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ドゥニ・ヴィルヌーヴ、『ブレードランナー』新作実現に興味 ─ しかし「映画にはオリジナルの物語が必要」

ブレードランナー 2049
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映画史に残る傑作SF『ブレードランナー』(1982)の続編『ブレードランナー 2049』(2017)を手がけたドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が、ふたたび人間とレプリカントの世界へ戻ることへの興味を語っている。

『灼熱の魂』(2010)や『ボーダーライン』(2015)、『メッセージ』(2016)など独創性の高い作品を多数送り出してきたヴィルヌーヴは、『ブレードランナー』の世界でも自身のスタイルを貫いた。上映時間163分という長尺、前作をしのぐシリアスでヘビーな作風は賛否を分けたものの、批評家からは絶賛を受け、多くの映画賞に輝いている

いまや現代を代表する著名的映画作家のひとりとなったヴィルヌーヴは、英Empireにて「『ブレードランナー』の世界は本当に刺激的ですよね」とコメントし、ふたたび新作を手がけることに興味を示した。しかし、同時に「“続編”という言葉には問題があります」とも述べて、ひとつの条件を明らかにしたのである。

「映画には、オリジナルの物語が必要だと思っているんです。もしもあの世界に別の形で戻りたいかと聞かれたら、“イエス”と言うでしょう。けれども、独自のプロジェクトである必要があります。これまでの映画2本とは繋がっていない、未来を舞台にした、探偵もののノワールでなければ。時々、そんな夢を見て夜中に目が覚めるんですよ。」

『ブレードランナー』の原作となったのは、フィリップ・K・ディックの小説『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』。あえてなぞらえて言えば、「ヴィルヌーヴは『ブレードランナー』の夢を見る」というわけだが、監督の頭の中には、すでになんらかのイメージが浮かんでいるのかもしれない。そもそも『ブレードランナー 2049』でさえ、原作や前作にインスパイアされつつも、独立した部分の大きい物語だったではないか。

ちなみに『ブレードランナー 2049』は高い評価を受けたものの、ワーナー・ブラザースが期待していたほどの興行収入を得ることができず、続編の実現についてはまったくの未知数だ。もっとも、ワーナーはヴィルヌーヴに大きな信頼を寄せており、フランク・ハーバートの傑作SF小説を映画化する『デューン(原題:Dune)』では再タッグを実現。ティモシー・シャラメ、オスカー・アイザック、レベッカ・ファーガソンをはじめ、豪華な顔ぶれが集結したオールスターキャストの超大作となる。きっとこちらも小説に縛られない、“オリジナルの物語”となっていることだろう。

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Source: Empire

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。