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ワカンダって一体なに?マーベル『ブラックパンサー』王を護る女性兵団、地図上の位置、産業・民族・宗教に迫る

©MARVEL STUDIOS 写真:ゼータ イメージ

公開を目前に控えたマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)第18作ブラックパンサー。その舞台がブラックパンサーの母国である「ワカンダ」という国であるということは多くの方が知るところでしょう。

ワカンダがアフリカ大陸に所在していることや先進国に劣らない最先端のテクノロジーを保有する国であるということは、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)等で伺い知ることができますが、詳細は未だ謎に包まれたまま。本来ならば映画を観るまでのお楽しみ、といったところを待ちきれない諸兄に向けて、「ワカンダ」がどのような国であるのか、コミックスの設定などを引き合いに、ふんわりとご紹介いたします。

王を護る女性兵団

まず最初にワカンダの特徴的な文化として、王を護る女性兵団、ドラ・メラーシェをご紹介します。英語の綴りでは“The Dora Milaje”と表記するので「ドラ・ミラジュ」などと読みたくなりますが、1999年に出版されたブラックパンサーの個人誌(Black Panther Vol.3)でわざわざこの固有名詞の発音に言及しているくだりがあり、コミックでははっきりと「ドラ・メラーシェと読む」とされています(編集部注:映画『ブラックパンサー』の日本広報では「ドーラ・ミラージュ」。コミックと映画では、このように異なる呼称が用いられることがしばしばあります)。

『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』において、離反したキャップ達を止める助力を請うため、ナターシャ(スカーレット・ヨハンソン)がティ・チャラ(チャドウィック・ボーズマン)に接近した際、立ちふさがり「ケツを蹴り飛ばすぞオメエ」みたいなことを言ったスキンヘッドの女性をご記憶の方も多いと思いますが、彼女、フローレンス・カサンバ扮するアヨーはドラ・メラーシェの一員。『ブラックパンサー』でダナイ・グリラ演じるオコエ、そしてルピタ・ニョンゴ演じるナキアはその中心メンバーです。

このドラ・メラーシェ、コミックスでは知力・体力、そして美貌に優れた女性のみで構成される王の親衛隊です。バリバリの武闘派国家であるワカンダにおいてトップクラスの実力者たちですので、アベンジャーズと轡(くつわ)を並べて戦っても遜色ないどころか、ナターシャ姐さんは実に危機一発であったのだということがお分かりいただけるかと存じます。

彼女たちの職務は、王に仇なす不逞の輩を成敗することですが、実はもう一つ重要な役割があります。うら若い女性のみで構成されたドラ・メラーシェのメンバーは、独身の王の「王妃候補の集団」でもあるのです。

後述しますが、ワカンダは古来より複数の宗教を抱える多民族国家です。当然争いごとはままあるわけですが、ワカンダでは伝統的にこの「ドラ・メラーシェ」のメンバーを全ての民族より選抜し、すべからく全ての民族に「王妃となる機会」を与えることにより平和を維持してきました。コミックスでは、ドラ・メラーシェのメンバーは、他のメンバーと王以外の人間とは話すことが許されていませんが、先ほど取り上げたナターシャとの遣り取りから見るにその設定はMCUでは踏襲しないようです。

そもそもワカンダってどこ?

アフリカ大陸にあるのは判ったけど、じゃあ実際のところ、大陸のどのへんにあることになっているのか。

アイアンマン2』(2010)のポストクレジットシーン、ニック・フューリー(サミュエル・L・ジャクソン)とトニー・スターク(ロバート・ダウニーJr.)がアベンジャーズ計画について話している場面、トニーの背後のモニターに、真ん中あたりがサークルでポイントされたアフリカ大陸の地図が映りこみます。劇中で明言はされていませんが、その赤い丸で囲われたエリアこそ、MCUにおいてのワカンダであり、後のブラックパンサー登場を匂わせるイースターエッグでした。また『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』では、ソコヴィア協定発効を伝えるニュース映像に、ウガンダの東、ケニアの北にはっきり線引きされたワカンダの略図を見ることができます。

Image by https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Ilemi_triangle_map.PNG

実はここ日本ではあまり知られていないことですが、トゥルカナ湖の北岸に接するこのエリア、現実には「イレミ・トライアングル」と呼ばれる、ケニア、南スーダン、エチオピアの三か国がそれぞれ領有権を主張し紛争の元となっている地域なのです。国際法上、どこの国にも帰属していないエリアなので、ワカンダのような小国が隠れていてもおかしくないと思わせる、MCUのこの設定(コミックス由来)は現実にリンクした非常にうまい配置なのです。

Writer

アクトンボーイ
アクトンボーイ

1977年生まれ。スターウォーズと同い歳。集めまくったアメトイを死んだ時に一緒に燃やすと嫁に宣告され、1日でもいいから奴より長く生きたいと願う今日この頃。

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