるがゆえに男性が見過ごしてしまう性差別を物語に織り込んだようだ。実際、ローマンの「君には俺が必要」というセリフも、言葉遣いは相手を助けるようでありながら、実のところは支配的なニュアンスがにじみ出ているのである。

もっとも、本作の原題は『Birds of Prey (And The Fantabulous Emancipation of One Harley Quinn)』だ。「ある道化師(ハーレイ・クイン)の超ヤバい解放」などと訳せるわけで、すでに「解放」という重要なキーワードが入っていることに着目しておきたい。ユアンの言葉から察するに、きっと日常にはびこる性差別的な価値観をハーレイ・クインが破壊して「解放」する作品が目指されているのだろう。『ワンダーウーマン』(2017)で女性ヒーローを送り出したワーナー・ブラザース&DCは、再びヒロインと女性ヒーローで新たな取り組みに挑もうとしている。こうしたテーマがコミック映画の枠組みで発信されることには、決してコミック映画の枠組みには収まらない意義があるのだ。

映画『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 Birds of Prey』は2020年3月20日(金)全国ロードショー

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Source: Premiere

Writer

稲垣 貴俊
稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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