「ザ・ボーイズ」シーズン2、一挙配信でない理由とは ─ ショーランナーが語る「浸れる時間を取ってほしい」

名声に溺れ、腐敗しきったスーパーヒーローに特別な能力のない“ザ・ボーイズ”が立ち向かうドラマ「ザ・ボーイズ」のシーズン2が、現在Amazon Primeにて配信中だ。シーズン1と大きく違う所で言えば、その配信形式が挙げられる。一挙配信のシーズン1に対して、シーズン2では配信開始日に前3話、第4話以降は毎週配信という形なのだ。
この配信形式の変更には制作側の明確な意図があったようで、ショーランナーのエリック・クリプキは「8話全部を一回で流してしまうと、イッキ見で盛り上がりすぎてしまう気がするんです」と米Colliderに話した。「視聴者の方々は、(作品を)1〜2週間であっという間に見尽くしちゃうじゃないですか」。
確かにクリプキの言う通り、近年のドラマ作品の中には配信開始から凄まじい盛り上がりを見せているものがある。例えば、Netflixの人気ドラマ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」シーズン3は、配信開始から4日間で世界中の4,070万世帯が視聴、そのうち1,820万世帯が全話を視聴したという記録が残されているのだ。後者のデータは、いわゆる「イッキ見」をしている視聴者数を表してもいる。この「盛り上がりすぎた」イッキ見が、視聴者の作品体験の妨げになっている可能性をクリプキは指摘する。
「ものすごい量の視聴数があって、その後は徐々に少なくなっていく。それで皆さんは次の作品に移ってしまうんです。(『ザ・ボーイズ』の)シーズン2には、素晴らしい場面がたくさんあります。次に進む前にそういうものを振り返って話し合えるように、しっかり浸れる時間を取ってほしいんです。(作品に関する)会話が少しでも行われればなって思うんですよ。こういう期待ってファンにとっても良いことで、視聴体験の助けになる気がします。」
2020年9月4日から配信開始となった「ザ・ボーイズ」シーズン2は、現在第4話の配信が控えられているところ。上述のクリプキの意図に反して、「ザ・ボーイズ」のファンの中にはやはり「イッキ見」を望んでいる声が多いようだ。現時点までに米Amazon Prime上に寄せられた全レビューの中で、半数の50%が星1つの低評価となっている。その理由として、「毎週配信」という形式に関する苦情が数多く見受けられる。
これは、制作側とファンの間に意見の不一致が生じていることを示しているが、同時に「ザ・ボーイズ」を楽しみにしているファンが多いことの裏返しでもある。さて、この現状を受けて既に製作が決定しているシーズン3ではいかなる判断が下されるのか気になるところだ。
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